認定内科医、心療内科指導医・専門医、アレルギー専門医、リウマチ専門医、認定痛風医
飯嶋正広
専門医でも迷うリウマチ関連疾患の診断(その3)
遠隔診療の落とし穴
数日を経て、相談者の腕の皮疹の写真(スマホ自撮り)が数点送られてきました。
皮疹の所見は、鮭の切り身のような赤みを帯びた湿疹(サーモンピンク疹)、個々の湿疹の境界は不明瞭(癒合傾向)でした。
これを確認した瞬間に診断はほぼ確定しました。
成人スティル病は、発熱、皮疹、関節症状を主な症状とする全身性の炎症疾患です。発熱に伴って皮疹や関節痛がみられます。また、解熱とともに皮疹、関節痛が消失するという症状が特徴的です。
診断の決め手となる症状、検査所見には乏しいため、症状や所見から総合的に診断をします。
小児におこるスティル病(全身型若年性特発性関節炎)という疾患と同様の病像が成人(16歳以上)に起こったものと考えられています。
成人スティル病はリウマチ性疾患の中では稀な病気の1つであり、この病気を持つ方は人口10万人あたり2人程度です。一般的に20歳~40歳代の比較的若い成人が発症します。
原因はわかっていませんが、遺伝素因やウイルス・細菌の感染など環境因子が関係しているのではないかと考えられています。
病態としてはマクロファージという細胞が活性化しており、インターロイキン(IL)‐6,IL-1,IL-18,腫瘍壊死因子(TNF)といった種々のサイトカインが過剰に産生されているものと考えられています。
成人スティル病は基本的には生命予後の良い病気ですが、半数の患者さんが寛解(症状のない状態)と再燃を繰り返します。
スティル病の診断基準(山口基準) (J Rheumatol.19(3):424-30,1992から引用)
該当診断項目とこの症例での該当所見
どうやら、この症例は、成人発症型スティル病の可能性が高いことが分かりました。
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