「産業医学」事始めNo4.

 

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目的別医学部の存在感

 

全国の医学部は、国立・公立・私立に三分類されていますが、特殊な医学部が3校あり、その一つが国立ではあるが省庁大学校として分類される防衛医科大学校(防衛省文教研修施設)であり、他の2校は私立大学に分類されている自治医科大学と産業医科大学です。令和の時代に入って、今後の日本の医療を考えるうえで、これら3校は特別に重要な役割を果たすことになるでしょう。

 

まず、防衛医科大学校ですが、昨年の横浜のクルーズ船での新型コロナ感染対策で有効な活躍ができたのは、厚生労働省ではなく、防衛医科大学校や自衛隊中央病院をもつ防衛省であったことは、印象的でした。

 

また、TV等ですっかり有名になった尾身茂先生は僻地や離島の医療を担う医師を育成する目的で設立された自治医科大学の第一期生です。そして、新型コロナウイルスのパンデミックが続く中でも日本の経済を支える産業とそこで働く労働者の健康を守る産業医のリーダーを育成しているのが産業医科大学です。

 

医師の活躍の場は、僻地医療、産業医療、非常時医療など幅広いのですが、特殊な使命と役割を期待されるこれら3大学の学費は一般国公立並み(防衛医科大学校では学生は特別職国家公務員として学費を支払わず、逆に給与が支給されます)です。

ですから「特別に裕福な家庭の子女でなければ医師になれない」というのは偏見に過ぎません。一定以上の学力と適性があれば、特別な才能に恵まれていなくとも医師になることはできます。やはり、決め手は学力の水準ということになります。

 

 

「ウィキペディア」医学部、入試より引用します。

 

近年は少子化による大学入試の易化や理系離れが指摘されているが、バブル崩壊後長く続いた不況による企業の倒産やリストラの影響などもあり、医学部志望者が大幅に増え、特に国公立大学の医学部の入学試験が難化する傾向にあり、景気回復後も人気が高止まりしている。

 

国公立大学医学部は、私立大学医学部に比して学費が圧倒的に安い為(年間約50万)、医学部志望者への人気が非常に高い(特に旧帝国大学(旧帝大)や三大都市圏の国公立大学医学部は、東京大学の理科一類および理科二類に匹敵するかそれ以上の入試難易度と言われることが多く、地方の非旧帝大の医学部でも前述の東京大学の理科一類、二類に匹敵もしくは準ずる難易度と言われている。

 

とは言え、東京大学理科一類、二類の難しさと国公立大学医学部の難しさは、難しさのベクトルが全く異なる為、単純比較は出来ないともされている。

 

また、私大医学科は学費が比較的安い大学ほど入試難易度は高くなり、逆に学費が高額な大学ほど入試難易度はやさしくなる(学費の高さと入試難易度は反比例する)と言われている。

 

総合大学では、他学部と同じ問題を出題している大学がほとんどであり、センター試験、二次試験共に合格最低点や入試偏差値は同大学他学部と比して極めて高く、最難関学部(学科)と称されている。

 

さらに2006年度入試から国公立大の医学部において、理科3科目(化学、物理、生物)全てを受験しなければならない大学も出てきたが、現在では全ての国公立大学で理科2科目の受験が可能になっている。

また、2017年度入試までは九州大学医学部、東京大学理科三類は国公立及び私立医学部を含めた全ての医学部でただ2つの面接のない二校であったが現在では全ての大学及び入試日程において面接が課されている。