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第一弾:友の湯温泉(北茨城市)その3

 

<友の湯温泉は療養に適する温泉か?>

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「友の湯温泉」を温泉医学的にまとめてみると、冷鉱泉(湧出口での泉温15.3℃<25℃)、中性泉(pH値7.1:6以上から7.5未満)、低張泉(ガス性のものを除く溶存物質計0.553g/㎏<8g/㎏)に分類される温泉です。

 

ただし、温泉の分類はそれだけではありません。温泉医学的には、その温泉が「療養泉」に該当するかどうかも関心がもたれます。まず、友の湯温泉が低張泉であるということから「療養泉」(註)の中の「単純温泉」との異同について検討してみることにします。  

 

(註)療養泉:

温泉の中でも、特に治療の目的に供し得る温泉とされます。その定義は温度が25℃以上、または、遊離二酸化炭素や鉄イオン、水素イオン、総硫黄などの物質いずれか一つが一定以上含まれていることです。 その成分ごとに9ないし10の泉質に分類されています。

 

「単純温泉」とは、温泉水1kg中の溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg未満かつ湧出時の泉温が25℃以上の温泉です。ここで重要なのは、、温泉水1kg中の溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg未満または湧出時の泉温が25℃以上の温泉ではないということです。友の湯温泉は低張泉(ガス性のものを除く溶存物質計553mg/㎏)で1,000mg未満には該当しますが、泉温が25℃に達しない冷鉱泉(湧出時の泉温が15.3℃)でありため、単純温泉には分類できないことになります。また、友の湯温泉の泉質は、他の成分組成からみても、その他、いずれの療養泉にも該当しません。

 

しかし、泉温に関して、指摘しておきたいことがあります。日本は海に囲まれている海洋国であるため、本来は「塩化物泉」が一番多い泉質なのですが、次第に掘削温泉が増えるにつれ、「療養泉」の一つである「単純温泉」が日本の温泉の代表的な泉質になりました。しかし。地中を100m掘るごとに地下水の温度は2~3℃上昇するため、1,000m~1,500mも掘削(ボーリング)すれば、温泉の定義となる25℃以上のお湯が出ることになるのです。
 

 

「友の湯温泉」は、源泉で自然湧出泉であるにもかかわらず、湧出時の泉温が25℃未満であるため日本の代表的な「療養泉」である「単純温泉」には該当しません。しかし、加温することによって、「単純温泉」と同系統の特徴や効能が期待できるはずであり、掘削による「単純温泉」よりすぐれた効能効果が得られる可能性は低くはないのではないかと考えます。
 

友の湯温泉の効能効果については、以上の理由から、単純温泉が参考になるでしょう。「単純温泉」は「単純泉」と呼ばれることが多いですが、「単純温泉」が正式な名称です。単純温泉の利点はたくさんあります。まず、刺激が小さく「やさしい温泉」であるため、子供からお年寄りまで家族揃って安心して入れる温泉であるということです。単純温泉は「湯あたり」を起こしにくい代表的な泉質でもあります。温泉の刺激に不安がある方は、まずは単純温泉に入ることから始めてください。単純温泉は安心して入れる温泉なので、私は患者さんたちに対しても「温泉療養のスタートは単純温泉から」はじめることをお勧めしています。

 

なお、温泉には、人体に対する作用の刺激の強さ、すなわち「緊張度」により、次のように二大別することがあります。それは、刺激作用の強い「緊張性」温泉と、刺激作用の弱い「緩和性」温泉です。「単純温泉」は、「緩和性」温泉のひとつです。

 

なお、温泉には療養泉に共通する「一般適応症」とその泉質独特の効能といえる「泉質別適応症」がありますが、単純温泉の効能は「一般適応症」のみです。
以下に列記します。

 

一般適応症・・・神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、健康増進

<はじめに>

 

前回は「歯の痛み」に効果のあるツボを紹介しました。

 

 

「合谷」は親指と人差指の間にあり、

 

 

「地五会」は足の薬指と小指の間で足首方向に指を滑らせて止まるところにあるというお話でした。

 

 

