循環器・腎臓・血液内科 Vol.2

今月のテーマ<循環器の特定内科診療>

 

「急性心筋梗塞」Vol.2

 

 

助かった症例を2例ご紹介いたします。

 

 

症例1)55歳男性

 

「今朝から激しい前胸部痛が出現し持続している。

 

一週間前から階段を登るときに前胸部痛を自覚したが

 

安静にて消失するため放置していた。」

 

 

ドクトル飯嶋の初期対応:

 

病歴より40歳から検診で高血圧、脂質異常症を指摘されるも放置してきたことを確認

 

バイタルサインのチェック

 

(意識清明だが苦悶様顔貌、体温36.8℃、呼吸数28/分、脈拍70/分、脈不整なし。血圧148/98㎜Hg)

 

 

視診(貧血・黄疸なし、皮膚湿潤・冷汗、腹部平坦、下腿のむくみ無し)、

 

聴診(心雑音・呼吸音の異常なし)

 

検査(尿検査異常なし、心電図異常あり、血液検査)

 

 

ドクトル飯嶋の見立て:急性心筋梗塞(下壁)

 

 

ドクトル飯嶋の指示:静脈路を確保して、緊急入院先に連絡。

 

酸素投与を受けながら救急搬送となりました。

 

 

紹介先病院からの報告:「救急外来到着後ただちに静脈から輸液・薬物投与ができたため、

 

一命をとりとめることができました。

 

翌日、心エコー検査中に意識が消失し、その原因は高度な房室ブロックが発症したためでした。

 

高円寺南診療所での心電図、血液検査データと比較できたので助かりました。』とのことでした。

 

 

最終診断:急性心筋梗塞(下壁)   

 

 

 

症例2)70歳男性

 

「持続する前胸部痛を主訴に来院した。

 

同症状は昨夜から出現し、冷や汗を伴うようになった。」

 

 

ドクトル飯嶋の初期対応:

 

バイタルサインのチェック(体温37.3℃、呼吸数26/分、脈拍108/分、脈不整なし。血圧84/54㎜Hg)、

 

胸部の聴診で水泡音。

 

 

ドクトル飯嶋の見立て:急性冠動脈症候群(急性心筋梗塞の疑)、心原性ショック

 

 

ドクトル飯嶋の指示:緊急入院検査(冠動脈造影検査など)の手配

 

 

紹介先病院からの報告:即日入院、

 

冠動脈造影検査にて左冠動脈主幹部の90%狭窄により、バイパス手術を施行。経過良好。

 

 

最終診断:急性冠動脈症候群⇒急性心筋梗塞⇒心原性ショック