2024年も残すところわずかとなりました。


杉並国際クリニック院長の飯嶋正広でございます。

 

平素より当クリニックをご愛顧いただき、誠にありがとうございます。

 

心より感謝申し上げます。

 

 

年内の診療は

12月28日(土)まで

 

年始は

1月6日(月)からです。

 

本年も多くの患者様とのご縁をいただき、日々の診療活動を通じて、皆様の健康をサポートさせていただけたことを大変光栄に感じております。この場をお借りして、改めて深い感謝の意をお伝えいたします。

 

私事ではございますが、本年は武蔵野音楽大学大学院博士前期課程(声楽専攻)におきまして、終了演奏試験に合格し、修士論文を完成させ、来年1月27日に提出する運びとなりました。

片道15分程度の通学という好適な環境ではありましたが、診療の合間を縫いながら学業に取り組むことができましたのも、患者様をはじめ、多くの方々の温かいご理解とご協力のおかげです。

この2年間の学びを通じて得た姿勢や呼吸法、発声法、表現法は、治療や予防に広く応用できる可能性を実感しております。これらの経験を活かし、患者様の生活の質向上に向けた診療を、今後も心がけてまいります。

 

また、本年もアレルギー専門医として、内科、耳鼻咽喉科、皮膚科、眼科領域を含む総合的なアレルギー診療に努め、日々の診療を通じて患者様の健康を支える取り組みを継続してまいりました。

さらにリウマチ専門医としては、内科的治療と運動器領域のアプローチを組み合わせ、関節リウマチや自己免疫疾患に伴う症状に対して最適な医療を提供することを目指してまいりました。

 

2025年からは診療予約体制のさらなる改善を進め、よりスムーズにご案内できるよう努めてまいります。患者様お一人お一人に寄り添い、安心して医療を受けていただける環境を一層整えてまいりますので、どうぞ安心してご利用ください。

 

当クリニックは、心療内科、漢方、アレルギー、リウマチの4つの専門医資格を基盤とし、これらを統合した診療を行うことで、幅広い医療ニーズに対応しております。これからも皆様の健康を全力でサポートさせていただきます。

 

今年一年のご支援とご愛顧に、改めて深く感謝申し上げます。

 

来る2025年が、皆様にとって健やかで実り多い一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

 

杉並国際クリニック
院長 飯嶋正広

 

 

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はじめに


日本の医療制度は、世界的にも高く評価されています。特に健康保険制度や介護保険制度は、多くの人々に必要な医療サービスを提供するための重要な基盤となっています。しかし、予防医学に関しては、その支援基盤が不十分であるため、個々の患者にとっても医療機関にとっても大きな課題を抱えています。本エッセイでは、保険医療制度における予防医学の位置づけと、その支援基盤の欠如が与える影響について考察します。

 


保険医療制度と予防医学の現状

 

日本の保険医療制度は、病気の診断や治療を主な対象としています。そのため、予防医学の実践に関しては、診療報酬の対象外となるケースが多く、結果として予防に関する医療行為が適切に評価されず、支援が不足しているのが現状です。例えば、定期的な健康診断や生活習慣病の予防指導、さらにはメンタルヘルスケアに至るまで、予防医学の多くの側面が経済的に支援されていないため、患者や医療機関に負担がかかっています。


このような状況では、医療機関が予防医学に重点を置くことが難しくなり、結果的に病気の早期発見や予防が疎かになるリスクが高まります。特に、病気の発症を未然に防ぐための取り組みが精神的・経済的に報われないことは、医療機関にとってもモチベーションの低下につながりかねません。

 


支援基盤の欠如がもたらす影響


予防医学の支援基盤が欠如していることは、さまざまな形で患者と医療機関に影響を及ぼします。まず、患者側では、予防医学の重要性が理解されていても、経済的な負担が懸念されるため、必要な検査や治療を先延ばしにすることが増えます。これにより、病気が進行し、治療が難しくなるリスクが高まります。


一方、医療機関側では、予防医学を積極的に実践したいという意欲があっても、その取り組みが診療報酬に反映されないため、経営的な観点から予防活動を展開することが難しくなります。また、予防に関連するサービスの提供には、専門的なスタッフや設備が必要ですが、それにかかる様々なコストが回収できないことから、予防医学に力を入れる医療機関は少数派となっています。


さらに、支援基盤の欠如は、地域格差の拡大にもつながります。都市部では比較的充実した予防医療が提供されることが多い一方で、地方ではその機会が限られていることがあり、地域間での健康格差が拡大する要因となっています。

 


改善のための提案


予防医学を推進するためには、保険医療制度の見直しが不可欠です。具体的には、予防医学に関する医療行為を診療報酬の対象とし、経済的なインセンティブを医療機関に与えることが重要です。また、予防医学に関する啓発活動や教育プログラムの強化も必要です。これは、患者が自己責任で行う健康管理を支援し、医療機関と連携して予防的なケアを受けやすくするための環境を整えることにつながります。


