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臨床産業医オフィス


<高円寺南労働衛生コンサルタント事務所>


産業医・労働衛生コンサルタント・第一種作業環境測定士・衛生工学衛生管理者

飯嶋正広

 

産業医講話シリーズNo8:事務所衛生基準規則について(後半)

 

はじめに
皆さん、こんにちは。前回は「事務所衛生基準規則」の基本的な部分についてお話ししましたが、今回はその続きとして、空気環境基準の詳細や設備の点検・管理について掘り下げてお話しします。前半と一部重複する部分もありますが、より具体的な内容をお伝えしますので、資格試験を受験される方は、とくにしっかり聞いてくださいね。

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空気環境基準の詳細

前回は二酸化炭素の含有率や相対湿度についてお話ししましたが、事務所の空気環境を整えるための基準は他にもいくつかあります。具体的には、以下のような項目があります。


1. 二酸化炭素の含有率(復習)
 事務所内の空気中に含まれる二酸化炭素の量は、100万分の1,000以下であることが求められます。


2. 相対湿度(復習)
 室内の湿度は40%以上70%以下に保つ必要があります。


3. 浮遊粉塵の量
 空気中に漂う粉塵の量は、清浄な空気を保つために極力少なくする必要があります。浮遊粉塵は、呼吸器系に悪影響を及ぼす可能性があるため、定期的な清掃や換気が大切です。


4. 一酸化炭素の含有量
 一酸化炭素は無色無臭ですが、吸い込むと中毒を引き起こす危険があります。事務所内ではその含有量が少ないことが求められます。


5. ホルムアルデヒドの量
 ホルムアルデヒドは、建材や家具から発生することがあります。長期間吸い込むと健康に害を及ぼす可能性があるため、室内のホルムアルデヒドの濃度を低く保つことが重要です。


6. 室内の気流
 室内の気流も適切に保つ必要があります。気流が滞ると空気がよどみ、換気が不十分になります。適度な気流があることで、快適な環境を維持できます。

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空気環境基準の表(補完版)前半の表と比較してください。
以下に、空気環境基準の補完版を示します。

 

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これらの基準に従って、事務所内の空気環境を適切に保つことが求められます。

 

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設備の点検と管理

空気環境を良好に保つためには、設備の定期的な点検と管理が必要です。ここでは、具体的な法定点検のタイミングや頻度、点検内容について説明します。


1. 空気調和設備と機械換気設備の法定点検

 

 法定点検のタイミングと頻度

 空気調和設備や機械換気設備の点検は、1ヶ月以内ごとに1回、実施することが法的に義務付けられています。これにより、設備が適切に機能し続けるかを確認します。

 

 点検内容
 点検内容には、フィルターの清掃・交換、換気経路の確認、冷却水や加湿装置の衛生状態のチェックなどが含まれます。特に冷却塔や冷却水加湿装置は、定期的に清掃しないと菌の繁殖などのリスクが高まります。

 


2. 空気調和設備内の排水受けの点検

 

 排水受けの点検
 空気調和設備内に設けられた排水受けも、原則として、1ヶ月以内ごとに1回、定期に汚れ及び閉塞の状況の点検が必要です。これを怠ると、排水が滞り、悪臭やカビの発生など、衛生上の問題が発生する可能性があります。


 点検頻度
 排水受けの点検は、設備の点検と同様に6ヶ月に1回以上実施することが望ましいとされています。

 


まとめ(後半)
今回は、事務所の空気環境基準や設備の点検・管理について詳しくお話ししました。これらの基準や点検を守ることで、健康的で快適な職場環境を維持することができます。空気環境が整っていることで、皆さんが安心して働ける職場が保たれます。


何か質問があれば、どうぞ気軽に聞いてください。これからも一緒に、安全で快適な職場環境を作っていきましょう。ありがとうございました。