『抜毛症の患者さん』を支援する、第7回:標準的治療法の限界を克服する独自の治療体系

 

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杉並国際クリニック版 抜毛症診療マニュアル

(令和3年3月9日初版)

 

 

第7回:標準的治療法の限界を克服する独自の治療体系

 

杉並国際クリニック独自の試み:鍼灸療法と水氣道®

 

現在のところ、抜毛症治療の第一選択とされる行動療法、とりわけ、習慣逆転法にはしばしば限界があり、また、薬物療法を併用する場合、効果が発現するまで投与量を増やすことになりがちであることは大きな問題であると考えます。

 

そのような場合に心身に害を及ぼすことなく安全に継続することができ、しかも治療薬を漸減・中止することができる自然療法があれば、それに越したことはありません。

 

その一つが長い歴史と実績をもつ伝統的治療法としての鍼灸療法です。当クリニックでは、鍼灸療法は運動器疾患のみに限定することなく、これを心身医学療法として多くの慢性疾患や、他に有効な治療法を見いだせない難病に対して実績を挙げてきました。

 

また1996年頃から数年の実践を踏まえて基礎が作られた組織的水中有酸素運動は、平成12年(2000年)に水氣道と命名され、その後も実践を継続し、平成28年(2016年)9月9日に商標登録されました。

 

この水氣道®は、新しい心身医学療法としての可能性を拡大しつつ現在に至っています。抜毛症で苦しむ方のための治療応用も例外ではありません。

 

病気の治療に関しては、一般に薬物療法を続けている限りにおいては症状コントロールといい、この場合の治療は対症療法です。

 

これに対して、薬物療法なしに症状をコントロールすることができるようになれば、いわゆる自然治癒力が働いていることになり、より原因療法に接近できると考えることができます。当クリニックにおいて、鍼灸療法や水氣道は、新進医学療法として位置づけ、こうした目的で積極的に臨床応用しています。