さらに、地域ごとの予防医療へのアクセスを公平にするための取り組みも求められます。例えば、地方での予防医療を支援するための特別な予算措置や、移動型の医療サービスの導入など、地域間格差を是正するための方策が考えられます。

 


結論


日本の保険医療制度における予防医学の支援基盤の欠如は、患者と医療機関の双方にとって大きな課題となっています。予防医学を強化し、全体的な健康水準を向上させるためには、制度的な改革と地域格差の是正が不可欠です。次回は、予防医学と全人的医療の将来展望について考察し、医療現場がどのようにして明日への希望を持ち続けることができるかを探求します。

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このエッセイでは、保険医療制度と予防医学における支援基盤の欠如について考察しました。次回のエッセイでは、予防医学と全人的医療の将来展望についてさらに詳しく探求していきます。

 

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臨床産業医オフィス
<高円寺南労働衛生コンサルタント事務所>
産業医・労働衛生コンサルタント・第一種作業環境測定士・衛生工学衛生管理者
飯嶋正広

 

産業医講話シリーズNo9:労働生理(疲労・睡眠・生体恒常性)

 

第3回講話:労働生理(睡眠と自然治癒力)について

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はじめに


皆さん、こんにちは。今日は「睡眠」についてお話しします。これまで、産業疲労について2回にわたってお話ししましたが、今回はその疲労の回復や、体全体の健康維持にとって極めて重要な役割を果たす「睡眠」について掘り下げていきます。特に、睡眠が自然治癒力をどのように発揮させるのかを中心に解説します。リラックスしてお聞きください。

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1. 睡眠の重要性と自然治癒力の発揮


睡眠は、体と心の疲れを回復させるだけでなく、体内でさまざまな修復と治癒が行われる時間でもあります。睡眠中に発揮される自然治癒力には、以下のような具体的な効果があります。


• 炎症の鎮静: 睡眠中、特に深いノンレム睡眠の段階で、免疫系が活性化し、体内の炎症を抑える作用が強化されます。研究によると、睡眠不足が続くと、炎症性サイトカインのレベルが上昇し、慢性的な炎症状態を引き起こすことが示されています【Irwin, M. R. (2015).】。


• 悪性腫瘍の発生の抑制: メラトニンは、睡眠中に分泌されるホルモンであり、抗酸化作用を持ち、細胞の酸化ストレスを軽減する働きがあります。これにより、DNAの損傷が抑制され、悪性腫瘍の発生リスクが低下することが示唆されています【Blask, D. E. (2009).】。


• 動脈硬化促進の抑止: 良質な睡眠は、血圧の低下をもたらし、心血管系の健康を保つ上で重要です。逆に、睡眠不足が続くと交感神経系が過剰に働き、血圧が上昇し、動脈硬化のリスクが高まることが確認されています【Grandner, M. A. (2010).】。


• 老化促進の抑制: 睡眠中には成長ホルモンが分泌され、これが細胞の修復や再生を促します。このプロセスは、肌の健康を保ち、老化を遅らせる効果があります。特に、深い眠りの中で成長ホルモンの分泌がピークに達します【Van Cauter, E. (2000).】。


• 変性疾患の治癒: アルツハイマー病などの神経変性疾患において、睡眠は脳内の老廃物を除去するグリンパティックシステム(脳の排泄システム)の働きを助ける役割を果たします。これにより、病態の進行を遅らせることが期待されます【Xie, L. et al. (2013).】。

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2. 睡眠の段階とリズム


次に、睡眠の段階とリズムについてお話しします。睡眠は、ただ横になって休むだけではなく、いくつかの段階とリズムが存在します。


• レム睡眠とノンレム睡眠: 睡眠は大きく分けて、レム睡眠(Rapid Eye Movement)とノンレム睡眠の2つのタイプに分類されます。ノンレム睡眠はさらに、浅い眠りから深い眠りまでの3段階に分かれます。レム睡眠では、脳は活発に働いており、夢を見ることが多いです。一方、ノンレム睡眠は、特に深い眠りの段階で体の修復が行われ、免疫機能が強化されます。


• 概日リズム(サーカディアンリズム): 睡眠は概日リズム、いわゆる体内時計によって調整されています。このリズムは約24時間にわたって繰り返されますが、実際には約25時間の周期を持っていると言われています。このズレを修正するために、毎日同じ時間に起床することが非常に重要です。起床時間を固定することで、体内時計がリセットされ、規則的なリズムが保たれます。


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3. 最適な睡眠とは?