今回は「のどの痛み」に効果のある「経渠(けいきょ)」「京骨(けいこつ)」「尺沢(しゃくたく)」のツボを紹介しましょう。

 

 

<経渠>

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手の平側の手首にある親指の出っ張りにあります。

 

 

<京骨>

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外くるぶし下から足の外側の縁を足先に向かって指の止まるところにあります。

 

 

<尺沢>

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手のひらを上に向け、肘の横しわの親指側の凹んだところにあります。

 

 

特に尺沢が効果的だと思います。指圧してみてください。

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

 

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四月十六日という同じ日の朝夕に二匹のネズミの死に遭遇したリュー医師は、ネズミの「死」に直面して何を感じたのでしょうか。


Ce n’était pas au rat qu’il pensait. Ce sang rejeté le ramenait à sa préoccupation. Sa femme, malade depuis un an, devait le lendemain pour une station de montagne. Il la trouva couchée dans leur chambre, comme il lui avait demandé de le faire. Ainsi se préparait-elle à la fatigue du déplacement. Elle souriait.


彼が考えていたのはネズミのことではなかった。その噴出した血を見て、彼は自分の心配事に立ち返ったのである。1年前から体調を崩していた彼の妻は、山間部の保養地に明日出かけることになっていた。彼は、妻に言って聞かせていた通り、妻は居間で横になっていた。そうやって彼女は、転地による疲労に備えていたのであった。彼女は微笑んでいた。


・・・・・・・・・・・・

 

リュー医師は、ネズミの死そのもののことを考えていたのではないが、ネズミが吐血して死んでいく様をまざまざと目撃したことによって大切な妻の心配事に立ち戻ります。すでに死んでいるネズミではなく、直前まで苦しんでいたネズミの生々しい最期に立ち会うことによるインパクトは決して小さいものではなかったことが読み取れます。

 

このあとから、リュー医師と妻の対話が始まります。

 

 

__ Je me sens très bien, disait-elle.
Le docteur regardait le visage tourné vers lui dans la lumière de la lampe de chevet. Pour Rieux, à trente ans et malgré les marques de la maladie, ce visage était toujours celui de la jeunesse, à cause peut-être de ce sourrire qui emportait tout le reste.

 

__とても気分がいいわ、と彼女は言った。
医師は、枕もとのランプの明かりの中で、自分に向けられた顔を見た。リューにとっては、その顔は30歳になっても、病でのやつれがあっても、若さを保っていた。それは、その他のあらゆることを吹き飛ばしてしまうあの笑顔があったからだろう。

 

 

__ Dors si tu peux, dit-il. La garde viendra à onze heures et je vous mènerai au train de midi.

 

__できれば寝ていなさい、と彼は言う。11時に看護婦が来たら、正午の汽車で連れて行ってあげるよ。

 

 

Il embrassa un front légèrement moite. Le sourire l’accompagna jusqu’à la porte.

 

彼はほんのり汗ばんだ額にキスをする。その微笑は戸口に至るまで続く。

 

・・・・・・・・・・・

 

リュー医師とその妻の対話は直接話法で描かれています。動詞の時制は現在形であるため、生き生きとした描写になっています。これに対してリューにとっての最初の対話相手は、老管理人であるミシェル氏でした。彼との対話は間接話法で、動詞は過去時制で表現されていました。この対比は興味深く感じられました。



11月7日(日)は、およそ10年振りにイタリア文化会館を訪れました。

初回の訪問は、第3回東京国際声楽コンクールの本選出場でした。正確な記憶ではないのですが、舞台からホールの客席を見渡すと深紅の座席が並んでいておしゃれな印象が残っていました。

 

初めて訪れた音楽ホールが客席ではなく、いきなり舞台であった、というのは上野の奏楽堂と水戸のとある音楽ホールと、このホールですが、振り返ってみると、何度も特別な体験をさせていただいていることになります。今回は客席でしたが、座席は黒のレザー仕立てで、よりシックな雰囲気になっていました。
 

