故郷(茨城)探訪

 

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「知られざる茨城の名湯・秘境」シリーズ


第二弾:常磐うぐいす谷温泉 竹の葉(北茨城市)その1

 

茨城県は、年間を通して比較的温暖な気候に恵まれ、山・川・大地と変化に富んだ自然はたくさんのおいしい食材を提供しています。そして、茨城の沖の太平洋は黒潮と親潮が交錯しています。そのため水揚げされる魚の種類も豊富で豊かな漁場が形成されています。それら地元の海の幸・山の幸をふんだんに使った料理は、たとえ素朴な外観であったとしても、栄養学的には天下一品であるといえます。その豊かな自然の恵みに感謝して、あまりに大胆で不自然な手を加えようとしないのが茨城流のもてなし方だといえるかもしれません。つまり、あからさまな、これ見よがしのアピールを良しとしない茨城の素朴な美風が息づいているのです。

 

さて、今回の常磐うぐいす谷温泉。東京の山手線にも「鶯谷」駅があり、渋谷区にも丁名がつかない鶯谷町がありますが、季節になると本物のうぐいすの囀(さえず)りを聴くことができるのは、茨城県のうぐいす谷であると言えましょう。実際に、野鳥が庭先や生垣や付近の木立には様々な野鳥の姿を目にすることができるこの旅館に到着したのは、12月12日の夕刻でした。

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福島県双葉への出張帰りで、JR常磐線で茨城県に入って2つ目の磯原駅で降り、タクシーで数分のところにありました。茨城県人を誇りながら、この駅で下車するのは初めてでしたが、こんなところに純和風の温泉旅館があるなどとは想像できない、隠れ家的な立地でした。タクシーを下車したときの外観は、ちょうど案内のサイトに掲載されている写真と同様の風情でした。

 


館内は静かで落ち着いた環境に囲まれていました。和風旅館ならではの落ち着いた佇まいでくつろげるのはありがたいことです。双葉での産業医業務内容は短時間での集約的な、しかも責任の思い業務であるためか、勤務中よりも、その後の帰路に疲れを覚えます。ですから、福島からの帰路の途中に温泉旅館でくつろぐことができるのは贅沢なひと時となります。

 

宿全体が竹林と渓流と池に囲まれ、しかも手入れの行き届いた風情のある内庭の生垣で隣接の客室とも仕切られているため、まさに隠れ湯の宿の名に値します。また、客室の前の渓流では心地よい静かなせせらぎの音を立てています。

 

しかも、その贅沢な隠れ部屋で、ゆっくりとのんびりと疲れを解きほぐすことができます。その理由は、竹林と渓流と池に囲まれた露天ぶろ付きの大浴場と内湯も露天風呂仕立てになっているのが大きな魅力であったからです。そのお蔭で、一泊だけの宿泊であっても充実したくつろぎのひとときを十分に味わうことができました。

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