『嘱託産業医』の相談箱

 

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9月16日(月)

 

臨床産業医オフィス

<高円寺南労働衛生コンサルタント事務所>

産業医・労働衛生コンサルタント・第一種作業環境測定士・衛生工学衛生管理者

飯嶋正広

 

産業医講話シリーズNo2:健康診断実施後の措置について

 

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はじめに

 

皆さん、こんにちは。今日は、健康診断が終わった後に何をすべきかという、「健康診断実施後の措置」についてお話しします。健康診断は毎年受けていると思いますが、その結果が出た後、どのような対応をしているか、意識したことはありますか?今日はそのあたりを、わかりやすく説明していきますので、リラックスしてお聞きください。

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健康診断実施後の措置とは?

 

まず、「健康診断実施後の措置」とは何かですが、簡単に言うと、健康診断の結果に基づいて、皆さんの健康をどう管理していくかを決めることです。健康診断を受けた結果、特に問題がなければそのまま安心して働けますが、もし何か異常が見つかった場合には、早めに対処しなければなりません。


具体的には、血圧が高いとか、血糖値がちょっと気になるとか、そういった結果が出たときに、どう改善していくかを考えるのが「健康診断実施後の措置」です。私たち産業医がその結果を見て、皆さん一人ひとりに合ったアドバイスをするのが役割です。

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法的な義務について

 

さて、ここでちょっと法律の話をします。皆さんが働いている職場では、従業員が50人以上いる場合、定期的に健康診断を受けることが義務付けられています。そして、健康診断を実施した後、その結果を「定期健康診断結果報告書」として労働基準監督署に報告することが必要です。これを「遅滞なく」提出するというのがポイントです。この報告がきちんと行われていることで、皆さんの健康が適切に管理されているかどうかがチェックされるのです。

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健康診断実施後の具体的な措置

 

では、健康診断の結果を受けて具体的にどんなことをするのか、順を追って説明しましょう。

 

1. 診断結果の確認
o まずは、皆さんの健康診断結果をしっかり確認します。異常が見つかった場合、どの程度のリスクがあるのかを医学的に判断します。例えば、少し血圧が高めだったり、血糖値が上がっていたりすると、それがどのくらい危険なのかを見極めます。

 

2. 保健指導の実施
o 次に、異常が見つかった方には保健指導を行います。例えば、「塩分を少し控えましょう」とか、「毎日30分くらい歩いてみてはどうでしょう?」といった具体的なアドバイスをします。これを続けることで、改善が期待できるんです。

 

3. 再検査や精密検査の勧奨
o もし診断結果が心配な場合には、専門医による再検査や精密検査をお勧めすることもあります。これは、何か大きな病気の兆候がないかを確かめるためです。

 

4. 労働条件の調整
o 診断結果によっては、作業内容や勤務時間の調整が必要になることもあります。例えば、腰に負担のかかる作業が難しい場合には、別の作業に変更するなど、皆さんが無理なく働けるように配慮します。

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特殊健康診断について

 

さて、もう一つ大事なこととして、特殊健康診断についても触れておきたいと思います。特殊健康診断というのは、特定の有害な作業を行っている方が受ける健康診断のことです。例えば、化学物質を扱う仕事や、騒音が激しい場所での作業などが該当します。

 

この特殊健康診断の場合、事業所の規模に関係なく、たとえ1人でも診断を受けた場合には、その結果を労働基準監督署に報告しなければなりません。これも法律で決まっていることで、皆さんの健康を守るためにとても重要な手続きです。

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まとめ

 

今日は、健康診断が終わった後の措置についてお話ししました。健康診断は、ただ受けるだけでなく、その後のフォローがとても大切です。診断結果に基づいて、皆さんが健康で長く働き続けられるよう、私たち産業医がサポートしていきますので、何か気になることがあれば、いつでも相談してくださいますようお願いします。


皆さんの健康が守られることで、職場全体が元気に、そして安全に働ける環境を作り上げることができます。これからも、健康管理にしっかりと取り組んでいきましょう。

 

9月16日PDF