そうしたイタリア文化会館の空間の中で、コロナ禍で海外に行くことが難しい現状を踏まえて、「オンラインでイタリア旅行を楽しみましょう」というイタリア政府観光局の方の案内がありました。ロッシーニゆかりの地ペーザロをはじめ、イタリアの多くの街のバーチャルガイド付き旅行を楽しむことができました。

 

その後、杉並区民オペラ代表の大久保眞氏のもと、女性合唱団コーロ ヴェントゥーノの演奏でロッシーニの「三つの聖歌」などの曲を聴かせていただきました。三つの聖歌とは「信仰」、「希望」、「愛」の歌です。


コーロ ヴェントゥーノではなく、コーロ ステラという女声合唱団の音源がありますのでご紹介いたします。プロの合唱団ではありませんが、祈りの曲には懸命に心を込めて歌っていることが何よりも大切だと思います。

 

ロッシーニ「三つの聖歌」より「信仰」 (コーロ ステラ) - YouTube

 

ロッシーニ「三つの聖歌」より「希望」 (コーロ ステラ) - YouTube

 

ロッシーニ「三つの聖歌」より「愛」 (コーロ ステラ) - YouTube

 

久しぶりにイタリア文化会館を訪れた足で銀座に向かい、ヤマハでお目当てのフランス歌曲のCDを購入する予定でした。

しかし、ヤマハ銀座店の2階のCD/DVD売り場は、カフェラウンジに変わっていました。2020年秋に新オープンしたNOTES BY YAMAHAです。お目当てのCD売り場は、3階の方隅に追いやられ、見る影もありませんでした。

 

やむをえず、そのカフェでボルシチとサンサーンスの没後100周年にちなんだオリジナル・パフェ「白鳥」を食した後、山野楽器銀座本店に立ち寄ってみることにしました。

 

ところが、銀座本店ビルのB1、1F、2Fの3フロアがすべてKDDI株式会社に変わっていました。銀座の山野といえば、銀座の地で100 年以上の永きにわたり、楽器、楽譜、音楽ソフト販売を主とした音楽事業に携わり、わが国の音楽文化の重要な一端を支えてきた老舗だったはずです。

 

しかし、「近年の音楽ソフト市場の縮小などの環境変化に対応すると同時に、この不動産価値を活かし、さらに収益力を高めるため」の賃貸契約を締結したとの発表が昨年の3月付でなされていたことを知り、少なからずショックを受けました。

 

幸いにも3F以上のフロアは健在で、3FのCD売り場で、複数のCDを購入することができたことと、中世のバロック音楽のコーナーも充実していたことを確認することができました。

 

ヤマハにせよ山野にせよ、令和3年を待つことなく路線変更を余儀なくされていることから、新型コロナ禍による音楽文化の破壊力が並大抵ではなかったことをまざまざと実感させられずにはいられませんでした。

 

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厚生労働省は、
職場のメンタルヘルスに関するよくある質問と答えをまとめましたとして、ホームページで、こころの健康に対してわかりやすいQ&Aを掲載しています。

それに私が臨床の立場からCとしてコメントを加えてみました。

 

 

Q.

うつ病に対する偏見・誤解とはどのようなものですか?

 

A.

「うつ病は甘えた病である」、「頼る人がいるからうつ病になれる」、「うつ病になるのは、精神的に弱いから」、「心の弱い奴がうつになる」、「病は気から。強い精神力があれば大丈夫」など、今でもうつ病を性格、根性などに関連させる偏見や誤解があります。しかし、うつ病はセロトニンなど脳の神経伝達物質の異常が関連する身体の病気です。「うつは本当には治らない」、「うつは再発しやすいものだ」という人もいますが、効果の証明された薬があり、休養、精神療法・カウンセリングにより改善し再発防止も可能です。他の病気と同様にうつ病を正しく理解し、早期発見・早期治療に結びつけることが重要です。

 

 

C.

