前回はこちら

 


「よくある質問」については金曜日のシリーズですが、

 

2月16日(金)金曜シリーズ < よくある問い合わせ ⑫ >

 

に取り上げたBさんの質問について、これを敢えて英語に翻訳して、ムッシュGPTに再度質問してみました。

 


オリジナルの質問文を再掲します。

 


質問者:Bさん(日本人)

私は糖尿病の患者です。主治医から適切な治療を受けているので、セルフケアを怠らなければコントロール良好です。将来、インスリンの自己注射を打つようにはなりたくないのですが、インスリン以外に糖尿病の注射薬があると聞き興味があります。その注射薬の概要について教えてください。

 


以下はChatGPTのシステムについての理解を深めるための英語での回答ですが、その場合、回答文も英語になります。生成された英語の回答文は、私が日本語に翻訳することにします。

 

 


質問者:Bさん(日本人)英語翻訳版


I am a diabetic patient. I am receiving proper treatment from my doctor and am in good control as long as I do not neglect my self-care. I do not want to have to self-inject insulin in the future, but I am interested to hear that there are other injectable drugs for diabetes besides insulin. Please give me an overview of these injectable medications.

 


ChatGPTの英文回答

 

Certainly! While insulin is a common injectable medication for diabetes, there are also other injectable medications available that can be used as alternatives or in combination with insulin. These medications are typically used to help manage blood sugar levels in people with diabetes. Here are some of the non-insulin injectable medications:
1. GLP-1 Receptor Agonists (Incretin Mimetics):
Examples: Exenatide (Byetta, Bydureon), Liraglutide (Victoza, Saxenda), Dulaglutide (Trulicity), Semaglutide (Ozempic).
These drugs stimulate the release of insulin and reduce glucagon secretion, leading to lower blood sugar levels. They also slow down gastric emptying, promoting a feeling of fullness and potentially aiding in weight loss.
2. DPP-4 Inhibitors (Gliptins):
Examples: Sitagliptin (Januvia), Saxagliptin (Onglyza), Linagliptin (Tradjenta), Alogliptin (Nesina).
DPP-4 inhibitors work by inhibiting the enzyme DPP-4, which in turn increases the levels of incretins. Incretins help regulate blood sugar by increasing insulin release and decreasing glucagon secretion.
3. SGLT-2 Inhibitors:
Examples: Canagliflozin (Invokana), Dapagliflozin (Farxiga), Empagliflozin (Jardiance).
SGLT-2 inhibitors work by blocking the reabsorption of glucose in the kidneys, leading to increased glucose excretion in urine. This helps lower blood sugar levels.
4. Amylinomimetic (Pramlintide):
Example: Pramlintide (Symlin).
Pramlintide is a synthetic form of amylin, a hormone that works with insulin to regulate blood sugar levels. It slows down the absorption of glucose from the digestive system, reducing post-meal spikes in blood sugar.
5. GLP-1 Receptor Agonist and Insulin Combination:
Examples: Insulin Glargine and Lixisenatide (Soliqua), Insulin Degludec and Liraglutide (Xultophy).
These are combination medications that include both a long-acting insulin and a GLP-1 receptor agonist in one injection. They aim to provide both basal insulin and postprandial glucose control.
It's important to note that the choice of medication depends on various factors, including the type of diabetes, individual health conditions, and treatment goals. Your healthcare provider will determine the most appropriate treatment plan for you based on your specific needs. Always consult with your healthcare team before making any changes to your diabetes management plan.
ChatGPT can make mistakes. Consider

 

 


質問者:Bさん(日本人)英語翻訳版の日本語訳

 

ChatGPTの回答文
確かに インスリンは糖尿病の一般的な注射薬ですが、インスリンの代わりとして、あるいはインスリンと併用できる他の注射薬もあります。これらの薬は通常、糖尿病患者の血糖値の管理に役立ちます。ここでは、インスリン以外の注射薬をいくつか紹介します:


1. GLP-1受容体作動薬(インクレチン関連薬):
- 例 エキセナチド(バイエッタ®、ビデュリオン®)、リラグルチド(ヴィクトーザ®、サクセンダ®)、デュラグルチド(トルリシティ®)、セマグルチド(オゼンピック®)など。
- これらの薬剤はインスリンの分泌を刺激し、グルカゴンの分泌を抑えて血糖値を下げます。また、胃排出を遅らせ、満腹感を促し、体重減少を助ける可能性があります。

 


2. DPP-4阻害薬(グリプチン類):
- 例 シタグリプチン酸塩水和物(ジャヌビア®)、サキサグリプチン水和物(オングリザ®)、リナグリプチン(トラゼンタ®)、アログリプチン安息香酸塩(ネシーナ®)など。


- DPP-4阻害薬は、DPP-4という酵素を阻害することにより、インクレチンのレベルを上昇させます。インクレチンは、インスリン分泌を増加させ、グルカゴン分泌を減少させることにより、血糖値の調節を助けます。

 


3. SGLT-2阻害薬:
- 例 カナグリフロジン水和物(インボカーナ=カナグル®)、ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物(フォシーガ®)、エンパグリフロジン(ジャディアンス®)。


- SGLT-2阻害薬は、腎臓でのグルコースの再吸収を阻害することで作用し、尿中へのグルコース排泄を増加させます。これにより、血糖値を下げることができます。

 


4. アミリノミメティック(プラムリンタイド):

- 例 プラムリンタイド(Symlin®)。


- プラムリンタイドは、インスリンと協力して血糖値を調節するホルモンであるアミリンの合成型です。消化器系からのグルコースの吸収を遅らせ、食後の血糖値の上昇を抑えます。

 


5. GLP-1受容体作動薬とインスリンの併用:
- 例 インスリン グラルギンとリキセナチド(ソリクア配合注ソロスター®)、
インスリン デグルデクとリラグルチド(ゾルトファイ配合注フレックスタッチ®)。


- これらは、長時間作用型インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬の両方を1回の注射で投与する配合剤です。これらは基礎インスリンと食後血糖コントロールの両方を行うことを目的としています。

 

薬剤の選択は、糖尿病のタイプ、個々の健康状態、治療目標など様々な要因によって異なることに注意することが重要です。医療従事者は、患者さんの具体的なニーズに基づいて、最も適切な治療計画を決定します。糖尿病管理計画を変更する前に、必ず医療チームに相談してください。

 

ChatGPTは間違いを犯す可能性があります。要考慮のこと。

 

 

ドクター飯嶋のコメント:
英語による質問に対する英語での回答は、オリジナルの日本語による質問に対する日本語での回答と比べて、その内容や具体性が格段に向上していることが確認されました。

 

ただし、総論部分の回答には注意を喚起しておかなければなりません。

 