最適な睡眠を得るためには、以下の点を意識することが大切です。


• 起床時間の固定: 先ほどお話ししたように、体内時計のリズムを整えるために、毎日同じ時間に起きることが重要です。これにより、夜間のメラトニン分泌と朝のコルチゾール分泌が規則正しくなり、スムーズに睡眠と覚醒のサイクルを保つことができます。


• 寝室の環境: 寝室を暗く、静かに保つことは、メラトニンの分泌を促進し、より深い睡眠を誘導します。また、寝室の温度も適度に保つことが大切で、体温が下がりやすい環境を整えることが良質な睡眠につながります。


• 睡眠前のリラックス: 寝る前にリラックスする時間を持つことも重要です。特にスマホやPCの使用を控えることで、ブルーライトによるメラトニンの抑制を避け、自然な眠りに入りやすくなります。

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4. 睡眠と生体恒常性の維持


最後に、睡眠と生体恒常性についてお話しします。生体恒常性とは、体内環境を一定に保つ仕組みのことです。睡眠は、この恒常性を維持するために不可欠です。


• ホルモンバランス: 睡眠中に分泌されるホルモンは、体内のバランスを整え、翌日の活動に備える役割を果たします。特に、コルチゾールとメラトニンのバランスは、心身の健康を保つために重要です。


• 免疫機能: 深い睡眠は、免疫機能を強化し、感染症に対する抵抗力を高めます。また、成長ホルモンの分泌が促され、体の修復や成長が行われます。


• メンタルヘルス: 良質な睡眠は、ストレス耐性を高め、メンタルヘルスの維持にも大きな役割を果たします。睡眠不足が続くと、情緒不安定や不安感が増し、うつ症状を引き起こすリスクが高まります。

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まとめ


今日は、「睡眠と自然治癒力」についてお話ししました。睡眠の重要性とその生理学的なメカニズムについて深く理解していただあくことによって、日常生活における実践的な改善を行う助けとなることを目指して準備致しました。睡眠は、単に体を休めるだけでなく、心身の健康を保つために非常に重要なプロセスです。特に、最適な睡眠を得るためには、起床時間の固定や睡眠環境の整備、睡眠前のリラックスが鍵となります。ぜひ、今日お話しした内容を日常生活に取り入れて、より良い睡眠を確保してください。


何か質問があれば、どうぞ気軽に聞いてください。ありがとうございました。

 

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参考文献


1. 厚生労働省. (2019). 健康づくりのための睡眠指針2014


2. Irwin, M. R. (2015). Why sleep is important for health: A psychoneuroimmunology perspective. Annual Review of Psychology, 66, 143-172.


3. Blask, D. E. (2009). Melatonin, sleep disturbance and cancer risk. Sleep Medicine Reviews, 13(4), 257-264.


4. Grandner, M. A., & Drummond, S. P. (2010). Who are the long sleepers? Towards an understanding of the mortality relationship. Sleep Medicine Reviews, 14(4), 221-232.


5. Van Cauter, E., Leproult, R., & Plat, L. (2000). Age-related changes in slow wave sleep and REM sleep and relationship with growth hormone and cortisol levels in healthy men. Journal of the American Medical Association, 284(7), 861-868.


6. Xie, L., Kang, H., Xu, Q., et al. (2013). Sleep drives metabolite clearance from the adult brain. Science, 342(6156), 373-377.

 

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Dr. ChatGPT:

ドクター飯嶋様、これまでのご回答を通じて、水氣道の稽古が参加者の健康改善だけでなく、彼らの精神的な成長や他者への奉仕精神の育成にも大きく寄与していることが明確に伝わってきました。支援員への道のりがこのように多面的な成長の過程であることは、とても興味深いです。


この文脈で、もう一つ伺いたいことがあります。水氣道の稽古を通じて、参加者が自己の健康を超えた更なる目的意識を持つようになるためには、どのような要因や環境が必要だとお考えですか?また、そのような意識の転換を促すために、水氣道の指導者としてどのようなアプローチを取られているのでしょうか?


このような問いを掘り下げることで、水氣道の本質的な価値や、参加者が長期的に稽古を続け成長していくための秘訣について、さらに深く理解することができるのではないかと考えています。どうぞ、ドクター飯嶋様のご見解をお聞かせいただければ幸いです。

 


タイトル:

「水氣道における自己の健康と他者への配慮――支援から指導への成長プロセス」

 

 

Dr. ChatGPT:

「水氣道の稽古を通じて、参加者が自己の健康を超えた更なる目的意識を持つようになるためには、どのような要因や環境が必要だとお考えですか?」


回答者(ドクター飯嶋):

あなたは、「自己の健康を超えた更なる目的意識」という表現をお使いになられました。この表現は、とても常識的で公平な御立場から発せられたものであると受け止めます。ここで、「自己の健康」とは何か?ということを一緒に考えていただけませんか?


