1.1 医学と芸術の歴史的関係

 

医学と芸術の関係は、実はとても古いものです。例えば、古代エジプトやギリシャでは、医療と芸術が一緒に存在していました。ギリシャでは、医の神アスクレピオスを祝うための彫刻や絵があり、治療や癒しを祈るためのものだったのです。また、ルネサンス時代には、医学の進歩が芸術に影響を与え、人体の細かい描写が進化しました。解剖学者たちは、医療の知識を持ちながら、芸術家と協力して正確な人体を描いていたのです。

 

 


1.2 人間の体と心に対する共通の探求


医学と芸術は、どちらも人間の体と心を深く探求しています。医学は体の働きや病気を理解しようとし、芸術は感情や心理を表現しようとします。芸術作品は私たちの感情を表し、医学はその感情を科学的に分析して治療法を考えます。こうして、体と心の関係を多角的に理解することができるのです。

 

 


1.3 芸術が医学に与える影響


芸術は、医学にも良い影響を与えています。例えば、音楽療法やアートセラピーは、患者さんの気持ちを軽くし、痛みや不安を和らげるのに役立っています。音楽を聴いたり、絵を見たりすることで、リラックスできたり、感情を表現できたりします。また、医療現場での芸術活動は、患者さんや医療従事者のストレスを減らし、全体的な健康をサポートしています。

 

 

1.4 医学の視点から見た芸術の価値


医学の立場から見ると、芸術はただの娯楽ではありません。芸術を感じることは、医療従事者の共感や創造力を高めることに繋がります。例えば、音楽や美術が医療従事者のストレスを軽減し、患者さんとのコミュニケーションを深める手助けになるんです。医療現場で芸術を取り入れることで、患者さんとより良い関係を築くことができるのです。

 


1.5 結論


医学と芸術の結び付きは、実はとても深いものです。芸術が医学の実践を豊かにし、医学が芸術に対する理解を深めます。この相互作用は、私たちの心と体の健康に対して大きな影響を与えており、今後さらに広がっていくことが期待されます。医学と芸術が協力することで、もっと包括的なアプローチで健康を支えていけるでしょう。

 

前回はこちら

 

 

インタヴュアー:ドクター飯嶋


生涯エクササイズにおいて、競技スポーツのように、参加者各人の優れた側面に着目して、その側面を中心に機能をさらに強化し続けていくアプローチと、健康測定等により参加者各人の弱点や劣後する側面を発見して、その機能や能力を底上げすることによって総合的な心身機能のバランスを整えていこうとするアプローチがあります。

 

生涯現役や介護予防など健康長寿を目的とする場合には、健康長寿を目指す場合には、競技スポーツのようなアプローチと健康測定に基づくアプローチの両方を組み合わせることが重要であるとのことですが、その場合においても、いずれのアプローチをベースとすることが効果的でしょうか?

 

 

ChatGPT


生涯現役や介護予防など、健康長寿を目指す場合には、両方のアプローチを組み合わせることが効果的ですが、その際にどちらをベースとするかは、個々の参加者の状況や目標によって異なります。


1. 競技スポーツのようなアプローチをベースとする場合:

• 参加者が特定のスポーツや活動に興味を持っており、それを通じて健康を維持したい場合に有効です。

 

• 参加者が競技や特定の運動において優れた能力や技術を持っている場合、それを中心にトレーニングを行うことで、モチベーションを高め、生涯継続的な運動習慣を築くことができます。

 

• 競技スポーツのようなアプローチでは、目標設定や競争の要素が強調されるため、参加者が自己管理能力を高め、継続的な努力を続けることが促されます。

 

 

2. 健康測定に基づくアプローチをベースとする場合:

• 参加者の健康状態やリスクを評価し、個別に適したトレーニングや介入を提供することができます。

 

• 参加者の弱点や健康リスクを特定し、それらに対処することで、将来の健康問題を予防し、健康長寿を支援します。

 

• 健康測定に基づくアプローチでは、バランスの取れた全体的なトレーニングプログラムを提供することができ、生涯にわたる健康的な生活を促進します。
したがって、参加者の目標やニーズに応じて、どちらのアプローチをベースにするかを選択することが重要です。また、両方のアプローチを組み合わせることで、参加者の総合的な心身機能のバランスを整えることができます。

 

 

ドクター飯嶋(水氣道創始者・実践指導者)のコメント


水氣道は、競技スポーツのようなアプローチをとっていません。そのことで、水氣道は、エクササイズにおける大切なメリットを失っている可能性はあるでしょうか?

