『臨床聖楽法』は声楽稽古のメソッドです。
まず伴奏ピアニストのピアノ演奏を鑑賞しながら歌い手自身の心身の調律を図ります。
ついで、それぞれの言語と声域に対応するソルフェージュやスケールなど声楽教本の他、
イタリア古典歌曲集(低声用、中声用、高声用)により四声の訓練、
最期に歌曲およびオペラ・アリア歌唱という稽古の流れです。
テーマは歌い手ではなく伴奏ピアニスト主体で歌唱原語・作曲家・楽曲を決定します。
それは、ピアニストに対して単に伴奏者というよりも共演者、
さらには独立した音楽表現者としての役割を強く意識し期待しているからです。
私の場合は、たとえばドイツ・リートであればシューベルトは「美しき水車小屋の娘」、
シューマンは「詩人の恋」、フランス・メロディーはR.アーンというふうに定めておいて、
他の作曲家の作品も副次的に稽古しています。
四声唱法とは、芸術歌曲やオペラ・アリアをより自然で自由な声楽演奏を実現するために、
一人の歌い手が日常の稽古で四つの声域をトレーニングする方法論です。
たとえば、私の場合は、声域がバリトンからテノールに上昇的に拡がり、
カウンター・テノールとしてはメゾソプラノからアルトへと下降的に拡げている途上にあります。
アルトの低音部の開拓が目下の重要課題の一つです。
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