「全人的医療への挑戦 — 予防医学の現実と未来への希望」( 11月 )

 


実り多き11月を迎えることができました。


ようやく気候も穏やかになり、スポーツの秋、芸術の秋といった私たちの多くにとっては、恵みの多い、希望に満ちた季節をお過ごしいただけたでしょうか?
私ごとですが、今月半ばに満65歳の誕生日を迎え、高齢者の末席に加えていただくことになります。そこで、平成元年開院以来、およそ35年間にわたる臨床活動を振り帰り、皆様にご報告させていただくと同時に、ともに未来に向けての課題と取り組んでいきたいと願っております。


日本社会が直面している課題の一つに、超高齢社会による医療と介護の需要増加があります。予防医学はこの問題に対する強力な解決策の一つですが、その実践がどれほど現場で実効性を持っているのかは、十分に議論されていません。また、私たちが持つ健康観の誤解が、予防医療の浸透を妨げている現実も存在します。


このシリーズ「全人的医療への挑戦 — 予防医学の現実と未来への希望」では、30年以上にわたる医療現場の経験を基に、予防医学が直面する現実の課題と、その中で見出される未来への希望について、深く掘り下げていきます。全人的医療の視点から、患者一人ひとりが自立した生活を維持できる社会の実現を目指し、現行の医療制度や社会的な枠組みがどのように予防医学を支援できるのかを探求します。


このエッセイシリーズを通じて、予防医学の意義を再認識し、健康な未来を築くための道筋を共に考えていければと思います。ぜひお読みいただき、予防医学と全人的医療の可能性に触れてみてください。

 

 

シリーズタイトル:

 

「全人的医療への挑戦 — 予防医学の現実と未来への希望」

 

この主題は、5回のシリーズを通して以下のようなテーマを取り扱います

 

予め概要をお知らせいたします。

 


シリーズ概要:


1. 第1回: 「予防医学の意義と現実 — 理想と現実のはざまで」


予防医学の基本的な意義と、その実践が現場でどのように行われているかについて掘り下げ、理想と現実の間に存在するギャップを考察します。

 


2. 第2回: 「健康観の誤解 — 自己判断がもたらすリスク」


健康に関する一般的な誤解や、患者が自己判断をすることのリスクについて、実際の診療現場での経験を交えながら解説します。

 


3. 第3回: 「全人的医療の必要性 — 心身と社会を支える包括的アプローチ」


心身両面、さらには社会経済的視点を取り入れた全人的医療の重要性と、その実践の難しさについて論じます。

 


4. 第4回: 「保険医療制度と予防医学 — 支援基盤の不在とその代償」


日本の保険医療制度における予防医学の位置づけ、支援基盤の欠如が与える影響について具体的に探ります。

 


5. 第5回: 「未来への希望 — 予防医学が描く新たな医療の展望」


予防医学が持つ可能性と、それを通じて明日への希望を持ち続ける医師としての展望を描きます。