上記の回答には、うつ病の原因について簡単に触れているだけであって、そもそも、なぜ、うつ病に対する偏見・誤解が発生するのか、についての言及がありません。

 

私は、身近にうつ病の治療経験者がいない人の7割以上が、「自分は、うつ病にならない」と考えているというデータを見て、自分とうつ病患者を明確に分けて考えていることが最大の原因の一つではないかと疑っています。

 

うつ病になる人は特別な人であるという認識をもってしまうと、共感が妨げられやすくなるからです。

 

あるアンケート調査でも、うつ病経験ない人の約半数が、「うつ病の人とは一緒に仕事しにくい」と答えているそうです。

 

「一緒に仕事しにくい」感情は、患者・同僚の双方にとってストレスを高めます。

また職場としては生産性低下の原因にもなります。こうしたことから、ますますうつ病に対する偏見・誤解が深まっていきかねないことが問題だと思います。

 

それ以上に考えさせられてしまうのが、自身が過去に治療経験ある人の4割以上、43%現在治療中の人でも薬3割の人が、「(他のうつ病の人とは)一緒に仕事しにくい」と考えているらしいことです。

 

つまり、うつ病に対する偏見・誤解の発生源がうつ病の患者さん自身から発生している可能性があるということになります。

 

うつ病の患者さん自身の偏見・誤解が問題になるのは、医療そのものにも向けられがちです。

 

通院中患者の8割以上が、「自分の職場に、うつ病への偏見がある」と答えるそうです。

特に女性は、強い偏見を受ける/偏見を強く感じる傾向があり、配慮が必要そうです。

 

私が複数の企業の嘱託産業医を引き受けている理由の一つは、職場における、こうした問題の解決こそが、うつ病に対するより総合的で抜本的な対策になると考えているからです。

 

実際に、「うつ病の快復の度合い」と「(本人が感じる)職場偏見の度合い」との間には相互関係がある可能性が指摘されていますが、私も同様な印象を持っています。

 

そして、しっかりと治療をして通院を終了できた人に対しては、「職場の偏見」が少なく、またその偏見内容を見ても攻撃的なものが少ない特徴があるようです。

 

「うつ病の人とは一緒に仕事しにくい」理由としては、「気を遣う」ことが最大であるようです。

「気を遣う」という心理は、「気を使わなければならない」という漠然とした強迫的なリスク回避心理が作用しているからだと思います。

また、どのように「気を遣う」べきかがわからないための困惑に由来している可能性もあるでしょう。

これを逆に考えれば、うつ病の患者さん自身も含めても互いに「気を遣う」ということの負担軽減ができれば、「一緒に仕事しにくい」という思い込みが軽減し、うつ病に対する誤解・偏見が徐々にお解除できるようになるのではないでしょうか。

 

他の専門家も指摘していますが、「うつ病」「患者の状況」の理解や「接し方のガイドライン/目安」の認識がされた職場環境を作ることができれば、結果的にうつ病に対する偏見・誤解を減らせるかもしれません。

そうした試みは職場の産業医の大切な仕事であると考えます。

 

また、うつ病の患者さんの診療にあたる臨床医も、うつ病の患者さん自身が抱きやすい病気そのものに対する誤解・偏見や治療に対する誤解・偏見を丁寧にとりほぐしていくことが、効果的な治療、職場へのスムーズな復帰、再発防止に繋がるものであると考えています。

 

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 自分の強みを伸ばすことを考えるときに役立つツールとして「SWOT分析」が知られています。SWOT分析は事業の戦略立案などに用いられるフレームワークであり、「Strength:強み」「Weakness:弱み」「Opportunity:機会」「Threat:脅威」の頭文字をとったものです。

 

水氣道における「弱点優先の原則」を説明する上で、この分析法が役に立つので簡単に紹介いたします。

 

 SWOTを構成する4つの要因は、まず、内部要因と外部要因とに2大別することができます。内部要因(自分でコントロール可能な要因)として「強み」と「弱み」は、外部要因(自分の努力では変えられない)として「機会」と「脅威」に分けられます。

 

 次いで、目標達成にプラスになりかマイナスになるかによっても2大別することができます。

 

 内部要因の「強み」とは目標達成にプラスになると思う自分の資質、これにたいして「弱み」とは目標達成にマイナスになると思う自分の資質です。

 