ムッシュGPTは、「確かに インスリンは糖尿病の一般的な注射薬ですが、インスリンの代わりとして、あるいはインスリンと併用できる他の注射薬もあります。」と回答していますが、インスリンはあくまでインスリンであって、ある種のインスリンの代わりになる注射薬はインスリン以外には考えられないからです。これは、ニュアンスの問題かもしれませんが、誤解を招きやすいので要注意です。


逆に「ここでは、インスリン以外の注射薬をいくつか紹介します」と回答していますが、実際には、ほぼすべての注射薬を網羅しています。ほぼ、というのは、ChatGPTの情報ベースが概ね2021年までのデータであることから、それ以降に承認された新薬があるとすれば、まだアップデートされていない可能性があるからです。

 

翻訳にあたっては、より正確を期するために、日本国内で使用されている薬剤については、その名称の表記にしたがい加筆・修正しました。

 

日本語版と英語版では、同じ内容の質問をしても、これだけ明らかな回答の違いがあります。日本語版ですら、一般の方々にはなじみにくい説明であったかもしれませんが、それにも増して、英語版での回答は、一般の内科医にとっても詳しすぎる程の情報量です。糖尿病専門医向けの備忘録的なサマリー情報といっても過言ではないでしょう。


それでは、質問原語の違いによる、このような回答内容の違いは何に由来するのでしょうか?

 

英語版では薬剤の一般名だけでなく商品名®まで掲載しているのがヒントになっているように思われます。

 

これは、あくまでも私の推測に過ぎませんが、米国等の巨大な資本力をもつ製薬会社の業界団体の影響力によるものではないかと私は推測しています。

 

ChatGPTのように、全世界に大きな影響力をもつシステムの開発には莫大な費用が必要であることは疑い得ないことです。ChatGPTを開発しているOpenAI研究所自体は、非営利団体とされますが、多数の営利子会社を擁しているとはいえ、外部から相当額の寄付を積極的に受け付けているものと推定することができるのではないでしょうか。

 

つまり、米国の大手の製薬会社が研究開発費を拠出している可能性が少なくないということです。そして、多額の寄付を受けるということは、人材についても出資者の意向に沿う開発者が送り込まれる可能性が高いことが示唆されます。

 

英語版では薬剤の一般名だけでなく商品名®まで掲載して具体的かつ詳細に紹介されている事実がヒントになっているように思われます。

 

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糖尿病の注射療法薬について日本人のBさんと同様の質問を米国人のAさんから寄せられました。

 

Aさんは、Bさんより、具体的な個人的背景となる情報が提供されています。

 

質問者が知りたいのは、一般的な情報だけでなく、本人にとっての個別の情報であることも多いのではないでしょうか。

自分自身にとって有益な情報を得るためには、Aさんのような、より個別的で具体的な質問の工夫が有効になります。

 

また、Aさんの質問の優れているもう一つのポイントは、メリットばかりでなくデメリットについても質問して、両方の観点から比較衡量して最終判断の参考にしたいという意向が反映されているところにみられます。


なお、米国人のAさんのオリジナルの質問は英語ですが、多くの読者の皆様の読みやすさを考慮して、私が日本語に直してムッシュGPTに質問を投げかけてみることにしました。

 

 

質問者:Aさん(米国人)

私は糖尿病の患者です。

主治医から適切な治療を受けているので、セルフケアを怠らなければコントロール良好です。

しかし、食欲が旺盛であるため、しばしば血糖値を大幅に上昇させてしまうことがあります。

 

そこで食欲を低下させる糖尿病の注射薬があると聞き興味が湧きました。その注射薬のメリットとデメリットについて教えてください。

 


ChatGPT

食欲を抑制し、かつ血糖値を管理するための糖尿病の注射薬としては、主にGLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA)が挙げられます。以下にGLP-1 RAのメリットとデメリットを概説します。

 


メリット

1. 血糖値の管理:
GLP-1 RAは、膵臓からのインスリン分泌を増加させ、また肝臓からのグルコース生成を抑制することで、血糖値の上昇を抑制します。これにより、食後の高血糖を軽減する効果が期待できます。


2. 食欲抑制:
GLP-1 RAは中枢神経系に作用し、食欲を抑制する効果があります。これにより、過剰な食事や間食を抑え、体重の管理にも寄与します。


3. 一部の製剤は週1回の投与が可能:
一部のGLP-1 RAは週1回の投与が可能な長時間作用型の製剤があり、患者の利便性を向上させます。

 


デメリット
1. 皮下注射が必要:
GLP-1 RAは一般的に皮下注射として投与されます。これが他の経口薬と比べて患者にとって抵抗感をもたらすことがあります。


2. 副作用:
一般的な副作用には注射部位の発赤や腫れ、吐き気が挙げられます。これらの症状は通常軽度で一時的ですが、一部の患者には継続的な使用が難しい場合があります。


3. 費用:
一部のGLP-1 RAは高価な場合があり、医療保険の適用状況によっては経済的な負担がかかることがあります。

 

 

ドクター飯嶋のコメント
米国人Aさんの質問の仕方が上手なためか、Aさんが知りたい情報の要点は確保されたのではないかと思います。

限られた文字数の回答の場合、知りたい有益な情報を十分に確保するためには、不要な情報が入り込まないようにする工夫も必要であることがわかります。

 

Aさんばかりでなく、主治医である私自身も薬剤のデメリット、とりわけ、副作用(副反応)に関する情報を共有することが不可欠なので、事前情報として提供できることは有益な手続きになります。


ところで、日本人のBさんの質問を英語に翻訳してムッシュGPTに質問すると驚きの回答が得られたのですが、米国人のAさんの質問については、とりわけ、オリジナルの質問文(英文)でムッシュGPTに質問することも試みてみたいと思います。

 

その記事は、3月4日(月)で、とりあげる予定です。

 

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チャットGPTが翻訳ソフトを使用していないというメリットの一端
某高性能有料「翻訳ソフト」にみられる専門用語の誤訳の捏造性?
(その2)


ムッシュGPTにお仕事を引き受けていただくために、前回検証した、某高性能自動翻訳機の誤訳の部分に修正を加えて、以下の中文(中国語の文書)で質問してみました。

 

我不是医生,但我可以提供一些一般性的信息。首先,您的症状改善可能与医生为您开具的两种中药——"加味逍遥散"和"当帰芍薬散"——的配方和周期性服用有关。

 

1. 中药配方的综合作用: "加味逍遥散"和"当帰芍薬散"是中医中的经典方剂,通常被用于调理女性的月经

 

2. 调、经痛等问题。这两种方剂可能通过多种成分的协同作用,综合调理身体的平衡,从而带来症状的改善。

 

3. 根据月经周期的交替使用: 您提到医生根据您的月经周期让您交替使用这两种药物。这可能有助于更好地适应身体的生理周期,以更精准地应对周期性的变化和不适。

 