 

「競技スポーツのようなアプローチでは、目標設定や競争の要素が強調されるため、参加者が自己管理能力を高め、継続的な努力を続けることが促される」というのは重要な指摘です。しかし、水氣道も健康測定項目などを参考にした目標設定を推奨しているため、参加者が自己管理能力を高め、継続的な努力を続けることが促されています。

 

しかも、その目標設定は、スポーツ競技の目標項目とは異なり、ダイレクトに健康長寿や生涯現役、あるいは生涯エクササイズを体現するために直接つながる項目によって成り立っているということの意味と価値を改めて受け止めていただきたいと思います。

 

ようやく9月を迎えることができました。

 

まだ暑さが残り、台風に脅かされるシーズンですが、私にとっては、貴重な季節です。

 

皆様のご理解とご協力、さらには心優しきご支援もあって、私も無事に、武蔵野音楽大学大学院博士前期課程に通学することができています。9月20日から、後期の課程がはじまりますが、それまでが夏休みです。夏休みと言っても、診療や産業医などの公務は引き続き継続しつつ、また、音楽の学位論文(修士論文)の作成を淡々と続けているところです。


そこで、何故、クリニックを経営する医学博士が、音楽の修行を続けているのか?
という素朴で、かつ、ご尤もなご質問に対して、回答する機会を見出せずにおりました。そこで、今月は、不十分ながら、私のこれまで、そして、これからの想いをご紹介させていただく、良い機会なのではないかと考えました。


以下のタイトルで、4章仕立て、9月6日(金)開始、4週間(4回)のシリーズとしました。


予め概要をお知らせいたします。

 

主題: 「心身の調和と芸術の融合—新しい医学と声楽の未来への道」
この主題は、以下の4つの章を通じて以下のようなテーマを取り扱います:

 

1. 第1章: 医学と芸術の深淵な結び付き


o 医学と芸術がどのように互いに影響を与え合ってきたかを探ります。芸術が人間の心身に及ぼす影響や、医学的観点からの芸術の重要性について考察します。

 


2. 第2章: 臨床医学と音楽との関わり


o 音楽が臨床医学においてどのように活用されているかを検討します。音楽療法の受動的な側面と能動的な側面、また音楽が持つ自然な回復力や免疫機能との関連について掘り下げます。

 


3. 第3章: 心身医学の本質と声楽


o 声楽が心身医学において果たす役割を詳述します。声楽の受動的・能動的側面、創造的な表現、呼吸と姿勢の重要性、そして心身医学の課題とその解決に向けたアプローチについて論じます。

 


4. 第4章: 新しい医学へ向けての展望と今後の声楽の発展に向けての期待

 

o 新しい医学のビジョンとそれに対する声楽の可能性を探ります。心身の調和を促進する声楽の役割、創造的なアプローチの重要性、そして未来の発展に向けた期待について述べます。

 

この主題は、心身医学と声楽の深い関係性を示し、これからの医療と芸術の交差点における新たな展望を描くことを目的としています。

 

『嘱託産業医』の相談箱


9月2日(月)

 

臨床産業医オフィス

 

<高円寺南労働衛生コンサルタント事務所>

 

産業医・労働衛生コンサルタント・第一種作業環境測定士・衛生工学衛生管理者
飯嶋正広

 

健康講話原稿:職場における受動喫煙防止対策について

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はじめに

皆さん、こんにちは。本日は「職場における受動喫煙防止対策」についてお話しします。改正健康増進法に基づき、私たちの職場でも受動喫煙対策を強化することが求められています。特に、喫煙者と非喫煙者が共存する職場環境において、いかにして全員の健康を守るかが重要なテーマです。

 

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1. 望まない受動喫煙をなくす

まず第一に強調したいのは、「望まない受動喫煙をなくす」ということです。受動喫煙とは、自分が喫煙しないのに周囲のタバコの煙を吸い込んでしまうことを指します。受動喫煙は健康に深刻な影響を与える可能性があり、特に非喫煙者の健康保護が極めて重要です。


