第8回なかの国際声楽コンクール応募準備を始めてみたら・・・No1
コンクールに参加するためには、まず参加資格を確認することから始めます。
私は実力とは無関係な条件が多いコンクールは敬遠しています。というより、排除されています。
まず年齢制限。45歳から声楽を学び始めることの決定的な不利は、プレステージの高いコンクールに挑戦するに際して、年齢制限のため、軒並み相手にされないことです。
そして、次には音楽歴です。
これは音を楽しんできた自分の歴史ではなく、音楽を続けてきたキャリアと解釈しなければならないことのようです。つまり、音大に在学中であるとか、音大卒業者であるとか、あるいは音大の大学院での研修歴とか、結局、音<楽歴>とは音<学歴>のことのようです。
実力があれば、千住真理子さんのように音大卒でなくとも立派に活躍できるし、私を声楽に駆り立てた元鹿児島大学医学部教授である米沢傑氏も音大卒ではありません。
しかし、日本の現実は、それほど甘いものではないようです。千住さんは音大卒のバイオリニストから陰湿な妨害やいじめを受けて苦しんだ経験があることを最近知りました。おそらく米澤先生も多くの障害を乗り越えなくてはならなかったことでしょう。
そして日本の音大出身者のプロの大半は、音大を卒業していない音楽家を同じ土俵(舞台)の上の仲間として認めようとしたがらないのは厳然とした、偽らざる事実なのです。
音大卒でなくともクラシック音楽の世界でプロ並みの扱いを受けられるようになるためには、名だたるコンクールで上位入賞することのようです。そこで私は、年齢制限なし、音楽歴を問わず、という一流の声楽コンクールを発見しました。
それは、<日伊声楽コンコルソ>でした。応募条件には今でも「満18歳以上、日本国籍を有するか日本在住(国籍不問)の者。学歴、音楽歴は問わない。
と明記されています。
しかし、ここでも新たな壁があったのです。
それは、応募資料に、師事している先生の名前を記入しなければならないことでなのです。
そこで、当時師事していた先生に、恐る恐る相談したところ、<あなたは立派な御職業をお持ちなのだから、他の領域を侵すべきではない>と厳しく忠告されてしまいました。そこで、私は東京での予選ではなく、関西の予選に応募し、週に一回のグループレッスン(日本声楽家協会ライフワークコース)でお世話になっている二人の先生の名前を記入して参加したのでした。
結果は一次予選敗退でしたが、その後が大変でした。
師事していた先生からは、次のワンレッスンの間、まるまるお説教を食わされ、その後、事実上の破門を宣告されてしまったのです。
それから、日本声楽家協会でお世話になっていたソプラノの先生からは、「私は飯嶋さんの個人レッスンをお引き受けしたことはなかったはずですよね。」と困惑顔でたしなめられてしまいました。
クラシック音楽の世界では、たとえ一人ずつ順番にレッスンを受けていても、グループ契約ではなく、個人契約でないと師事したことにならないのは常識なのでしょうが、不幸なことに、当時の私は非常識であることさえにも気が付きませんでした。
それにしても、私が関西の予選に出場しただけ、しかも不合格という結果であったにもかかわらず、<日伊声楽コンコルソ>に参加したという噂は一気に拡散してしまったのです。これは、今から10年ほど前のことでした。ですから、その後は、師事した先生が主宰となっているか、審査員となっているコンクールをいくつか集中的に受験しました。
この方法をとるメリットは、毎回のレッスンでの先生の気合が違ってくることです。
以下は、実績例です。
第3回山手の丘音楽コンクール(フェリス女子大学主催)本選入選(男声1名のみ)
指導:フェリス女子大音楽学部長(当時)テノール蔵田雅之先生
第3回東京国際声楽コンクール アマチュア部門本選5位入賞(男声1位)
指導:東京藝大教授(当時) テノール川上洋司先生
第22回日本クラシック音楽コンクール 本選入選
指導:東京音楽大学講師 ソプラノ五日市田鶴子先生
ただし、これにも飽きが来ました。高みを目指そうとするアマチュアがチャレンジしたいと思うようなコンクールの多くが、音大出か否かでプリフェッショナル部門とアマチュア部門とを区別するコンクールシステムを取っているからです。このシステムはプロフェッショナルにとっては幸いかも知れませんが、私のような立場からすれば、気力が挫かれる思いがしたからなのでした。
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