4. 个体差异: 每个人的身体状况和反应是独特的。有时候,特定的治疗在一些人身上可能表现得更为有效,而在另一些人身上效果较差。您的身体可能对这两种药物的组合产生了积极的反应。

 

5. 心理影响: 有时候,期望治疗会奏效可能会对治疗的效果产生一定的影响。心理因素对身体的影响并不容忽视。


然而,为了更准确地了解为什么您在这种情况下感觉良好,最好的做法是与您的医生直接沟通。医生能够根据您的具体病史、体检结果和症状变化为您提供更专业和个体化的建议。

 

 


高性能として知られている某有料翻訳ソフトによる日本語訳

 

私は医者ではありませんが、一般的な情報を提供することはできます。 まず、症状の改善には、主治医から処方された2つの漢方薬「滋陰益気散」と「当帰芍薬散」の処方と周期的な服用が関係している可能性があります。

 

1.漢方処方の相乗効果:

『滋陰降火散』と『当帰芍薬散』は漢方の古典的な処方で、通常、女性の月経不順や月経痛を調整するために用いられます。 この2つの処方は、様々な成分との相乗効果で身体のバランスを総合的に整え、症状の改善をもたらす可能性がある。

 

2.月経周期に合わせて交互に服用:

月経周期に合わせて2種類の薬を交互に服用するよう、医師から指示されているとのことですね。 そうすることで、周期的な変化や不快感により正確に対応するために、体の周期によりよく適応することができるかもしれません。

 

3.個人差:

体調や反応は人それぞれです。 特定の治療法が、ある人にはより効果的で、ある人にはあまり効果的でないこともあります。 2種類の薬を併用することで、身体が良い反応を示す場合もあります。

 

4.心理的な影響:

治療が効くという期待が、その効き目に影響を及ぼすことがあります。 心理的要因が身体に与える影響は無視できない。

 

しかし、このような状況でなぜ調子がいいのかをより正確に把握するためには、主治医と直接話すのが一番です。 主治医は、あなたの病歴、身体検査の結果、症状の変化などに基づいて、より専門的で個別のアドバイスを提供することができるでしょう。

 

・・・・・・・・・・・・・・・


ドクター飯嶋のコメント:

最初の日本語の質問文を某高性能有料「翻訳ソフト」で中国語変換すると、
せっかくムッシュGPTが正しく反映してくれた<当帰芍薬散と加味逍遙散>に相当する部分を「翻訳ソフト」はわざわざ<汤吉牡丹散和上芍药散>という表記に変換してしまいました。これは、明らかに不適切な変換であり、「汤吉牡丹散」と「上芍药散」というふうに訳が捏造されたようなものです。

 

この翻訳中国語文の誤訳部分を修復して、<当帰芍薬散と加味逍遙散>に還元して再び日本語に変換すると今度は、「唐辛子麦門冬湯」と「香包散」というふうに、実際には存在していない処方名の訳が再び捏造されています。

 

たしかに「麦門冬湯」という漢方薬は実際に存在しますが、まさかそれに「唐辛子」を加えた「唐辛子麦門冬湯」なるものが存在する可能性は少ないと思います。


また「香包散」は聞いたことがありませんが「香蘇散」は良く知られていてとても紛らわしいです。

 

ちなみに、「麦門冬湯」と「香蘇散」は、わが国において、いずれも風邪の際に処方されることがありますが、タイプが合えば新型コロナウイルス感染症(Covid-19)にも処方することができます。

 

なぜ、このような、もっともらしい訳語が生成されるのかは不明ですが、余りにも、もっともらしい誤訳なので、もし私に漢方薬の専門知識が備わっていなければ、私自身も誤りを発見することができなかった可能性があります。

 

漢方薬についての質問に関して、英語による情報ベースでの対するチャットGPTは回答には限界があるのではないか、ということで質問文を中国語に翻訳して質問するということを試みました。

 

ムッシュGPTへの質問を中国語に変換するための翻訳に当たっては、某高性能有料「翻訳ソフト」をしました。その結果、この翻訳ソフトは有料であるからといって、必ずしも優良ではないことが確認されました。

 

それは、専門用語の誤訳というよりは、訳語の捏造に近いものでした。


捏造というのは「事実でない事を事実のようにこしらえて言うこと」(広辞苑)ですが、「翻訳ソフト」は、結果的に訳語を捏造したのと同様の結果をもたらす危険性があります。

 

その場合「事実でない事」というより「実際には存在しない用語」をシステムに内在するプログラムのメカニズムによって自動的に生成してしまうことがあるからです。

 

母国語以外のある外国語に翻訳する場合には、最低限でも、その言語の基礎的な単語や文法についての知識が必要だと思います。その理由は、誤訳と用語捏造が頻繁に行われているため、それを検出できるだけの能力を確保しておかなければならないからです。

 

大切な情報を収集するにあたって、安易にChatGPTや翻訳ソフトに頼ることに対して、私は自らを含め、警鐘を鳴らしておきたいと思います。

 

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糖尿病の罹患者数はなかなか減少しません。


糖尿病の診断は難しくないのですが、初期においては無症状であるためか、治療開始に至らない症例や治療を中断する症例が就労世代に多いことは大問題だと思います。

 

ですから、私は嘱託産業医としての重要な健康管理業務で職場健診が不可欠であり、未治療あるいは治療中断状態にある労働者を医療へとつなげていくための啓発に力を注いでいます。

 

 

以下は、私のクリニックの患者さん(米国人Aさん)からの質問ですが、休職中の職員(日本人Bさん)の職場復帰のための産業医面談でも同様の質問を受けたため、まずムッシュGPTに質問を投げかけてみました。

 

 

質問者:Bさん(日本人)

私は糖尿病の患者です。主治医から適切な治療を受けているので、セルフケアを怠らなければコントロール良好です。

 

将来、インスリンの自己注射を打つようにはなりたくないのですが、インスリン以外に糖尿病の注射薬があると聞き興味があります。その注射薬の概要について教えてください。

 

 

ChatGPT
糖尿病の治療には、インスリン以外にもさまざまな注射薬があります。これらの薬は、異なる働きを持ち、患者の状態によって処方されることがあります。

以下に、主な非インスリン注射薬の概要を示します:

 

1. GLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA):

GLP-1受容体作動薬は、膵臓のインスリン分泌を促進し、同時に食欲を抑制します。これにより、血糖値の上昇を抑える効果があります。これらの薬は通常、食事前に皮下注射されます。一部のGLP-1 RAは週1回の投与が可能であり、患者の利便性を向上させています。


2. DPP-4阻害薬:

DPP-4阻害薬は、血中のGLP-1の分解を阻害し、インスリン分泌を増加させます。食後の血糖値の上昇を抑制する効果があります。これらの薬は通常、経口薬として利用されますが、一部は注射薬としても存在します。