 外部要因の「機会」とは、うまく活用すれば目標達成にプラスになる外部要因、これにたいして「脅威」とは、そのまま放置すれば目標達成にマイナスになる外部要因です。

 

 事業の経営戦略では、「強み×機会」に注目し、「強み」によって「機会」を最大限に活用するためにできることを考える、あるいは「強み×脅威」に注目し、「強み」によって「脅威」の悪影響を回避するためにできることを考えると良いとされています。

 

それでは、水氣道も「SWOT分析」を用いて、事業の経営戦略と同様の考え方に基づいた稽古をしているのか、ということを解説しておきたいと思います。

 

答えから先に申し上げるならば、水氣道でも「SWOT分析」と同様の分析を定期的に行なっていますが、運用の仕方は、先に挙げた事業の経営戦略とは異なります。
 

 

まず「SWOT分析」自体の課題があります。

第一に、内部要因を個人の「資質」に帰着させ、しかも自分でコントロール可能な要因と操作的に定義されている点です。しかし、一般的に考えられている「資質」は必ずしもセルフ・コントロールが可能というわけではありません。当然ながら、誰にでもセルフ・コントロールが難しい「資質」要素があります。

 

第二に、自分の「資質」が目標達成にプラスになるかマイナスになるかの評価主体を自分自身においている点です。自主的に、主体的に自己分析を試みて、自己評価することには意味がありますが、用意周到になされたものでなければ往々にして誤った判断をしてしまうことになってしまうのではないでしょうか。それを避けるためには、客観的に、可能であれば数値化したデータによって評価可能なツールを用いて判断することが前提になります。

 

第三に、自分の努力では変えられないと定義する外部要因についての考え方には疑問が残ります。「機会」にしろ「脅威」にしろ、その原因が自然発生的な場合には限定されず、人為的に引き起こされるケースも少なくないのが実際の社会だと思えるからです。つまり、表面上は外部要因とみなされる要因の中にも、その原因において自分たちが関与して発生するケースがあるということです。自分たちが関与した結果として生じた現象であれば、自分たちの努力で変えられないことばかりではないはずです。

 

第四に、外部要因とされる「機会」と「脅威」の鑑別の仕方についての疑問です。これらはいずれも自分の努力では変えられない要素と定義されていますが、目標達成にプラスになると思えるのが「機会」であるとしても、その機会が与えられたのは偶然であるとばかりはいえません。日々の努力の積み重ねによって「機会」が与えられることも少なくありません。このことは、「脅威」についても当てはまるのではないかと思います。

 

水氣道の考え方は、「弱み」を「強み」に、そして「脅威」を「機会」に転換していくことにあります。そのためには、自分たちにとって何が本当の「弱み」なのか、また「脅威」なのかを正しく理解できるようになることが前提になります。つまり、「弱点の発見と補強により脅威を克服できるようになる」ことが水氣道の稽古戦略なのです。これを「弱点優先の原則」と呼ぶことにしています。

 

そこで、次回は、「水氣道における弱点優先の原則」について、より具体的に考えてみたいと思います。

 

ワクチンパスポート制度によるワクチン接種の事実上の強制及びワクチン非接種者に対する差別的取扱いに反対する会長声明

 

先の総選挙において、地元東京8区は、さまざまな物議を醸しだしました。

 

まず、ワクチン未接種者である山本太郎氏が、8区から急遽立候補の名乗りをあげたものの強烈な反対を受けて取り下げたこと、ワクチンパスポート制度について、これを強力に推進しようとし石原伸晃候補が選挙区で落選し、比例でも返り咲きを果たすことができませんでした。

 

こうした顛末が直接にワクチンに対する候補者の意思表明と関係があるかどうかは不明ですが、私は国民の関心事であることから、無関係ではなかったように思われます。

 

 

新型コロナ感染症だけでなく、そのワクチンに対する政策や国民一般の動向については無関心ではいられません。そんな昨今ですが、当クリニックの医療情報収集責任者である事務長から、以下の情報が送られてきました。これは、10月13日付の埼玉弁護士会の会長声明です。

 

 

