「産業医学」事始めNo3.

 

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産業保健の目的

産業保健の目指す目的、考え方、方向性等に関する記述としては、ILO/WHO(国際労働機関/世界保健機関)の合同委員会が1995年に採択した定義があり、その内容は、次のとおりです。


「産業保健は以下のことを目指すべきである。すべての職業におけるすべての職業における労働者の身体的、精神的及び社会的健康を最高度に維持、増進させること、労働者のうちで労働条件に起因する健康からの逸脱を予防すること、雇用中の労働者を健康に不利な条件に起因する危険から保護すること、労働者の生理学的、心理学的能力に適合する職業環境に労働者を配置し、維持すること、以上を要約すれば作業を人に、また、人をその仕事に適合させることである。
 

 

産業保健における主要な焦点は3つの異なった目的に絞られる。

 

① 労働者の健康と作業能力の維持と増進、

 

② 安全と健康をもたらすように作業環境と作業の改善、

 

③ 作業における健康と安全を支援し、そのことによって、よい社会的雰囲気づくりと円滑な作業行動を促進し、そして事業の生産性を高める方向に、作業組織と作業文化を発展させること、


このような関係において、作業文化という概念が意図するところは、当該企業が採択した不可欠の価値体系を反映することを意味する。実際面では、このような文化は、企業の経営システム、人事方針、品質管理に反映される。」
 

 

ここで、唐突に作業文化、という言葉が登場してきましたが、あまり耳慣れない、馴染みのない用語です。これは、むしろ労働文化と言い換えた方が判りやすいかもしれません。

 

実際に、労働者の福祉向上活動、国内外の労働文化の発展に関する活動、雇用と就労支援、非営利社会貢献に関わる活動を推進・支援することにより、「働くことを軸とする安心社会」の実現に寄与することを目的として、日本労働文化財団が設立されています。

 

この財団のコンセプトは、まさに杉並国際クリニックが日々実践している内容に重なるものであり、また『水氣道』の活動理念にも繋がってくるものだと考えています。