3. SGLT2阻害薬:

SGLT2阻害薬は、腎臓での糖の再吸収を阻害し、尿中に糖を排泄させます。これにより、血糖値を下げる効果があります。これらの薬は通常、経口薬ですが、一部は注射薬としても利用されます。


これらの非インスリン注射薬は、糖尿病患者の血糖管理をサポートするために使われます。

 

ただし、具体的な治療方針は患者の状態や医師の判断により異なるため、最適な治療法は主治医との相談によって決定されるべきです。

 

 

ドクター飯嶋のコメント:
 質問者は非インスリン注射薬(インスリン以外の糖尿病治療用注射薬)について質問していますが、同一の成分でも、注射製剤ばかりでなく内服製剤が使用できる薬剤があることをムッシュGPTは親切に教えてくれています。


この方は、そもそも注射が大の苦手なので、内服も可能であれば、内服の製剤を選択することになるでしょう。


しかし、この方はまた、自分自身の旺盛な食欲とも戦っているため、食欲を抑制できるのであれば苦手な注射であっても選択肢に入れることでしょう。


糖尿病は、世界中の先進国において等しく問題になってるばかりでなく、食生活の欧米化(むしろ単に、米国化か?)に伴い発展途上国でも増加しています。とりわけ米国は糖尿病大国で、米国人が多大な関心を寄せている代表的な生活習慣病の一つです。


そこで、次回は米国人のAさんの質問に対する回答について検討していきたいと思います。


なお、今回のBさんの質問を英語に翻訳して、ムッシュGPTの回答が日本語と英語で違いがあるかどうかを確認してみることは興味深い視点だと思います。

 


Bさんの質問を題材としての、この話題については、2月26日(月)の記事でさらに掘り下げていきたいと思います。

 

 

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水氣道の考え方について、水氣道は競技スポーツとは明確に区別している立場を取っていることは、とても重要です。その理由をわかりやすく説明するために、ムッシュGPTに問いかけてみました。

 

質問者(ドクター飯嶋)

生涯現役とか健康長寿を目的とする場合、スポーツ競技の様に個人の優れた能力をさらに引き延ばすアプローチと弱点を発見して少しずつ着実に底上げして体力全体の均衡を図るアプローチでは、どちらの方が優れていますか?



ChatGPT
どちらのアプローチが優れているかは、個人の好みや特定の目標に依存します。

 

ただし、生涯現役や健康長寿を目指す場合、両方のアプローチを組み合わせることが一般的に効果的です。


1. 個人の優れた能力を引き延ばすアプローチ:

利点:

特定のスポーツ競技や活動に専念することで、その分野での専門知識や能力を高めることができます。これにより、競技力やスキルが向上し、その競技を通じて生涯現役を保つことが可能です。


欠点:

過度な専念がケガや過労の原因となる可能性があります。また、ある特定のスポーツに依存することで、全体的な体力や健康の均衡が欠ける可能性があります。

 


2. 弱点を発見して底上げするアプローチ:

利点:

健康全体を促進するために、個々の弱点や不足している要素に焦点を当てることができます。バランスの取れた運動や全身のトレーニングを通じて、全体的な体力と健康を向上させることが可能です。


欠点:

ある特定のスポーツや活動には専念せず、広範なトレーニングを行うことが求められます。そのため、深い専門知識やスキルが身につくまでには時間がかかるかもしれません。


総合的なアプローチが最も効果的であるとされています。

 

特定のスポーツや活動に専念しつつも、全体的な健康を保つためにバランスの取れたトレーニングやライフスタイルの改善を行うことが望ましいです。

 

個人の目標や嗜好に合わせて、柔軟にアプローチを組み合わせていくことが重要です。

 

 


ドクター飯嶋のコメント:
賢明なる読者の皆様は、私の質問の意図を、すでにお察しになられたのではないかと思います。

 

私は、まず一般論での質問を試みました。しかし、これは「水氣道」という具体的な名称を挙げこそはしなかったものの、「水氣道」にとって大切な原則に通じる問いかけなのです。

 

重要な結論が示されました。

 

「弱点を発見して少しずつ着実に底上げして体力全体の均衡を図るアプローチ」をムッシュGPTは総合的なアプローチと呼び、したがって、水氣道タイプのエクササイズが最も効果的である、ということになります。

 

ただし、このような場合の大切なポイントは、社会に広く展開させようという活動を主宰するにお当たっては、その明らかな長所ばかりでなく、気づきにくい短所やリスクについて事前に把握しておくべきことだと思います。


私が、ムッシュGPTに期待するのは、そのような注意を見出して喚起してもらうことに他なりません。


水氣道タイプのエクササイズの欠点について、彼の指摘は妥当であると思います。


❶広範なトレーニングを行うことが求められること


❷深い専門知識やスキルが身につくまでには時間がかかること


しかし、彼が指摘する欠点は、水氣道にとってはむしろ、不可欠な長所でもあります。要は、短所と評価されがちなものを、どのように長所として活用し価値の転換を図っていけば良いのか、ということではないでしょうか?

 

次回、2月21日(水)は、この点に関して、より具体的に掘り下げていきたいと思います。

 

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チャットGPTが翻訳ソフトを使用していないというメリットの一端
某高性能有料「翻訳ソフト」にみられる専門用語の誤訳の捏造性?

 


(その1)

今回は、2月9日(金)の記事で採りあげた材料を用いて、外国語でチャットGPTに質問する際の注意点について考えてみたいと思います。

 

ムッシュGPTとの出会いは、彼の誤訳、それも真逆の意味の訳語という甚だし誤訳に遭遇することにはじまりました。私としては、彼が使用している翻訳ツールについて検証すべく、質問したところ、特定の翻訳ソフトは使用していない、との回答をえたこともすでにご報告しました。

 

それでは、いったいムッシュGPTはどのようにして翻訳を行っているのか、ということをユーザーは知っておく必要があります。この問題は、今後も、引き続き検討することにして、ムッシュGPTが高性能の翻訳ソフトを使用したとしたら、その誤訳がさらに増幅し、拡大してしまった可能性があるということを体験したので紹介いたします。

 


質問者:Yさん(ドクター飯嶋のアドヴァイスにより改訂版)


私は20代の女性ですが、かかりつけの内科の先生から2週間ごとに当帰芍薬散と加味逍遙散というお薬を月経周期に併せて交互に交互に処方されていただくようになってから、体調も気分も良くなって久しいです。これらの薬は以前、それぞれ単独で継続して内服しても効果が表れなかったので不思議です。どのような理由が考えられるでしょうか?

 

 

高性能とされる某有料翻訳ソフトによる中国語訳(一部修正:ドクター飯嶋)


我是一名二十多岁的女性,自从医生每两周给我开一次 "加味逍遥散 "和 "当帰芍薬散",并根据我的月经周期交替服用后,我的身体感觉越来越好。 这很奇怪,因为在此之前,即使我继续单独服用这两种药,也没有任何效果。 这可能是什么原因呢?