私自身は、もちろん弁護士でも法律の専門家でもありません。しかし、ある程度、法的考え方を理解しておかないと、今後の医療を実践していくうえで様々な困難に直面した際に適切な対処ができなくなる時代に突入したことを肌で感じておりました。

 

それは平成元年に開業してからさほど時を経ていない頃でしたが、法律を体系的に勉強するために、慶應義塾大学の通信課程に学士入学し、平成16年(2004年)3月に卒業しております。卒業論文は「違法な行政指導に対する法的救済について-医師の裁量権と個別指導-」で想定以上のA評価を得ることができました。

 

 

しかし、その勉学の結果、社会に対する疑問や課題が減少したかというと、むしろ、増えてしまったというのが実感です。その私の考え方を、より洗練した形で表明してくださったのが埼玉弁護士会会長の高木太郎弁護士です。

 

 

本日は、それを紹介させていただくことにします。

 

なお、以下の声明文中の下線は私が施したものであることを予めお断りいたしておきます。

 

 

出典:埼玉弁護士会公式サイト

 


2021.10.13

 

ワクチンパスポート制度によるワクチン接種の事実上の強制及びワクチン非接種者に対する差別的取扱いに反対する会長声明

 

1.  

去る9月6日,政府は,第1回デジタル社会推進会議において,新型コロナウイルスワクチン(以下,単に「ワクチン」という。)の接種を受けたことを公的に証明する「ワクチン接種証明書」をスマートフォンなどに搭載する方法で発行する方針を決定し,また,同月9日,新型コロナウイルス感染症対策本部(第76回)において,このワクチン接種証明書を積極的に活用していく方針を示した。新聞報道等によれば,今月6日から始まった接種証明書の実証実験を経た後,これを広く活用することで,飲食店の利用,旅行,イベントなど日常生活や社会経済活動の回復も目指していくことも検討していくという。日本の場合,既に,本年7月26日から海外渡航で必要とされる場合に接種証明書が発行されてきたが,今回の決定は,国内における施設や飲食店等の利用にかかわるものである。

 

2.  

このワクチン接種証明書の国内利用は,新型コロナウイルスの感染拡大を防止しつつ,国内の経済活動を回復させるという狙いがあるが,単なる公的証明という域を超えて,接種証明の提示を公営施設や公共交通機関の利用の条件とし,あるいは,民間の宿泊施設や飲食店の利用,旅行・イベント等への参加等の条件とすることを積極的に推奨するのであれば(以下,接種証明書にこのような効果を持たせる施策を「ワクチンパスポート制度」と仮称する。),市民は,社会生活のあらゆる場面で接種証明書の取得と提示が求められることになり,その結果,これまでワクチンの接種を望まなかった者も接種を強いられることになる。このことは,ワクチン接種を余儀なくされる者の自己決定権(憲法第13条)を侵害するものであり,他方,それでも接種しないとした者の幸福追求権(憲法第13条)や移動の自由(憲法第13条,22条1項)を不当に制約するものである。
 

また,ワクチン接種後においても新型コロナウイルスに感染する場合が報告されている状況のもと,接種証明の有無によって施設の利用等に差異が生じさせることは,ワクチンの接種者と非接種者とを正当な理由なくして差別するものであって,平等権を保障した憲法第14条にも違反する。
 

更に,接種証明の確認を宿泊施設や飲食店の営業主,興業主等に義務づけるようなことがあれば,当該事業者の営業の自由(憲法22条第1項)をも侵害することとなる。

 

3.  

そもそも,人体に大小様々な作用を及ぼす医薬品について,それを自己の体内に取り入れるか否か,取り入れる場合に何をどのような方法によって取り入れるかといった問題は,個人の生命・身体にかかる極めて重要な事項であり,したがってまた,これを自らの意思と責任に基づいて決定することは,個人の自己決定権の中核をなすものといえる。
 

