『水氣道』週報

 

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 水氣道稽古の12の原則(13)個別性の原則(その1)


人には個人差(年齢・性別・体力・体格・目的・経験など)があります。団体スポーツや集団訓練の参加者全員の一人一人が違っています。

ですから、トレーニング内容は、その個人差をよく考えたうえで決めなければいけないということになります。残念ながら「こうすれば、誰もが等しく成果を挙げられる!」というトレーニング方法はないと思ったほうがよいでしょう。

 

そこで、体力トレーニングを行っていく際には, 個人の体力特性に応じたトレーニング課題を設定してトレーニング処方することは大切になってきます。

このことは個別性の原則として知られています。

 

簡単にいえば、「個人の特性や能力に合わせたトレーニングをしましょう」という原則です。

 

たしかに、年齢、性別、体力、身体組成(筋肉量、体脂肪率、骨量など)、生活環境、習慣、性格、運動の嗜好など自分に合ったやり方がわかれば、効率的に体を鍛えることができ、継続意欲にも繋がりやすいことは経験的にもイメージし易いことでしょう。

 

ですから、自分の身体組成や体力や健康状態などの個別条件を前提として、それぞれの目的にあわせて《個人に合ったトレーニングメニュー》や《負荷設定》を行うことで、効率的かつ効果的なトレーニングを設計することができます。

つまり、個人差を踏まえて練習方法を決めることが肝要になってきます。

 

しかし、この個別性の原則は、全面性の原則や意識性の原則と同様に、経験則、すなわち、経験的に知られている原則であって、科学的なデータで確認はされていません。

 

そこで、私たちの更なる健康増進のための訓練メソッドとして、個別性の原則を全面性の原則や意識性の原則といった、未だ科学的に十分に実証されていない原則をどのように理解して、活用するかという積極的な試みが求められてくるものと考えます。

 

水氣道は、組織された団体で継続的に稽古を実践することによって、従来の各種のスポーツや健康法を凌ぐ優れた効果を希求しています。

そのような中で、個別性の原則と水氣道は互いに矛盾しているのではないか、という見方も可能であるかもしれません。

そこで、次回は、「水氣道における個別性の原則」について考えてみたいと思います。