 

ドクター飯嶋のコメント:
"加味逍遥散 "和 "当帰芍薬散"の部分は、「汤吉牡丹散和上芍药散」と翻訳されていました。


これでは、「汤吉牡丹散」と「上芍药散」という意味になってしまいます。
また、この部分の中国語(らしき漢字列)を日本語に再翻訳させると、「唐辛子麦門冬湯」と「香包散」となってしまい、再び捏造の訳文が生成されました。


実際に「麦門冬湯」という漢方薬は存在しますが、まさかそれに「唐辛子」を加えた「唐辛子麦門冬湯」なるものが存在する可能性は少ないと思います。


また「香包散」は聞いたことがありませんが「香蘇散」は良く知られていてとても紛らわしいです。

 

このようにChatGPTを外国語で活用する際に、高精度優良翻訳ソフト併用に伴うシステム併用に伴う問題という観点から、次回2月19日(月曜日)にさらに掘り下げて検討したいと思います。

 

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<水氣道の段級制について>

水氣道は創始以来、段級制を採っています。


日本の武道の中には段級制を採っているものがあります。

 

他の武道の段級制については、ムッシュGPTは、私以上に分かりやすい解説ができるのではないかと考えました。

 

Dr.飯嶋自身が質問を試みることにします。

 

Dr.飯嶋

日本の武道の中には、段級制を採っているものがあります。段級制の意義と目的、制度の長所と欠点について教えてください。

 

ChatGPT

日本の武道において段級制は一般的であり、多くの武道で採用されています。段級制は、武道修行者が進歩し、技術や精神面での成熟を評価し、達成度を示すための制度です。以下に、段級制の意義と目的、制度の長所と欠点をいくつか挙げてみましょう。


意義と目的:

1. 進歩の評価: 段級制は、武道修行者が自身の進歩を定量的かつ目に見える形で評価できるようにします。段位が上がることで、修行者は自身の技術や理解力が向上していることを実感できます。


2. 目標の設定: 段位が目標となることで、修行者は着実な進歩を求める励みとなります。新しい技術や概念を学び、段位を上げることが目標としてクリアになります。


3. 教育の手段: 段位は、教育の一環としても機能します。師範や上級者が弟子や初心者に対して段位を通じて適切な指導を行い、技術や心構えを教えることができます。

 


制度の長所:

1. モチベーションの向上: 段位の取得は修行者にとって大きなモチベーションとなります。目標がクリアに定義され、段位が与えられることで、練習へのコミットメントが強化されます。

 

2. 階層構造の確立: 段位によって、武道団体内での階層構造が明確になります。これにより、上級者と初心者といった異なる経験レベルの者たちが適切に指導され、安全に稽古が行われる環境が整います。


3. 武道の伝統継承: 段位制度は武道の伝統や価値観を継承する手段となります。歴史的な文脈や武道の精神が段位に反映され、伝統が守られることが期待されます。


制度の欠点:

1. 実力とのギャップ: 段位が必ずしも実力を正確に反映しないことがあります。時には単なる段位取得のために合格することもあり、実力と段位のギャップが生じることがあります。


2. 競争心の過度な強調: 段位をめぐる競争が激化し、そのために修行者が競技の側面を強調しすぎることがあります。武道は本来、協力と向上心が重要ですが、段位制度がこれを損なうことがあるかもしれません。


3. 個々のペースに合わない場合: 一律の段位制度は、個々の修行者の進歩ペースに合わないことがあります。ある人が早く段位を進める一方で、他の人が同じ段位に到達するのに時間がかかる場合があります。

総じて、段級制度は武道の指導や進歩のモチベーションに寄与しますが、その運用にはバランスと慎重な配慮が必要です。

 

 

ドクター飯嶋のコメント:

私自身が、ムッシュGPTの回答を読んで驚嘆しています。私の考えとほとんど一致しているばかりでなく、段級制度によってもたらされる欠点についての本質を突いているからです。

 

そこで、私は彼の回答の重要なエッセンス部分に下線を施してみました。水氣道は、武道特有の危うい側面や、段級制に潜む諸問題を克服する工夫を凝らしながら今日の稽古体系を築いてきました。

 

なお、ムッシュGPTが例示している「武道の伝統継承」ですが、水氣道にとっても来年で創始後四半世紀を迎え、ささやかな伝統ともいうべき歴史を辿ってきました。

 

しかし、他の伝統的武道とは異なり、新しいタイプの武道である水氣道は、伝統継承の段階ではなく、伝統の礎を創出していこうとする途上にあるといえるでしょう。

 

そこで、考察の焦点を水氣道に当てて、改めてムッシュGPTに質問を投げかけてみました。彼は、武道としての水氣道に対して、どのような評価を与えれくれるのでしょうか?

 

 

Dr.飯嶋

私たちは2000年に日本で誕生した水氣道という水中での武道を続けています。武道といっても競技ではなく、試合も行わない集団での心身鍛錬法なのですが、段級制を採用しています。段級制の長所を生かし、かつ、欠点が出現しないようにするためには、どのような配慮と工夫が必要でしょうか?

 


ChatGPT
水氣道が競技を行わずに心身鍛錬を重視する武道である場合、段級制度を採用することは依然として有益です。以下に、段級制を長所を生かし、かつ欠点を最小限にするための配慮と工夫をいくつか挙げてみましょう。


1. 目標設定と進歩の評価:

個別目標の設定: 修行者ごとに個別の目標を設定し、段位を通じて進歩を評価します。これにより、各人の成長ペースに合わせた目標が明確になります。


技術と精神面のバランス: 段位試験で技術だけでなく、武道の精神面も評価することで、心身の両面での鍛錬が重視されます。

 


2. 競争を避けた環境構築:

協力と励ましの文化: 競技を行わないことで、協力と励ましの文化を強調します。段位があくまで個人の成長を示すものであると認識させることが重要です。


共通の目的意識: 集団での心身鍛錬を共通の目的とし、段位はその過程での個人の向上を支える手段と位置付けます。

 


3. 継続的な指導とフィードバック:

個別指導: 師範や上級者が修行者一人ひとりに対して個別の指導とフィードバックを提供します。これにより、個人の強みや課題に対処しやすくなります。


継続的なアセスメント: 段位試験以外にも、継続的なアセスメントを行い、修行者の成長を定期的に評価します。これにより、段位試験以外でも進捗が確認できます。

 

 

4. 武道の哲学と結びつける:
武道の理念の共有: 水氣道の修行者に対して、武道の哲学や精神面に焦点を当て、それが段位制度とどう結びついているかを理解させます。これにより、単なる技術向上だけでなく、精神的な成長も重視されます。

 