特に,現時点において新型コロナウイルスのワクチンとして用いられているメッセンジャーRNAワクチン及びウイルスベクターワクチンについては,医薬品医療機器等法第14条の3に基づく特例承認にとどまっており,長期にわたる被接種者の追跡調査という治験が全くないこと,また,これまでに同ワクチンの接種後に死亡した例やアナフィラキシーショック,心筋炎その他の重篤な副反応例も数多く報告されていることから,ワクチンの接種に深刻な不安を抱えている市民も多数いる。また,アレルギー疾患等を有するためにワクチンの接種に臨めない者が多いことも周知の事実である。
 

このようなワクチン接種に不安を抱える人々の自己決定権を保障するという観点から,昨年改正された予防接種法第9条はワクチンの接種を努力義務にとどめ,また,予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議において「接種するかしないかは国民自らの意思に委ねられるものであることを周知すること」が掲げられたのである。

 

4.  

また,政府の前記方針は,ワクチンの接種により新型コロナウイルスの感染拡大が抑止されることを前提としているのであるから,同方針の実施にあっては感染抑止という目的について十分な検証による実証が必要とされるところ,現時点においては,その実証が十分になされているとはいえない。

 

5.  

以上のとおり,ワクチンパスポート制度の導入は,法律上の根拠を欠くことはもとより,医学的・科学的にも実証的な根拠を欠いているのであるから,同制度の導入・実施は,前述のように憲法第13条,第14条及び第22条1項に反し,許されない。

 

6.  

なお,政府内では,抗原定性検査やPCR検査により陰性であることの検査結果証明書にワクチン接種証明書と同じ効力を与えるという方法(ワクチン・検査パッケージ)も検討されているが,検査の煩雑性やその有効期間が短いと考えられること,また,検査のたびに相当な費用負担を強いられることからすると,結果は同様であり,前記の違憲性を払拭する理由にはならない。

 

7.  

よって,当会は,ワクチンパスポート制度により,ワクチン接種の事実上の強制やワクチン非接種者に対する差別的な取扱いが招来されることを強く懸念し,このような制度の実施に強く反対する。

 

以上

 

2021(令和3)年10月13日

 

埼玉弁護士会 会長 

髙木 太郎

 

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臨床産業医オフィス
<高円寺南労働衛生コンサルタント事務所>


産業医・労働衛生コンサルタント・第一種作業環境測定士・衛生工学衛生管理者

 

飯嶋正広

 

 

本日の相談:

事業場で今年からストレスチェックを行うことになりました。
まず何から始めたらよいのかについて教えてください。

 

ストレスチェックと面接指導の実施に係る流れ(厚生労働省)その1
<実施前の準備からストレスチェック開始前まで>

 

実施前には、まず「事業者による方針の表明」から始まります。

 

 

 

ついで、それを受けて「衛生委員会において調査審議」が諮られます。
主たる審議課題は、以下の通りです。

 

〇 目的の周知方法

〇 実施体制(実施者等の明示)

〇 実施方法

〇 情報の取扱い

〇 ストレスチェック結果の保存方法

〇 ストレスチェック結果等の利用目的・利用方法

〇 情報の取扱いに関する苦情処理

〇 不利益な取扱いの防止

 

 

以上を衛生委員会において調査審議をした結果を、「労働者に説明・情報提供」を行い、「医師、保健師等によるストレスチェック実施」を計画します。

 

 

参考のために、PP資料:

ストレスチェック制度


を添付します。

 

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第一弾:友の湯温泉(北茨城市)その2

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<友の湯温泉は、本当に温泉なのだろうか?>
 

温泉といえば、文字通り“温かい湧き水”のみを指すと考える人が多いようです。しかし1948年(昭和23)に制定された、温泉開発や利用について規制する「温泉法」には、次のように定められています。
 

温泉法の条文をわかりやすく書きあらためてみると「地中から湧出する温水、鉱水および水蒸気、その他のガス(炭酸水素を主成分とする天然ガスを除く)で、湧出口での温度が摂氏25度以上のものか、鉱水1㎏の中に定められた量以上の物質が含まれるもの」ということになるます。つまり25℃以下でも、規定物質を一種以上含んでいれば「温泉」といえることになる。

 