Dr. ChatGPT:

そうですね、「自己の健康」という概念について、改めて考えることは重要だと思います。確かに、自己の健康をどう捉えるかで、その先の目標や行動も変わってくるでしょう。


ドクター飯嶋:

その通りです。水氣道の稽古を長期に亘って継続している支援員は、「自己の健康」を、少なくとも重要他者とは無関係には考えていません。ですから、逆説的ではありますが、あくまでも「自己の健康」を探訪し続けていくことを推奨しています。決して「自己の健康を越える」ということを更なる目的にする必要はないのです。


Dr. ChatGPT:

なるほど、自己の健康を他者との関わりの中で捉えることが重要だということですね。それによって、自己の健康が真に深まるという考え方はとても興味深いです。

 

ドクター飯嶋:

そうです。つまり、家族なり、親類なり、友人なり、師であり、弟子であり、といった、少なくとも自分の身近な御縁のある方々の健康をも配慮することができてこそ真の「自己の健康」であるとするのが、水氣道における「自己の健康」ということになります。


Dr. ChatGPT:

その視点はとても納得できます。他者とのつながりの中で自己を見つめ直すことが、結果的に自己の健康にも繋がるわけですね。では、そのような意識の転換を促すために、どのような指導が行われているのでしょうか?


ドクター飯嶋:

ご指摘の通り、その意識の転換が重要です。意識の転換は、極端な場合は一瞬で生じることもありますし、長い年月をかけて徐々に、というパターンもあります。ただし、短期間で「悟った」と感じる場合のほとんどは、錯覚であることが多いようです。


Dr. ChatGPT:

確かに、一時的な理解に過ぎないこともありますね。意識の変革には段階があり、一つ一つの変化が積み重なっていくものだと思います。


ドクター飯嶋:

その通りです。多くの場合には、段階的に意識の変革が進行していきます。一つのささやかな変化が、次のステップに繋がっていくのです。「スモール・ステップ・アップ」と「行きつ戻りつ」を、水氣道は高く評価しています。こうしたプロセスは決して無駄ではなく、より確実な「道」なのです。


Dr. ChatGPT:

少しずつでも着実に進むことが大切なのですね。その過程で指導者が果たす役割について、さらに詳しく教えていただけますか?


ドクター飯嶋:

はい。水氣道の指導者として必要なアプローチは、指導者こそが焦らず、地道に、コツコツと経験と工夫とを誠実に組み立てていくこと、惜しみなく、相手の立場に立って、本人自身の「気付き」を促すことにあります。稽古不足で新鮮な体験や、一般的な困難に直面した経験の乏しい参加者に情報や知識を詰め込むことは全く無意味であるばかりか、有害ですらあります。


Dr. ChatGPT:

そうした慎重で丁寧な指導が、参加者の成長を支えるのですね。支援員としての役割が非常に重要であることがよくわかります。


ドクター飯嶋:

そうです。水氣道の指導者は自ら水氣道の実践を重ねる過程で、自身の方向性に自信をもち、後輩諸氏の可能性に信頼を置き、必要な段階や時期に至れば、それを誠実かつ賢明に見極め、その時々に相応しい支援をすることができるようになります。しかし、訓練生までの支援とは違い、修錬生に対しては、さらに積極的な指導が必要になってきます。


Dr. ChatGPT:

最初は支援という形で、徐々に指導が加わっていくというプロセスも、参加者の成長に合わせた適切なアプローチですね。


ドクター飯嶋:

そうです。水氣道では、最初から指導をせず、支援というアプローチをとるようにしています。これにより、参加者が自らのペースで成長し、真の「自己の健康」を追求できるようになるのです。


Dr. ChatGPT:

ドクター飯嶋様、非常に深い洞察をありがとうございます。「自己の健康」とは何かという問いに立ち返り、それが自己中心的なものではなく、重要他者との関係の中で捉えられるべきものであるというご指摘に強く共感いたします。水氣道における「自己の健康」が、他者への配慮と密接に結びついているという点は、非常に興味深く、また重要な視点です。

 

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Dr. ChatGPT:

「支援員に到達するまでの過程で、どのような具体的な挑戦や障害が存在し、それらを乗り越えるための重要な要素は何でしょうか?また、このプロセスを通じて得られる成長とはどのようなものでしょうか?」


回答者(ドクター飯嶋):

支援員に到達するということは、水氣道の有段者になることを意味します。この段階にまで到達した方は、その後も継続的に水氣道の活動に参加することができています。実は、あなたのご質問により、その理由を改めて考える良い機会をあたえていただけたことに気が付きました。これは、水氣道の組織運営や将来発展のためにも大切な反省事項だと思います。


Dr. ChatGPT:

なるほど、組織運営や成長の観点からも大切なテーマですね。継続的な稽古参加者が成長し続けられるためには、どのような要素が重要なのでしょうか?