5. コミュニケーションの促進:
集団でのディスカッション: 定期的な集団でのディスカッションやワークショップを通じて、修行者同士のコミュニケーションを促進します。これにより、相互の理解や助け合いが生まれやすくなります。


段級制度を活かすためには、個々の修行者の特性や目的、武道の性格を考慮し、柔軟なアプローチが必要です。それによって、水氣道は集団での心身鍛錬を深め、段級制度が修行者の継続的な成長を支えるものとなります。

 

 

ドクター飯嶋のコメント:

ムッシュGPTの回答を読んで、なぜ彼が私の水氣道哲学の概要を把握しているのか不思議に思いました。水氣道の創始者として、彼以上の回答を示せる会員に遭遇したことは、これまでなかったことも告白しておかなければならないでしょう。


ただし、彼が指摘してくれたポイントの中で、5つ目のコミュニケーションの促進については、今後、さらなる前向きで創造的な取り組みが必要であると考えます。


そのためには、従来の会員に加えて、新たなるメンバーの積極的な参加が望まれます。それ以前に、私たちが水氣道の魅力について、積極的にアピールしてきたかというと、残念ながら、不徹底であったことは大きな反省材料であると思います。

 

前回はこちら

 

 

<問いの質が変われば、答えの質も変わる>の巻

 

今回の話題は、2月2日の金曜日のシリーズに関連するテーマです。

 

ムッシュGPTは、ちょっとした質問の仕方の違いによって、内容や質が大きく異なる回答を寄越してくれます。要は質問の仕方が肝要だということです。

 

それでは、次に二つの質問と、それに対するムッシュGPTの回答を掲載してみます。

 

まずは、オリジナルの質疑応答を再掲します。

 

質問者(オリジナル質問文)

私は60代の高血圧の男性患者ですが、いろいろな病院で、いろいろな薬を飲んでも血圧は下がらないばかりか、イライラして眠れず、夜間頻尿となり困っていました。


最後に内科を受診したら前立腺肥大症と診断され、その治療を始めたところ、夜間頻尿は軽快し、以前より熟睡できるようになり、イライラが収まってきただけでなく、血圧も正常化してきたので不思議です。


それには医学的な根拠があるのでしょうか、それとも自然治癒でしょうか?

 


ChatGPT

おっしゃるような症状が改善されたことは素晴らしいことです。前立腺肥大症の治療がこれらの症状に対して改善をもたらすことは、医学的な根拠があります。


前立腺肥大症は、男性の前立腺が拡大し、尿路症状を引き起こす状態です。これには、頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、尿の勢いの低下などが含まれます。また、この症状が睡眠障害やイライラを引き起こすこともあります。


前立腺肥大症が進行すると、尿の通り道が圧迫され、尿が十分に排泄されなくなります。これが夜間頻尿や睡眠障害につながります。また、尿が膀胱に滞留することで、膀胱の圧力が上昇し、血圧にも影響を与える可能性があります。


前立腺肥大症の治療は、症状の程度により異なりますが、一般的には薬物療法や手術が行われます。治療により尿路症状が改善され、それに伴って睡眠障害やイライラも緩和されることがあります。


したがって、おそらく前立腺肥大症の治療が、夜間頻尿や睡眠障害、イライラの改善に寄与したと考えられます。

ただし、具体的な状況により個人差があるため、治療の効果は個々の症状や体質により異なる可能性があります。治療が効果的であるかどうかについては、担当医との定期的な相談が重要です。

 

 

Dr.飯嶋のコメント
この質問文の本人には、前立腺肥大症に対して内科的な療法である薬物療法を試みました。しかし、前立腺肥大症の治療法としては、外科的な療法である手術療法が必要になるケースもありますが、専門家ではない質問者としては、そこまでは考えが及ばないのは当然です。


ましてや、質問の仕方のちょっとした工夫によって、ChatGPTの回答が、より具体的に焦点が絞り込まれた、したがって、より有益な回答が得られる可能性については認識されていなかったようです。


そのちょっとした工夫とは何かというと、

それは、「その治療」という質問文の一部を「薬物療法」に変更するだけの操作を加えてみました。

 


質問者(改訂質問文)
私は60代の高血圧の男性患者ですが、いろいろな病院で、いろいろな薬を飲んでも血圧は下がらないばかりか、イライラして眠れず、夜間頻尿となり困っていました。

 

最後に内科を受診したら前立腺肥大症と診断され、そのため薬物療法を始めたところ、夜間頻尿は軽快し、以前より熟睡できるようになり、イライラが収まってきただけでなく、血圧も正常化してきたので不思議です。

 

それには医学的な根拠があるのでしょうか、それとも自然治癒でしょうか?

 


ChatGPT
前立腺肥大症の治療が血圧の正常化やその他の症状の改善に寄与したと考えられる医学的な根拠があります。以下はその主な要因です:


1. 交感神経の影響:

前立腺肥大症は、尿路の圧迫や排尿の困難を引き起こす可能性があります。これにより、交感神経活動が増加し、血圧が上昇することがあります。前立腺肥大症の治療が症状を改善すると、交感神経の活動が緩和され、血圧が正常化する可能性があります。


2. 睡眠とストレスの関連:

夜間頻尿や睡眠障害は、心身のストレスや不快感を引き起こし、それが血圧に影響を与えることがあります。前立腺肥大症の治療により夜間頻尿が改善され、睡眠の質が向上することで、ストレスが軽減され、それが血圧の正常化に寄与する可能性があります。


3. 薬物療法の影響:

前立腺肥大症の治療に使われる薬物が、血圧にも一定の影響を与える可能性があります。一部の薬物は血圧を降下させる効果があり、それが治療開始後の正常化に寄与することが考えられます。


自然治癒ではなく、前立腺肥大症の適切な治療が症状の改善に貢献したと考えられます。ただし、具体的な状況や個々の患者によって結果は異なる可能性があります。

定期的な医師のフォローアップと相談が重要です。

 

 

Dr.飯嶋のコメント
オリジナル質問文と改訂質問文のメッセージの内容は、一見してほぼ同じ内容です。
しかし、ほんのわずかな文言の違いが、回答内容に大きな違いを生み出していることがお判りになるはずです。


改定質問文に対して、ムッシュGPTは、薬物療法の影響についても適切なコメントしています。

 

前立腺肥大症の適切な治療が症状の改善に貢献した、と歯切れよく答えています。たしかに、私が使用した薬剤はミニプレス®というα₁遮断薬で、この薬剤は❶本態性高血圧症、腎性高血圧症、❷前立腺肥大症に伴う排尿障害、この両者の治療薬です。

 

私は一般の高血圧症や前立腺肥大症のそれぞれ単独の治療のために、この薬剤を使用することはほとんどありませんが、排尿障害を伴う高血圧のケースでは好んで用いて大いに効果を挙げています。

 

 

それでは、このような回答文に大きな違いが生じる原因は何なのでしょうか?

