『水氣道』週報

 

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声楽の理論と実践から学ぶNo.1

 

私が水氣道を創始したのは、平成12年(2000)でしたが、同16年(2004)には、本格的に声楽を始めるようになりました。

 

これは、私に限ってのことではなく、水氣道は自然に姿勢を矯正し、呼吸を深くし、動作を円滑にするため、発声や歌唱を容易にしてくれるのです。

 

声楽は、長年にわたる訓練によって鍛えられた発声、音楽解釈、ディクション(註)等によりなる複合的な芸術です。そして、プロの声楽家は音楽解釈の時間、ディクションの時間と同じくらい、発声について研鑽しなければなりません。
 

(註)ディクション:

朗読、演劇、声楽などにおける言葉の発音法を指します。劇場など一定の広さを持つ場所においては、朗読、演劇、歌唱を行う場合、聴衆に言葉が明瞭に聞き取れる発音、すなわち「舞台発音法」が必要となります。

 

 

しかし、私たちアジア人は普段から顎の位置、肩の位置が習慣的に前に重心が倒れやすく、結果的に、本来十分あるはずの喉の空間が狭くなっています。

そのため、気づかないうちに、喉に負担をかけて、過剰に筋肉を疲弊させています。
 

 

水氣道の稽古を続けていると、習慣的に前に重心が倒れやすくなっている顎の位置、肩の位置が自然に矯正されていきます。

自然に、というのは意識せずに、無意識のうちに、ということです。水氣道の稽古理論には<意識性の原則>がありますが、これには無意識のうちに体得できることの意義も含まれています。

意識して稽古したものは、絶えず意識し続けなければならないことでもあるといえるでしょう。

 

これに対して、無意識のうちに修得した技は、日頃、特段の意識をもったり、注意を払ったりすることなく身についている状態に達することができます。

もっとも、意識せずに身に付いたものは、稽古を中断してしまえば、気づかぬうちに忘れてしまいかねないので、いずれにしても稽古の継続は必要です。