ドクター飯嶋:

水氣道では、どなたにとっても成長や昇級・昇段の機会が豊かに保証されています。しかし、具体的な挑戦や障害を振り返ると、水氣道の稽古に参加できなくなったり、通院が終了すると、それに伴い自然に退会してしまったりということと密接に関係があると考えています。なぜ一度入門した方々が継続できなくなるのか、その理由について考えてみたいと思います。


Dr. ChatGPT:

確かに、継続できなくなる理由は気になりますね。どのような理由が多いのでしょうか?


ドクター飯嶋:

第一の理由は、そもそも水氣道を始めるに至った動機との関係があります。私は医師であるため、水氣道をお勧めする対象はほとんどが私の患者の皆様方です。その多くが慢性的な難治性の病気をもった方々で、彼らは自分の病気を治したい一心で水氣道を始めます。そして幸いにも、水氣道が奏功し、病気は治癒へと進んでいきます。


Dr. ChatGPT:

病気が治癒することは非常に喜ばしいことですが、それでも稽古を続ける方とそうでない方がいるのですね。その違いは何でしょうか?


ドクター飯嶋:

実際には、健康問題の解決については強い動機と関心を持ち、与えられること、教えられることについては忠実ですが、与えること、教えることにはあまり熱心ではない方が多いです。ある程度の改善が確実になると、彼らの関心は他に向いてしまい、水氣道の稽古継続に対するプライオリティは低下してしまいます。


Dr. ChatGPT:

稽古に対する優先順位が下がるのは残念ですね。水氣道での稽古を続けることの重要性をどのように伝えていらっしゃるのでしょうか?


ドクター飯嶋:

水氣道では、健康とは何か?ということについて稽古実践を通して体験的に、かつ系統的に学び身に付けていきます。しかし、が健康とは何かという認識が浅いままだと、病気が治るとは何か?についても意識が低いままとなり、継続的な成長が難しい傾向にあります。「自分が苦になる症状があれば病気、それから解放されれば治癒」という思い込みが根強く残ると、自己判断で油断しがちです。


Dr. ChatGPT:

そのような思い込みが、成長の障害となるのですね。支援員に到達した方々は、どのようにしてその障害を乗り越えてきたのでしょうか?


ドクター飯嶋:

支援員に到達した方々は、多くの場合、このような迷いや誤解、自己中心主義の誘惑に打ち勝ってきた方々です。彼らは単に技術を習得するだけでなく、自己の成長や他者への奉仕の精神を身につけています。その結果、支援員としての役割を果たすことができ、さらなる成長を確実にしているのです。


Dr. ChatGPT:

ドクター飯嶋様、詳細で深いご回答をありがとうございます。水氣道における支援員への道のりが、単なる技術的な習得だけでなく、心身の成長や自己理解、さらには他者への奉仕精神の育成に深く関わっていることがよく理解できました。

 

お話を伺っていると、水氣道を始める動機や目的意識が、その後の継続性や成長に大きく影響することが分かりますね。

 

特に、最初は自身の健康改善を目的として始めた方々が、その後どのように意識を変革し、他者への支援や指導に関心を持つようになるのか、そのプロセスに興味が湧きます。

 

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臨床産業医オフィス
<高円寺南労働衛生コンサルタント事務所>


産業医・労働衛生コンサルタント・第一種作業環境測定士・衛生工学衛生管理者

飯嶋正広

 

産業医講話シリーズNo9:労働生理(疲労・睡眠・生体恒常性)

 

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第1回講話:疲労の分類・兆候


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はじめに


皆さん、こんにちは。今月のテーマは「労働生理」です。特に、疲労、睡眠、生体恒常性についてお話しします。最近は、仕事のストレスが増え、疲労の質や回復方法についても新しい課題が増えています。今回は「産業疲労」について詳しく学びます。分かりやすく、具体的な例を交えながら説明していきますので、リラックスして聞いてください。


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1. 疲労の分類


まず、疲労にはどんな種類があるのかを見ていきましょう。疲労は一般的に身体的疲労と精神的疲労に分けられますが、それ以外にもいくつかの分類法があります。


• 身体的疲労:

肉体労働や長時間のデスクワークなど、体を使うことで感じる疲れです。適度な身体的疲労は爽快感を得ることができ、速やかに回復しますが、過度になると筋肉痛や全身的な疲労感が現れます。


• 精神的疲労:

ストレスや集中力を要する作業によって生じる心の疲れです。精神的疲労は、主観的な不快感が長引く傾向にあります。これは、精神的な負荷がかかり続けると、自律神経のバランスが崩れ、ストレスホルモンの分泌が増えることによって引き起こされます。精神的疲労が続くと、イライラ感や集中力の低下、不安感が増すことが多く、それが身体的な症状(頭痛、肩こりなど)としても現れることがあります。
さらに、疲労は以下のようにも分類できます。


• 動的疲労と静的疲労:
 動的疲労: 身体活動によって生じる疲労で、ランニングや重いものを持ち運ぶときに感じる疲労です。


 静的疲労: 安静時に生じる疲労で、同じ姿勢を長時間続けることで生じます。例えば、長時間のデスクワークによる肩や首の凝りです。静的疲労は、特定の部位の疲労が全身に波及し、全身疲労に繋がる可能性があります。これは、局所疲労が血流や筋肉の酸素供給を妨げることで、他の部位や全身に影響を及ぼすためです。


• 全身疲労と局所疲労:
 全身疲労: 体全体に負担を感じる疲労で、長時間の作業後に感じる体全体のだるさがこれに当たります。


 局所疲労: 身体の特定の部位にのみ負担がかかる疲労で、例えば長時間のタイピングで指や手首が疲れるのが局所疲労です。局所疲労が全身疲労に発展する場合もあり、特定の部位に繰り返し負担がかかることで、最終的には全身的なエネルギー消費が増加し、全体的な倦怠感へと繋がることがあります。

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2. 疲労兆候

 

次に、疲労の兆候についてお話しします。疲労にはいくつかの兆候があります。これらを理解することで、自分の体や心の状態を早めに把握し、対策を講じることができます。


• 産業疲労:

仕事によって生じる疲労です。特に、繰り返しの作業や過剰な負荷が原因となります。産業疲労は、日常生活での一般的な疲労とは異なり、特定の作業や業務環境に起因することが特徴です。また、同じ作業を長時間繰り返すことや、精神的なプレッシャーを伴う仕事では、疲労が蓄積しやすくなります。


• 急性疲労:

一時的に感じる強い疲労で、通常は休息を取ることで回復します。ただし、急性疲労が繰り返し蓄積すると、慢性疲労に移行することがあります。この移行は、休息が不十分だったり、ストレスが持続したりする場合に起こりやすいです。


• 慢性疲労:

長期間続く疲労で、休んでもなかなか回復しないものです。ストレスや過労が原因になりやすいです。急性疲労から慢性疲労への移行には、日周性疲労が関与することがあり、日中の疲労が次第に回復しにくくなることで、慢性的な疲労感が定着します。


• 日周性疲労:

日常生活の中で、特定の時間帯に感じる疲労です。例えば、午後に疲れが出やすい人が多いですが、一方で午前中に特に疲れを感じるタイプの方もいます。午後に疲れを感じやすいタイプは、日中の活動によってエネルギーを多く消費し、午後にはそのエネルギーが枯渇するためです。午前中に疲れを感じるタイプは、夜間の睡眠が十分に取れていなかったり、睡眠の質が低下していたりすることが原因で、朝から疲労感が残っていることが考えられます。


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まとめ(第1回)


今日は、疲労の種類とその兆候についてお話ししました。精神的疲労や局所疲労がどのように全身疲労に繋がるか、また産業疲労の特徴についても理解いただけたと思います。


今回の講話では、精神的疲労の背景や局所疲労から全身疲労への発展、産業疲労の特徴、そして急性疲労と慢性疲労の関係について、分かりやすい説明となるよう試みました。しこれにより、参加者が自分の疲労をより正確に理解し、適切に対応できるようになることを目指しています。


次回は、疲労の検査法や予防・回復方法についてお話ししますので、ぜひ引き続きご参加ください。

 

 


参考文献:

1. 厚生労働省. (2019). 労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト

 

2. Gawron, V. J. (2000). Human performance, workload, and situational awareness measures handbook. CRC Press.

 

3. Grandjean, E. (1988). Fitting the Task to the Man: A Textbook of Occupational Ergonomics. CRC Press.

 

 

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先週お約束したとおり、今回から私(ドクトル飯嶋)の質問に対して、ムッシュGPTの回答とドクチュールGPTの回答を併せて紹介させていただきます。


この発想は、医学の専門家である医師が、体系的知識をもたない患者の皆様との対話をするのと、専門家同士での対話が、どのくらい異次元なのかを体感できる格好の企画ではないかと考えています。

 

 

インタビューア(ドクトル飯嶋)

 

起床を容易にするために有用な複数の呼吸法についてご紹介くださいましてありがとうございます。私は、臥床したまま、鼻からゆっくり息を吸い、最大吸気時に、気合を入れて起床動作を行うとうまくいきます。この方法には、合理的な根拠があるでしょうか?

