故郷(茨城)探訪:番外編:五浦探訪

 

前回はこちら

 

今回は、茨城に人気がない理由(その3)の予定でしたが、先週の記事を読んだ方から、是非、五浦訪問のレポートを書いて欲しいというリクエストがありましたので、急遽、番外編を組むことにしました。

 

五浦海岸(いづらかいがん)は、茨城県最北端の海岸で、花園花貫県立自然公園に属し、「関東の松島」の異名を持つ景勝地です。

 

1639870302482 1639870277493 1639870281205

 

タイトルの数は将棋の若手ヒーローの藤井聡太さんに負けないくらい多数を数えます。

 

日本の渚百選、日本の音風景100選、茨城百景、日本の白砂青松100選、日本の地質百選、等々。「名は体を表す」と言いますが、五浦に限っては嘘ではありません。

 

名といえば、五浦の名称の由来について、私は今回初めて知ることができました。すなわち、南から「小五浦」「大五浦」「椿磯」「中磯」「端磯」の五つの浦を称して五浦というのだそうです。

 

そして、「浦」というのは「磯」を意味していることも初めて知りました。茨城県には、霞ケ浦や北浦があるため、淡水湖の岸辺や湖のイメージが定着していたため、これも意外な発見でした。

 

 

さて、なだらかで単調である茨城の海岸の中では、ここだけが例外的に複雑怪奇です。大小の入り江や磯、高さ約50mの断崖絶壁などが続くのですが、この地形は、海食崖といって、波による浸食で形成されたものとのことです。

 

この辺りの波だけがとくに強烈なエネルギーを持っている訳ではなさそうに思えます。

そうだとすれば、注目すべきは崖を成している地質にあるのではないかのかと考えた次第です。

 

亀ノ尾層(珪藻質砂岩、珪藻質砂質頁岩)、多賀層群などの地層が見られるのですが、要するに五浦海岸を特徴づけている奇岩を成しているのは炭酸塩コンクリーションであることを現地で確認することができました。

 

これは、海底油・ガス田の硬成分から形成された地層なのですが、こうした地層が波に侵食されて崖の侵食や奇岩が形成されたのではないかと、一応は納得したつもりになりました。それに目をつけて、五浦海岸の沖などで掘削を始めようとする輩が出現しないことを祈ります。

 

崖の上に自生するクロマツも独特の風情を与えてくれているのですが、こうした地層と海辺という環境条件がクロマツを幸せに育んでくれているのかも知れません。
岡倉天心ゆかりの六角堂や茨城県天心記念五浦美術館の素晴らしいさについてもご紹介したいのですが、どうしても話が長くなってしまうので、年明け以降に、改めてご紹介させていただきたいと思います。