『聖楽院』便り

 

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聖楽院主宰 テノール 

 

飯嶋正広

 


長引く新型コロナパンデミックは、世界経済を沈滞化させ、政情を不安定化させ、芸術活動を大いに妨げています。しかし、悲観してばかりでは幸運はやってきません。

 

私は、日々、新型コロナ対策に追われてきましたが、それによって世界を見る目や医療に対する考え方や芸術観が大きく転換してきているのを感じています。

 

たとえば、本日は武蔵野音大声楽科別科の入学試験の実技試験を江古田キャンパスで受けるのですが、それで飽き足らずに、その足で、お茶の水に向かうことになります。

 

原寸大以上の大きなスクリーンが準備されている専用スタジオで高名なバーバラ・ボニー先生の個人レッスンを受けるチャンスに恵まれました。ボニー先生は、高名な世界的ソプラノ歌手で、世界的声楽コーチとして、NHKスーパーオペラレッスンでも放映され大きな反響を得ました。私も偶々視聴していましたが、生徒達の歌声が魔法のように変化する彼女のレッスンは、とても感動的でした。

 

先生は現在モーツァルテウム音楽大学教授&英国王立音楽院客員教授です。

1956年4月14日 、アメリカ生まれで幼少よりピアノとチェロを学び、オーストリア・ザルツブルク大学でドイツ語と音楽を学んでいる最中に、チェロから声楽へ転向、その後モーツァルテウム音楽大学で声楽を集中して学んだという異色の経歴の持ち主です。

 

1979年ダルムシュタット州立歌劇場で、『ウィンザーの陽気な女房たち』のアンナ役でデビューし、ロンドンのロイヤルオペラハウス、ミラノスカラ座などヨーロッパ主要な劇場で活躍されました。

 

1987年には、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場(MET)でリヒャルト・シュトラウス『ナクソス島のアリアドネ』ナイアーデ役、ウィーン国立歌劇場で『ばらの騎士』ソフィー役を務め、一躍脚光を浴びました。その後の活躍は目覚ましく、世界中の主要歌劇場を舞台に観客を魅了しました。

 

オペラのリリックソプラノ歌手としてDecca, DGG, EMIといったレーベルから100以上の録音を出したが、1999年以降、歌曲を中心に音楽を極めていくことになりました。

 

バロックから20世紀まで幅広いレパートリーを誇り、現代の最高ランクのリリックソプラノ歌手として世界的に評価されている方ですが、現在、母校オーストリア・モーツァルテウム音楽大学教授の他、英国王立音楽院では客員教授として、また多くのマスタークラスでも後進の育成にも力をいれています。

 

1999年10月12日に私の故郷の茨城県水戸市の水戸芸術館にて先生のリサイタルの開催が予定されていましたが、東海村JCO臨界事故の影響を懸念して中止された、とされています。いつか水戸芸術館でのリサイタルが実現されたらどんなに素晴らしいことでしょうか。

 


バーバラ・ボニーのベルビエ音楽祭マスタークラス

 

スーパーオペラレッスン第1回

 


声楽レッスン:ブレスの仕方

 


 

当日の個人レッスン曲は以下の3曲を予定しております。

 

#1.Im wunderschönen Monat Mai(Dichterliebe Nr.1)

美しい五月に(詩人の恋、第1曲)/R.シューマン作曲

 

#2.L‘ultima Canzone

最後の歌 /P.トスティ作曲

 

#3.Che gelida manina

冷たき手を(オペラ「ボエーム」第1幕から)/G.プッチ―ニ作曲