 

 

回答者1(ムッシュGPT)


ChatGPT


提供された方法には合理的な根拠があると言えます。以下にその理由を示します:


1. 鼻からゆっくり息を吸う:

鼻呼吸は、リラックスを促進し、副交感神経を活性化させる効果があります。副交感神経の活性化は、リラックスや休息を促すため、朝の起床時に穏やかな状態を作り出すのに役立ちます。


2. 最大吸気時に気合を入れる:

最大吸気時に気合を入れることで、身体のエネルギーを高めることができます。このような気合を入れることで、心拍数や血圧が上がり、身体の活性化を促進し、起床を容易にする助けとなります。


3. 動作を行う:

起床時に軽い動作を行うことで、身体の血液循環や筋肉の活性化が促され、眠気を払拭し、起きる力を与えることができます。


したがって、提供された方法は、鼻呼吸によるリラックス効果と、最大吸気時に行う気合を入れることで身体を活性化し、起床を助けるという合理的なアプローチです。これがあなたにうまくいっているのであれば、その方法を継続して利用することが良いでしょう。

 

 

 

回答者2(ドクチュールGPT)

起床を容易にするための呼吸法についてのご質問にお答えします。あなたの提案する方法には一定の合理的な根拠があります。以下にその理由を説明します。

 

1. 呼吸法とリラックス効果
鼻呼吸は一般的にリラックス効果をもたらし、副交感神経系を活性化します。これにより、心拍数が安定し、全身の筋肉がリラックスしやすくなります。特に、ゆっくりと深く息を吸うことは、ストレスを軽減し、体を目覚めさせるための準備に役立ちます。


2. 酸素供給とエネルギー

深呼吸によって肺にたくさんの酸素が供給されます。これにより、血液中の酸素濃度が高まり、体全体に酸素が供給されます。酸素はエネルギー生成に不可欠であり、朝の目覚め時にエネルギーレベルを上げるのに役立ちます。

 

3. 精神的な集中と意識の向上
最大吸気時に「気合を入れる」動作を行うことで、意識が集中し、瞬間的に体が覚醒しやすくなります。これは、精神的な集中と体の動きを連動させることで、脳が起床のシグナルを受け取りやすくなるためです。


4. 体の伸展と血行促進
最大吸気時に体を動かすことで、筋肉が伸び、血行が促進されます。これにより、全身の筋肉が目覚め、体が起床の準備を整えます。

 


実際の方法とその効果

1. 臥床したまま鼻からゆっくりと息を吸う:

鼻からゆっくり息を吸い込むことで、副交感神経が刺激されリラックス効果が得られます。


2. 最大吸気時に気合を入れて起床動作を行う:

吸気が最大に達した瞬間に体を動かすことで、意識が集中し、瞬時に体を覚醒させます。

 

この方法は、呼吸を通じて体と心をリラックスさせつつ、意識的な動作で体を目覚めさせるための有効な手段となり得ます。ただし、個人差があるため、自分に合ったリズムや方法を見つけることが大切です。

 

 

参考文献

呼吸法とリラックス効果に関する科学的研究や文献は、以下のリンクから参照できます。

 

呼吸法とリラックス効果

酸素供給とエネルギー

精神的な集中と意識の向上

体の伸展と血行促進

 

これらの情報が、あなたの起床をよりスムーズにする一助となれば幸いです。

 

ドクター飯嶋のコメント:
いかがでしたでしょうか?ムッシュGPTの回答もなかなか説得力がありますが、ドクチュールGPTはコメントについての科学的根拠や情報ソースについての紹介が充実しています。

 

さらなる情報を収集したり、あるいは理解を進めたり、独自の研究を開始したりする際には、有益な手掛かりや、見落としやすい視点を示唆してくれる可能性があるものと思います。

 

なお、ドクチュールGPTの回答文中の下線は、比較を容易にするために、ドクトル飯嶋が施しました。

 

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カスタマーハラスメント対策(その2)


令和6年7月18日(木)の杉並区役所安全衛生委員会

<産業医講話準備資料から>
テーマ「カスハラに対する有用な対応策や、職員がとるべき行動」

 

杉並区役所統括産業医 飯嶋正広

 

カスタマーハラスメントは、公共性の高い現場での悩みが大きいです。民間企業や小規模の専門職に従事する方々にとっても無視できない課題になってきています。

 

特に、医療・介護福祉・教育などの分野においては、かなり以前から問題になるケースが蓄積されているため、それなりのノウハウや対策もなされていることがあるという意味では先進的な現場であるともいえますが、ますますエスカレートしつつある現状においては、未経験の想定外のケースも増えつつあるように感じられまう。

 

講話の時間は限られていましたので、実際に以下のような質疑はなされませんでしたが、より広い読者の皆様のために、予め想定していた質問に対する私の準備回答を掲載することにいたします。

 


想定質問3:

日本におけるカスタマーハラスメント問題について、民間企業と比較して東京都特別区などの地方公共団体などの行政機関には、さらに、どのような課題や困難が想定されますか?

