『嘱託産業医』の相談箱

 

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9月2日(月)

 

臨床産業医オフィス

 

<高円寺南労働衛生コンサルタント事務所>

 

産業医・労働衛生コンサルタント・第一種作業環境測定士・衛生工学衛生管理者
飯嶋正広

 

健康講話原稿:職場における受動喫煙防止対策について

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はじめに

皆さん、こんにちは。本日は「職場における受動喫煙防止対策」についてお話しします。改正健康増進法に基づき、私たちの職場でも受動喫煙対策を強化することが求められています。特に、喫煙者と非喫煙者が共存する職場環境において、いかにして全員の健康を守るかが重要なテーマです。

 

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1. 望まない受動喫煙をなくす

まず第一に強調したいのは、「望まない受動喫煙をなくす」ということです。受動喫煙とは、自分が喫煙しないのに周囲のタバコの煙を吸い込んでしまうことを指します。受動喫煙は健康に深刻な影響を与える可能性があり、特に非喫煙者の健康保護が極めて重要です。


厚生労働省によるガイドラインでは、全ての人が職場で望まない受動喫煙を受けることがないよう、適切な対策を講じることが求められています。具体的には、禁煙エリアと喫煙エリアの明確な区分や、喫煙スペースの換気対策などが挙げられます。

 

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2. 受動喫煙による健康影響が大きい人々への配慮


次に、「受動喫煙による健康影響が大きい人々への配慮」についてです。特に、子どもや妊婦、患者など、健康上のリスクが高い人々に対しては、さらに慎重な配慮が必要です。職場においては、妊娠中の従業員や、持病を持つ従業員が安心して働ける環境を整えることが重要です。

 

そのため、こうした方々が利用するエリアでは特に受動喫煙防止対策を徹底し、タバコの煙が届かないようにする配慮が求められます。

 

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3. 施設の類型・場所に応じた対策の実施

 

最後に、「施設の類型・場所に応じた対策の実施」についてです。職場環境や施設の性質に応じて、受動喫煙対策の具体的な方法は異なります。例えば、オフィスビル内の喫煙室の設置場所や、屋外喫煙スペースの配置などは、建物の構造や利用者の動線を考慮して決定されます。


また、総務・人事担当者や衛生管理者と連携しながら、従業員全体が理解し、協力できるような対策を実施していくことが求められます。特に衛生委員会では、定期的に受動喫煙防止の取り組みを見直し、必要に応じて改善を行うことが重要です。

 

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喫煙規則の遵守と職場の協力

 

皆さん、改めて職場における喫煙規則の遵守についてお話ししたいと思います。

現在、こちらの職場では、「勤務中は禁煙」という規則が設けられています。しかし、実際には勤務中に喫煙のために中座する職員が少なくないとの報告を受けています。

また、喫煙後にタバコの臭いをまとったまま職場に戻り、他の職員に迷惑をかけているとの苦情も寄せられています。


まず、職場で定められた禁煙規則は、全ての従業員が遵守すべき重要なルールです。この規則は、職場全体の健康を守るために設けられており、全員が快適に働ける環境を維持するためのものです。規則の違反が続くと、他の職員の健康や仕事の効率に悪影響を及ぼし、職場全体の士気低下につながる可能性があります。

 

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タバコ臭による不快感の解消に向けて


また、喫煙後に残るタバコの臭いは、非喫煙者にとって非常に不快であり、場合によっては健康に影響を及ぼすこともあります。このような状況を避けるためには、以下のような対策を考えるべきです。


1. 喫煙エリアの見直しと改善: 喫煙場所が職場内にある場合、十分な換気が行われるように設計を見直すことや、できるだけ職場から離れた場所に設定することが重要です。また、喫煙後にしばらく外気に触れるか、専用の脱臭エリアを設けることで、タバコの臭いを軽減することができます。

 

2. 勤務中の喫煙時間の管理: 喫煙者が規則を守り、勤務時間中の喫煙を避けるよう指導することが求められます。これには、喫煙者に対する定期的な啓発活動や、非喫煙者の健康を尊重する文化の醸成が含まれます。

 

3. 職場全体での理解と協力の促進: 喫煙者と非喫煙者の双方が互いの立場を理解し、協力し合うことが重要です。喫煙者には、他の職員への配慮をお願いし、非喫煙者には、喫煙者に対する攻撃的な態度を避け、建設的なコミュニケーションを促すよう働きかけます。

 

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まとめ


本日は、受動喫煙防止対策の重要性とその実施についてお話ししました。職場における受動喫煙防止は、喫煙者・非喫煙者を問わず、全ての従業員の健康を守るための取り組みです。皆さん一人ひとりが、この問題に関心を持ち、積極的に取り組むことが大切です。


職場の規則を守ることは、全従業員が健全で快適な労働環境を維持するための基本です。喫煙規則の遵守と、タバコ臭に関する対策の徹底を図ることで、職場全体の健康と快適性を向上させることができます。


全員が協力し、互いの健康と快適性を尊重し合うことで、より良い職場環境を作り上げることができると確信しています。


これからも、安全で健康的な職場環境を維持するために、皆さんと共に健康で働きやすい職場を目指していきましょう。

 

ご静聴ありがとうございました。