厚生労働省によるガイドラインでは、全ての人が職場で望まない受動喫煙を受けることがないよう、適切な対策を講じることが求められています。具体的には、禁煙エリアと喫煙エリアの明確な区分や、喫煙スペースの換気対策などが挙げられます。

 

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2. 受動喫煙による健康影響が大きい人々への配慮


次に、「受動喫煙による健康影響が大きい人々への配慮」についてです。特に、子どもや妊婦、患者など、健康上のリスクが高い人々に対しては、さらに慎重な配慮が必要です。職場においては、妊娠中の従業員や、持病を持つ従業員が安心して働ける環境を整えることが重要です。

 

そのため、こうした方々が利用するエリアでは特に受動喫煙防止対策を徹底し、タバコの煙が届かないようにする配慮が求められます。

 

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3. 施設の類型・場所に応じた対策の実施

 

最後に、「施設の類型・場所に応じた対策の実施」についてです。職場環境や施設の性質に応じて、受動喫煙対策の具体的な方法は異なります。例えば、オフィスビル内の喫煙室の設置場所や、屋外喫煙スペースの配置などは、建物の構造や利用者の動線を考慮して決定されます。


また、総務・人事担当者や衛生管理者と連携しながら、従業員全体が理解し、協力できるような対策を実施していくことが求められます。特に衛生委員会では、定期的に受動喫煙防止の取り組みを見直し、必要に応じて改善を行うことが重要です。

 

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喫煙規則の遵守と職場の協力

 

皆さん、改めて職場における喫煙規則の遵守についてお話ししたいと思います。

現在、こちらの職場では、「勤務中は禁煙」という規則が設けられています。しかし、実際には勤務中に喫煙のために中座する職員が少なくないとの報告を受けています。

また、喫煙後にタバコの臭いをまとったまま職場に戻り、他の職員に迷惑をかけているとの苦情も寄せられています。


まず、職場で定められた禁煙規則は、全ての従業員が遵守すべき重要なルールです。この規則は、職場全体の健康を守るために設けられており、全員が快適に働ける環境を維持するためのものです。規則の違反が続くと、他の職員の健康や仕事の効率に悪影響を及ぼし、職場全体の士気低下につながる可能性があります。

 

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タバコ臭による不快感の解消に向けて


また、喫煙後に残るタバコの臭いは、非喫煙者にとって非常に不快であり、場合によっては健康に影響を及ぼすこともあります。このような状況を避けるためには、以下のような対策を考えるべきです。


1. 喫煙エリアの見直しと改善: 喫煙場所が職場内にある場合、十分な換気が行われるように設計を見直すことや、できるだけ職場から離れた場所に設定することが重要です。また、喫煙後にしばらく外気に触れるか、専用の脱臭エリアを設けることで、タバコの臭いを軽減することができます。

 

2. 勤務中の喫煙時間の管理: 喫煙者が規則を守り、勤務時間中の喫煙を避けるよう指導することが求められます。これには、喫煙者に対する定期的な啓発活動や、非喫煙者の健康を尊重する文化の醸成が含まれます。

 

3. 職場全体での理解と協力の促進: 喫煙者と非喫煙者の双方が互いの立場を理解し、協力し合うことが重要です。喫煙者には、他の職員への配慮をお願いし、非喫煙者には、喫煙者に対する攻撃的な態度を避け、建設的なコミュニケーションを促すよう働きかけます。

 

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まとめ


本日は、受動喫煙防止対策の重要性とその実施についてお話ししました。職場における受動喫煙防止は、喫煙者・非喫煙者を問わず、全ての従業員の健康を守るための取り組みです。皆さん一人ひとりが、この問題に関心を持ち、積極的に取り組むことが大切です。


職場の規則を守ることは、全従業員が健全で快適な労働環境を維持するための基本です。喫煙規則の遵守と、タバコ臭に関する対策の徹底を図ることで、職場全体の健康と快適性を向上させることができます。


全員が協力し、互いの健康と快適性を尊重し合うことで、より良い職場環境を作り上げることができると確信しています。


これからも、安全で健康的な職場環境を維持するために、皆さんと共に健康で働きやすい職場を目指していきましょう。

 

ご静聴ありがとうございました。