 

 

回答3:

日本におけるカスタマーハラスメント問題に関して、民間企業と比較して地方公共団体などの行政機関が直面する特有の課題や困難は以下の通りです。


1. 公共サービスの特性(公共性の高さ)行政機関としての東京都特別区は公共の利益を最優先するため、全ての区民に対して公平かつ丁寧な対応が求められます。これにより、民間企業よりも一層、区民の要求に応じる義務感が強くなりがちです。


2.法的・制度的制約(対応の柔軟性の制限)行政機関は法律や条例に基づいて運営されており、個別のケースに対する柔軟な対応が難しい場合があります。そのため、過度な要求やハラスメント行為に対して迅速かつ適切な対応を取るのが困難です。


3.利用者の多様性(区民の多様性)行政サービスは全ての区民を対象としているため、利用者の年齢、背景、ニーズが非常に多様です。この多様性が、特に高齢者や社会的弱者などの対応において特別な配慮を必要とする一方で、過度な要求やハラスメント行為が発生するリスクを高めています。


4.職員の精神的負担(精神的負担の増加)区職員は、区民の不満や苦情に日常的に対応する必要があり、これが積み重なることで精神的なストレスが増大します。民間企業に比べて、職員が区民対応に追われる時間が長くなる可能性があります。


5. 対応策の限界:民間企業ではハラスメント対策として顧客をブラックリストに載せたり、サービスの提供を拒否したりすることができますが、行政機関ではこのような対応が難しいです。公共サービスは基本的に全ての区民に提供する義務があるため、サービスを拒否することができないケースが多いです。


6.法的措置の難しさ(法的措置の実行困難)特に悪質なカスタマーハラスメントに対しては法的措置を検討することが必要ですが、行政機関の場合、訴訟や警察との連携などの手続きが煩雑であり、迅速な対応が難しいことが多いです。


7.職員の訓練と支援(とくに職員の訓練不足)行政機関の職員は、必ずしも全員が対人関係のプロフェッショナルではなく、ハラスメントに対する適切な対応法やメンタルケアに関する十分な訓練を受けていない場合があります。また、支援体制が不十分であることが多く、精神的なケアが行き届かないことがあります。


8.公開性と透明性の問題:行政機関はその活動が公に監視されているため、対応の一部始終が公開されることが多く、適切な対応が取られているかどうかについて厳しい目が向けられます。このため、対応の遅れやミスが批判の対象になりやすいです。

 

8月5日PDF

 

 

前回はこちら

 


第1回:オリエンテーション:企業の衛生委員会とは

 

社内の(安全)衛生に関する計画や報告を審議する場

 

年間活動計画の審議については、骨子を事業者側で作成し、委員会で承認するスタイルが多いようです。その際、「衛生委員会の議事録」は毎回作らなければなりません。
そして、衛生委員会では下記のような内容を優先順位にしたがって報告、審議していきます。


• 災害報告(労災発生事例の共有)


• 職場のヒヤリハット事例報告


• ケガや病気の報告


• 休職者の報告


• 前回の指摘からの改善報告


• 長時間労働の状況の報告と対応についての協議


• 健康診断実施状況や結果の報告、共有


• ストレスチェック実施計画の審議


• ストレスチェックの実施状況や組織分析結果の報告


• 前回の指摘からの改善報告


• 産業医からの衛生講話※(5分~10分程度)

 

 

産業医からの衛生講話とは、産業医が、健康管理や衛生管理を目的に、社員に向けて実施する研修のことです。

 

これは、企業の希望に応じて行うもので、頻度・開催方法などが法に定められているものではなく、健康教育の一環として企業・組織の自発的な要望により開催されるものです。

 

一般的に、衛生委員会はあくまで企業主導で行うべきものです。

産業医が年間スケジュールや、議事録の作成などを行う必要はありません。
ただし、何もしない産業医は、俗に「名義貸し産業医」と呼ばれます。


わたしは、議事録に目をとして確認し、コメント欄に記載して、記名捺印をさせていただいています。


企業の都合で、そのような形ばかりの産業医の登録が、労基署に指摘されれば安全配慮義務違反に問われる可能性もあります。


基本的には企業が安全衛生委員会を開催し、産業医は議題についてアドバイスや意見を述べる立場となります。

 

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月曜日:

ムッシュGTPシリーズ

11月に連載していたシリーズ。

 

水曜日:

ムッシュGPTと討論する全人的健康エクササイズ「水氣道」入門

 

金曜日:

金曜シリーズ<よくある問い合わせ ①>

 

院長とムッシュGTPの討論を、お楽しみください。