「友の湯温泉」の泉温は15.3℃(調査時における気温:24.2℃)であり、25度未満ですが、一方、鉱水1㎏中の成分を確認してみると、遊離成分(非解離成分)のメタけい酸(H₂Si0₃)が96.1(㎎)含有され、温泉法第二条の別表に規定される基準である50(㎎)以上という条件を満たします。そのため、「友の湯温泉」は温泉法の定義に基づく「温泉」と判定されます。

 

なお、温泉は湧出口(源泉)での泉温によって次の4つに分類されます。たとえば、25℃未満の友の湯温泉は、「冷鉱泉」に分類されます。刺激に弱い方は、まず適温に加熱した「冷鉱泉」や「低温泉」(34℃未満)を選べばよいです。また、ぬるい湯に長くつかりたい方は、「高温泉」(42℃以上)を避け、上記の他に「温泉」(42℃未満)を選べばよいでしょう。


また、温泉水の液性(酸性、中性、アルカリ性)がpH値(水素イオン濃度指数)によって記されています。一般的にpH7が中性とされ、血液のpHは7.4で弱アルカリ性ですが、温泉の場合はpH6以上から7.5未満の範囲を中性とし、「中性泉」と呼びます。友の湯温泉のpHは7.1なので中性泉に分類されます。中性泉は、肌に優しいです。
 

さらに、温泉水の密度は、試験室に持ち帰った温泉水の水温20℃における1cm3あたりの質量で表わされています。二酸化炭素(炭素ガス)などをある程度以上含有する場合は1より小さくなり、また塩分が濃厚なときは1より大きくなります。友の湯温泉の泉質は塩分が少ないのに対して、二酸化炭素(炭素ガス)が30.0㎎含まれていますが、やはり、温泉水の密度は0.9987(20℃/4℃)で1より小さいです。

 

その他、温泉は各種の塩類が溶けている液体であるため、「浸透圧」というものを持っています。浸透圧とは、2つの濃度が違った溶液を「仕切り」で分けた場合、濃度を一定にしようと、濃度の薄い溶液から濃い溶液に水分が移ろうとする力です。「仕切り」が水分だけでなく、溶解物質も通す場合は、濃い溶液の溶解物が、薄い溶液の方に移ろうとします。

 

人間の身体を作っている細胞液と等しい浸透圧を持つ液体を等張液と言いますが、この等張液を基準にして温泉を3つに分類することができます。

 

人間の身体を作っている細胞液と等しい浸透圧を持つ液体を等張液と言いますが、これは8.8g=8800㎎の食塩を1リットルの水に溶かした生理食塩水に相当します。ですから、等張泉の溶存物質計は8.0~10.0g/Lとされています。 

 

温泉分析書には、温泉水の溶存物質総量が記載されています。溶存物質総量とは、鉱水(鉱泉)1kg中に含まれているガス性以外の物質の総量のことであり、陽イオンと陰イオンと非解離物質の総合計の値をさします。

 

1978年に改正された環境庁鉱泉分析法指針で療養泉の基準のひとつとなり、総量1,000㎎以上は塩類泉に分類されます。友の湯温泉の溶存物質計(ガス性のものを除く)は0.553g/㎏mすなわち総量553㎎で1,000㎎未満であるので、塩類泉ではありません。また、浸透圧による分類では友の湯温泉は、「低張泉」(8g=8,000㎎未満)に該当します。

<はじめに>

前回は「膝の痛み」に効果のあるツボを紹介しました。

 

 

「陷谷」は足の人差し指と中指の間で足首方向に手を滑らせて指の止まるところにあり、

 

 

「商丘」は内くるぶしの斜め前にあり、

 

 

「委中」は膝の後ろの中央にあるというお話でした。

 

 

 

今回は「歯の痛み」に効果のある「合谷(ごうこく)」「地五会(ちごえ)」のツボを紹介しましょう。

 

 

<合谷>

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親指と人差指の間にあります。

 

 

 

<地五会>

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足の薬指と小指の間で足首方向に指を滑らせて止まるところにあります。

 

 

 

これらのツボはあくまで痛みの緩和に効果のあるツボになります。

 

 

無理せずに歯科医院で治療をするようにしましょう。

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