 

まず、質問者の用いる重要情報であるキーワードがどれだけ明確で限定的か、いいかえれば、質問者自身が知りたいと考えている対象にどれだけ密接な具体性を備えているか、ということがとても大きく働いている可能性があります。


前者の文言「その(前立腺肥大症)治療」と後者の「前立腺肥大症のための薬物療法」という記述の意味する内容は重なりますが、前者はすべての標準的な治療法を意味するものとムッシュGPTは理解します。

 

すなわち、質問者が暗黙のうちに想定している内科的薬物療法ばかりではなく、おそらくは想定外であると思われる外科的な手術療法も含まれることになります。

 

これに対して、後者は、より限定的で、質問者にとって直接関心の対象となっている薬物療法に焦点が当てられます。

 

ついで、ムッシュGPTの回答文の形式について比較してみると、序文、本文、結論の三段階の構成になっていることが分かります。

 

また、より比較が容易な数値化データとして使用単語数を確認してみると、前者は504、後者は508です。

つまり、ムッシュGPTの回答文は、質問の内容にかかわらず概ね500語程度になっています。


この結果から考えられることは、質問の的を十分に絞って、可能な限り、知りたいことを特定して焦点を定めておくと、回答文も、より内容の濃い、密度の高い、必要な情報がより多い有益なメッセージを生成しやすくなるということです。

つまり、質問者にとって関心が少ない対象についての無駄な情報を省いた分だけ、興味深い関心の対象に関する情報が確保されるということになるのだと思います。


 
こうした事例をつぶさに検討することで改めて気づかされることは、小学校からすでに始まっている教育の課程で、徐々にスキルアップしていくことが望ましいのは、「質問の技術」なのではないか、ということです。そうはいっても、先生に質問をすることも、得手不得手があります。

 

しかし、質問を繰り返さなければ、上手な質問をする能力は身につきません。

 

そのためもあってか、ときには先生が質問者になって、生徒に回答させる授業進行の方法が採られることがあります。

 

これなども、相手の立場や役割を経験することによって、円滑なコミュニケーションを促す手助けになると思います。

 

そうして、授業に参加して、先生に質問できること自体が有意義な学びの成果なのではないだろうか、と私は考えます。

 

質問と回答を繰り返す中で、質の高い問いによる、質の高い回答が容易されやすくなっていくのではないでしょうか。

 

 

日常の診療においても、質問上手な患者さんに恵まれた医師は必ず名医になれるのではないかという気がします。

 

これも一長一短ではなく、医師(ドクターの語源は教師)が患者さんに適切な質問を繰り返したり、質問を促したりする日々の心掛けが不可欠であるように感じます。

 

日常の健康管理において、主治医の役割は、一方的に診断して治療を始めることではなく、互いに学び合って、スキルアップしていくことによって、より望ましい成果を挙げることが可能になっていくことを私は経験してきました。


ですから、これからも私に対して、遠慮せず質問してください。わたしの勉強にもなるばかりでなく、このシリーズのテーマの生きた材料にもなり、ひいては多くの読者の皆様に対して有益なメッセージをお届けすることが可能になると思います。

 

前回はこちら

 

ChatGPTに東洋医学に関する質問をする場合は注意が必要です。


なぜなら、ChatGPTの情報源の大半は、ムッシュGPTの回答によれば英語主体の情報です。そして英語圏の医学すなわち西洋医学的な思想では、平均値や基準値を基に健康状態を判断するため、大規模データを収集し易く、エヴィデンスも集めやすい強みがあります。

 

しかし、そのエヴィデンスはあくまでも多くの標準的な体質の方には良く適合しても、少数の特別な体質の方のためには役に立たないことがあります。

 

したがって、そのような発想では、個別性を尊重する東洋医学、とりわけ漢方薬について的確に判断することは難しいと私は考えています。


YさんがムッシュGPTに質問をされたので、その点に注意しながら、検討してみましょう! 

 

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質問者:Yさん(オリジナル版)

漢方薬についての質問ですが、よろしいでしょうか?

 

私は20代の女性ですが、かかりつけの内科の先生から2週間ごとに当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)と加味逍遙散(かみしょうようさん)というお薬を交互に処方されていただくようになってから、体調も気分も共によくなっています。

 

私は不思議に思うのですが、医学的な根拠があるのでしょうか?

 

 

ChatGPT
漢方薬に対する医学的な根拠は、研究が進んでいるものの、西洋医学のように確立された臨床試験や科学的なエビデンスが十分に揃っているわけではありません。

 

ただし、一部の漢方薬は特定の症状に対して一定の効果があるとされ、その使用は一部の医師によって支持されています。


当帰芍薬散や加味逍遙散は、伝統的な漢方薬で、特に女性の生理調整やストレス対策に使われています。これらの漢方薬に含まれる様々な植物成分が、体の調和を促進し、特定の症状の緩和に寄与するとされています。

ただし、個人差があり、全ての人に同じような効果があるわけではありません。


医師がこれらの漢方薬を処方した理由は、あなたの症状や体調に合わせて、伝統的な漢方医学の観点から効果が期待できると判断されたためかもしれません。

ただし、これらの漢方薬の効果については科学的に確定された情報が不足しているため、医学的根拠を求めるのは難しい場合があります。


大切なのは、漢方薬を使用する際にかかりつけの医師と十分にコミュニケーションをとり、体調や効果、副作用について報告し合うことです。医師は適切な治療法を提供するために、患者との信頼関係を築くことが重要です。

 


ドクター飯嶋のコメント:

ムッシュGPTは、自分の能力の範囲で誠実に回答しています。


ニュアンスの違いかもしれませんが、『確立された臨床試験や科学的なエビデンスが十分に揃っているわけではありません。』というのは若干言い過ぎのような気がします。

 

ここでいう科学的なエビデンスというのは、いわゆる西洋医学的なエビデンスであって、東洋医学には東洋医学のエビデンスがあるということをムッシュGPTは、十分には理解できていないように思われます。


もしくは、彼は漢方薬を民間療法薬と同列に位置付けている可能性があります。現代においては漢方薬ですら、動物実験によるデータが収集されています。

 

一部の漢方薬が特定の症状に対して一定の効果があり、一部の医師によって支持されている、という限定的な表現にも注意していただきたいと思います。

一部の漢方薬といっても、保険診療で処方可能な漢方薬は100種類を遥かに超えています。

 

また、一部の医師というのは、英語圏においては妥当する事実ですが、日本の医師は、私の様に漢方専門医の資格をもつ医師ばかりでなく、広く使われ役立てられています。

 

なお日本の医師の数少ない特権の一つとして、西洋薬と漢方薬の両方の処方権が与えられていることが大切です。

 

