故郷(茨城)探訪

 

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「知られざる茨城の名湯・秘境」シリーズ


第二弾:常磐うぐいす谷温泉 竹の葉(北茨城市)その3

 

<常磐うぐいす谷温泉は、本当に温泉なのだろうか?>

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はじめに、簡単な復習をしておきましょう。温泉法(昭和23年制定)の条文の定義では「地中から湧出する温水、鉱水および水蒸気、その他のガス(炭酸水素を主成分とする天然ガスを除く)で、湧出口での温度が摂氏25度以上のものか、鉱水1㎏の中に定められた量以上の物質が含まれるもの」ということになるます。つまり25℃以下でも、規定物質を一種以上含んでいれば「温泉」といえることになります。

 

「常磐うぐいす谷温泉竹の葉」の泉温は15.4℃(調査時における気温の記載なし)であり、25度未満でした。ちなみに「友の湯温泉」の泉温が15.3℃でほぼ同じですが、そちらの温泉分析書には調査時における気温が記載されていました。

 

そこで次に「常磐うぐいす谷温泉竹の葉」の鉱水1㎏中の成分を確認してみると、遊離成分(非解離成分)が40.2(㎎)含有され、温泉法第二条の別表に規定される基準である50(㎎)以上という条件を満たしておりません。

 

さらに、「常磐うぐいす谷温泉竹の葉」の<温泉の成分と使用説明>の記載によると、

当該温泉の泉質・泉温の欄には メタほう酸 15.4℃
とあります。

 

メタホウ酸(HBO2)は温泉法第2条別表中の指標物質の一つですが、含有量(1㎏中)で5㎎以上、という基準が定められています。

 

しかし、「常磐うぐいす谷温泉竹の葉
の<温泉の成分と使用説明>にはメタほう酸の含有量は表示されていません。したがて、「常磐うぐいす谷温泉竹の葉」は温泉法の定義に基づく「温泉」かどうかは、判定不能ということになります。

 

なお、これ以降の議論は「常磐うぐいす谷温泉竹の葉」を温泉に準じるものと仮定してすすめてみることにします。そもそも温泉は湧出口(源泉)での泉温によって次の4つに分類されます。たとえば、25℃未満の「常磐うぐいす谷温泉竹の葉」は、「冷鉱泉」に相当します。

 

また、温泉水の液性(酸性、中性、アルカリ性)がpH値(水素イオン濃度指数)によって記されています。一般的にpH7が中性とされ、血液のpHは7.4で弱アルカリ性ですが、温泉の場合はpH6以上から7.5未満の範囲を中性とし、「中性泉」と呼びます。また、pH7.5以上から8.5未満の範囲は「弱アルカリ性泉」と呼びます。
「常磐うぐいす谷温泉竹の葉」のpHは8.0なので弱アルカリ泉に相当します。分類されます。弱アルカリ性泉は、肌の角質をとる美肌効果があります。 

 

さらに、温泉水の密度についての記載は、「常磐うぐいす谷温泉竹の葉」の<温泉の成分と使用説明>には示されていませんでした。


通常、温泉分析書には、温泉水の溶存物質総量が記載されています。溶存物質総量とは、鉱水(鉱泉)1kg中に含まれているガス性以外の物質の総量のことであり、陽イオンと陰イオンと非解離物質の総合計の値をさします。1978年に改正された環境庁鉱泉分析法指針で療養泉の基準のひとつとなり、総量1,000㎎以上は塩類泉に分類されます。「常磐うぐいす谷温泉竹の葉」の溶存物質計(ガス性のものを除く)は784mg/㎏mなので、塩類泉に相当する基準は満たしていません。また、浸透圧による分類では「常磐うぐいす谷温泉竹の葉」は、「低張泉
(8g=8,000㎎未満)に相当することになります。