企業の衛生委員会における産業医の「衛生講話」⑮

 

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企業の衛生委員会における産業医の「衛生講話」

 

第14回:特論④ 視環境(その1)

 

「視環境」という言葉は、ふだん聴き慣れない言葉かもしれません。これは簡単にいってしまえば、<人間の視覚>に関わる物理的環境のことです。しかし、それだけでは役に立つ情報にはなりえません。

 

そこで、私が嘱託産業医をしている企業の衛生委員会の委員から実際に受けた質問と回答をご紹介いたします。

 

 

 

<質問>労働現場における作業環境要素の中で「視環境

 

という言葉を当社の衛生管理者からはじめて聴きました。その意味と重要性について具体的に教えてください。

 

 

<回答>視環境という言葉は、労働現場における作業環境の一部を指します。具体的には、作業者が作業を行う際に目に関わる環境要素を指し、照明、視覚的な障害物、画面の見やすさなどが含まれます。視環境の良し悪しは、作業効率や作業者の健康に大きな影響を与えることがあります。

 

 

「視環境」は作業環境要素としてとても大切なキーワードです。
視環境の重要性は以下の点にあります。


「視環境」は衛生管理と安全管理の両面に重複的にかかわってきます。
作業効率の向上: 適切な照明や見やすい表示画面など、良好な視環境は作業効率を向上させます。作業者が作業内容を正確に把握しやすくなり、ミスや事故のリスクを減らすことができます。

 

作業者の健康保護: 悪い照明や見づらい画面は、作業者の目への負担を増加させ、視覚疲労や眼精疲労を引き起こす可能性があります。長時間の作業や不快な環境下での作業は、目の疲れや頭痛などの問題を引き起こす可能性があります。

 

安全確保: 視界が悪い状況下での作業は、作業者の安全に影響を与える可能性があります。例えば、見えない障害物にぶつかったり、作業中の機械や装置を正しく操作できなかったりするリスクがあります。

 

作業の精度と品質: 視覚情報が正確に伝わらない環境下では、作業の精度や品質が低下する可能性があります。特に、細かい作業や視覚的な判断が必要な作業では、良好な視環境が重要です。

 

視環境を改善するためには、まず、第1ステップとして、視環境そのものの理解が求められます。ついで、第2ステップとして、作業環境を測定して、評価をすることからはじめなければなりません。さらに、第3ステップとして、その測定評価結果に基づく必要な措置を講じます。


たとえば、適切な照明設備の導入や、見やすい表示画面の利用、作業スペース内の障害物の整理などが有効です。また、作業者の目の健康を保護するために、定期的な休憩や目のストレッチ、適切な眼鏡の着用なども重要です。

 

次回は、最初の第1ステップについて勉強していきましょう!

 

7月8日PDF