英語圏だけでなく中国や韓国などでも西洋医学の医師と伝統医学の医師(中医や韓医)では資格制度からして明確に区別されています。

 

ですから、日本の医師でなければ、両者の長所と短所を認識したうえで上手に使い分けることはできません。

私は日本の医師が東西両医学を併用した統合医学の旗手になるべきではないかと考えています。

 

ムッシュGPTは、医師ではないので、彼の能力を十分に引き出すためには質問の工夫が必要です。来週の金曜日は、私が質問の仕方を工夫して、改めて彼の回答を確認してみたいと思います。

 

前回はこちら

 

 

Dr.飯嶋からのメッセージ:

(再掲)新たに考案された生涯エクササイズに対する誤解や偏見を可能な限り減らすための手立てを提案してください。

 

この質問に対するムッシュGPTからの9箇条の回答のうち、後半の5箇条
について、引き続き検討していきます。

 

 

ChatGPT
新たに考案された生涯エクササイズに対する誤解や偏見を減らすためには、以下の手立てが役立つかもしれません:


5.アクセスの容易化:
エクササイズが手軽でアクセスしやすい場所や方法を提案することで、参加のハードルを下げることができます。


6.多様性への配慮:
様々な年齢層や体力レベルに合わせたエクササイズの提案を行い、全ての人々が参加しやすい環境を整えましょう。


7.効果を実感しやすい目標の設定:
参加者が短期的かつ実感しやすい効果を得られるような目標を設定し、達成感を味わいやすくすることでモチベーション向上に繋がります。


8.プライバシーの尊重:
参加者のプライバシーを尊重し、無理なく参加できるような環境を提供することで、抵抗感を軽減できます。


9.コミュニティの構築:
参加者同士が支え合えるようなコミュニティを構築し、ポジティブな雰囲気を醸成することで、エクササイズが楽しい活動となります。

 

 

<Dr.飯嶋による論点整理と課題>

アクセスの容易化
エクササイズが手軽でアクセスしやすい場所や方法を提案することで、参加のハードルを下げることができます。


<参加のハードルを下げるために>

1)エクササイズの簡便化:水氣道の所要時間は本稽古100分(正味)、半稽古50分(正味)を要します。


水氣道の「準備体操(イキイキ体操)」と「整理体操(のびのび体操)は、自宅でも実施できます。イキイキ体操は立位で15分程度で行い、のびのび体操は坐位(椅子に腰かけたまま)で7分程度で行うことができます。

心身のエンジンを掛けたいときには前者、リラックスをしたいときは後者がお勧めです。

 


2)アクセスしやすい稽古場所の確保:

水氣道は主に室内温水プールで稽古しています。上記の方法であれば、自宅でも行えます。

 


3)アクセスしやすい方法の整備:

自宅実施用の動画を作成することを検討中です。その場合、モデルを公募して、陸上、自宅用に、特別訓練をする必要があります。

 

 

 

多様性への配慮

<全ての人々が参加しやすい環境の整備>

 

1)様々な年齢層に合わせたエクササイズの提案:

水氣道は水浴が可能なあらゆる年代の参加者を想定したデザインになっています。

ただし、施設によっては年齢制限等が設定されていることがあります。ただし、水氣道自体が、年齢制限を設けている訳ではありません。


2)様々な体力レベルに合わせたエクササイズの提案:

水氣道は、杉並国際クリニック(旧、高円寺南診療所)の定期通院者を中核に発祥し、発展してきました。

そのため、体力や気力のいずれもが充実した方ではなく、デリケートな体質や気質の方でも無理なく継続的に実施できるプログラム内容になっています。

 

団体でのエクササイズであるため、「準備体操(イキイキ体操)や「整理体操(のびのび体操)は、原則として全体稽古ですが、それ以外の航法(水氣道の個別プログラム)は、段・級制に基づき、習熟度別の稽古の流れが確保されていますので、無理なく稽古を楽しむことができます。

 

 


効果を実感しやすい目標の設定

<参加者のモチベーション向上のための工夫>

 

1)参加者が達成感を味わいやすくする・・・

個別の目標を設定し、データをもとに進捗を追跡し、成果をフィードバックすることを続けています。

また、グループでのサポートを充実させ、挑戦的で楽しいエクササイズとなるよう氣(ポジティブなエネルギー)が共有できるのが水氣道です。

 

単調なプログラムではなく、バラエティ豊かなエクササイズであることも水氣道の強みです。

 

段・級制は参加者の到達度や参加意欲に対応して認定され、上級に進むほど、参加費が逓減され、4段以上の指導員・監督指導者には、報酬が支払われるシステムになっているため、生涯エクササイズとして、高齢の年金生活者に至っても継続可能となるよう、様々な工夫がなされています。

 

 

2)参加者が短期的効果を得られるような目標設定・・・

原則として四半期ごとに実施されるフィットネス・チェックとメディカル・チェ
ックとを組み合わせた統合型全人的ウェルネス・チェックを実施しています。

 

長短期的効果として単回参加での成果については、個人差が大きいですが、開始後1カ月程度であっても、食欲・便通・睡眠等の改善を見込むことができます。

 

なお、概ね3カ月の継続により、心身両面での改善成果を実感していただけています。

 

 

3)参加者が実感しやすい目標設定・・・

上記の1)2)以外にも、個別に準備した「生活リズム記録表」や、たとえば高血圧の方であれば「血圧手帳」、過体重の方であれば「体重、歩数記録票」の活用など、予め具体的な目標を設定した上で、目的意識をもって稽古に参加していただいています。

 

 

 

プライバシーの尊重

<参加者の抵抗感の軽減のための工夫>

1)無理なく参加できるような環境の提供・・・

稽古会場の確保・拡大に努めています。

 

 

2)参加者のプライバシーの尊重・・・

水氣道のコミュニティは「淡交」を旨としています。

 

これは、会員相互の信頼と敬意に基づく配慮(リスペクト)の態度を養うことを水氣道の基本的な姿勢としているからです。

 

これは<わだかまりがなくあっさりとした紳士淑女の交わり>によって、互いのプライバシーを尊重して、興味本位に深入りすることがないように、との配慮です。

 

それによって個々の参加者や組織全体が、ともに無理なく健全に成長できるという経験則に基づいています。

 

 

 

コミュニティの構築
<楽しいエクササイズ活動の場の構築>
1)参加者同士が支え合えるようなコミュニティを構築・・・

参加者のプライバシーの尊重しつつも、水氣道は「信頼・自助・互助・協働・創造」の五段階を踏まえたコミュニティの構築を目指しています。


2)ポジティブな雰囲気の醸成・・・

水氣道の「氣」とは、ポジティブな雰囲気に他なりません。このような健康的な「氣」と生命の根源である「水」とを媒介とした「淡交」の道を歩み続けていくのが「水氣道」であるということができるでしょう。