PCR検査の問題点について

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PCR検査の問題点についてのご質問  

 

Q3.

飯嶋先生は、昨年から、PCR検査は新型コロナ感染症の診断に使用すべきではない、「PCR陽性者=新型コロナウイルス感染者」というメディアの発表は誤りだ、とのご意見でした。

それは、今でも同じお考えでしょうか。朝から晩まで、昨年からはPCR検査、今年はワクチン接種のニュースでもちきりなので、不安な日々です。

 

 

A3. 

新型コロナ流行当初から、陽性判定に用いられてきたPCR検査ですが、無条件に信用してはいかないというのが、私の一貫した判断です。

 

PCR検査を巡っては、その正確性を疑問視する声があがっていました。

 

ウイルスの検出に必要なサイクル数(Ct値)に国際的な標準はなく、値が高ければウイルスが少なくても陽性と診断されるからです。

 

また、不活化した(死んで感染性の無い)ウイルスの断片と活性のある(生きた感染性のある)ウイルスを区別できない場合もあり、偽陽性のリスクが高まるという懸念も当初からありました。

 

とりわけ、インフルエンザ感染者やその他の別の感染症をも陽性としてしまうことはないのかという懸念が当初の私にはありました。

 

 

その後、いろいろな情報を得ることができ、少なくともインフルエンザのみの感染者が新型コロナPCR検査で陽性になる可能性は高くないようです。

 

しかし、インフルエンザと新型コロナの両方が循環している場合、現在のPCR検査ではSARS-CoV-2のみは検出できても、インフルエンザは検出できないことにより注意すべきではあると思います。

 

 

インフルエンザの季節が近づくにつれ、呼吸器疾患の症状のある患者はインフルエンザと新型コロナの両方について対応すべきです。

 

新型コロナばかりに気を採られていると、インフルエンザの症例を見逃す可能性が増大します。そのため、検査をするのであれば、新型コロナだけで検査を受けて安心すべきではありません。

 

一般の素人の方ばかりではなく、博士号や専門医を持っているような医師仲間からでさえ、「ニュースや医学論文を見ていないのか!」「多くの人が亡くなっているのになんてことを書くんだ!」「PCR検査で頑張っている保健所や医療従事者に失礼だ!」などなど、不謹慎だと怒られてしまうこともありました。


 

今でも、たまにテレビのニュースを見ると、相変わらず「今日は〇〇人が感染!これまでで最高の発生数」などと発表されます。

<PCR検査陽性≠新型コロナ感染>なのですが、この程度の説明では世間様には全く通用しません。このような状況にあっては、一般の方が、とてつもなく恐ろしいウイルスのように思えてくるのは当然の成り行きです。

 

 

昨年から引き続き多くの人が検査を受けています。

 

しかし、PCRを感染症の診断に使ってはいけないと、警鐘を鳴らす専門家が多数存在しました。わが国でも徳島大学医学部の大橋眞名誉教授をはじめ、ほとんどが現役を離れた(つまり、国に忖度しなくて済む)名誉教授の肩書をもつ方です。

 

 

現役の教授から説得力のある情報を得ることはほとんどありませんでした。大橋先生のご発言に対して、残念ながら、国から予算を得ている徳島大学当局も必死に大橋発言とは無関係であることをアピールております。
 

 

本学名誉教授 大橋眞氏の活動に対する苦情について - 国立大学法人 徳島大学 (tokushima-u.ac.jp)

 

 

もとより最大限に尊重すべきであったのはPCR法(ポリメラーゼ連鎖反応法)を考案した研究者自身の警告であったはずです。

その方こそ、PCR法の開発でノーベル化学賞を受賞した、キャリー・マリス(Kary Banks Mullis)博士です。

博士は残念ながら2019年8月に74歳で死去(死因は肺炎とされますが詳細は不明)されています。

 

実は、この開発者本人が生前に、どのような目的でこの検査を用いるべきかを精力的に講演していました。そのうえで、コロナのような『感染症の診断にPCR検査を使ってはいけない』と警告していました。

 

 

元来、PCR法とは遺伝子(DNAやRNA)配列を可視化するために、遺伝子の一部を数百万から数億、数十億倍に複製する技術です。PCR検査とはウイルスそのものを直接検出するものではありません。

 

それは唾液などのサンプルの中に新型コロナの遺伝子の一部があるかを見て、ウイルスの存在を間接的に判断するという方法です。そのため遺伝子の一部さえ合致していれば、インフルエンザや他のウイルスでも反応して、陽性反応を示すケースがあります。

 

 

なお米疾病管理予防センター(CDC)は7月21日、新型コロナウイルス(中共ウイルス)について、「PCR検査を推奨しない」とする新たなガイドラインを発表しました。今後は新型コロナウイルスとインフルエンザを区別できる「マルチプレックスアッセイ」という検査法を推奨するとしています。

 

それ以前の段階でCDCは昨年11月、PCR検査の基準値について、「患者のウイルス量や感染力、隔離期間を判断するために使用すべきではない」と説明していました。重要なのは今後についてですが、米CDCは2021年12月31日以降、PCR検査の「緊急使用許可申請」を取り下げて、マルチプレックスアッセイを含む新たな検査法に移行するとしています。

 

PCR検査が「緊急使用許可申請」による暫定的な検査法であったことを、ここで改めて認識することができます。

 

 

なお、テドロス事務局長の誤った発言が物議を醸し、世界中の国々の指導者や専門家を混乱させてきた世界保健機関(WHO)ではありましたが、中国に対する認識を含めて少しずつ修正されつつあります。

 

今年1月20日にはすでに、新型コロナウイルスの診断についてはPCR検査と並行して患者の既往歴や疫学的な危険因子も考慮すべきであると伝えていました。

そして、「ほとんどのPCR検査は診断の補助である」とするガイドラインを発表しています。

 

 

わが国では未だにPCR検査を絶対視している方々が大多数のようですが、それは政府も主要メディも、一貫して重要な情報を報道しないのですから、無理もありません。

 

しかし、私自身が主治医として直接的な責任を負ってはいない、そのような人々を一人一人説得して回ることは現実的ではないと考えております。

 

 

明日9月3日(金)は、

「新型コロナ感染症の罹患者に対するワクチン接種について」を掲載予定です。