「産業医学」事始めNo2.

 

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産業保健とは


産業保健は、産業医学を基礎とし、働く人々の生き甲斐と労働の生産性の向上に寄与することを目的とした活動です。職場においては産業医、保健師、衛生管理者、衛生推進者等のスタッフが活動し、職場外から労働衛生コンサルタント、作業環境測定士、健康保持増進(THP:トータル・ヘルス・プロモーション)のスタッフ等の専門家が支援します。

 

このように、産業保健はチーム活動によって推進されるわけですが、大きく二つに分けると職場内スタッフ群と、職場外スタッフ群ということになります。中核をなすのは前者です。まず労働安全衛生法により、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場では、必ずしも産業医を選任する義務はありませんが、業種により「安全衛生推進者」または「衛生推進者」を選任しなければなりません。安全衛生に関する実務経験のない者あるいは期間が不足する者は、この講習を受けなければなりません。


また、衛生管理者とは労働安全衛生法において定められている、労働条件、労働環境の衛生的改善と疾病の予防処置等を担当し、事業場の衛生全般の管理をする者です。一定規模以上の事業場については、衛生管理者免許、医師、労働衛生コンサルタント等の免許、資格を有する者からの選任が義務付けられております。 衛生管理者免許には、業務の範囲が広い順に、衛生工学衛生管理者、第一種衛生管理者、第二種衛生管理者の3種類があります。これらの衛生管理免許も国家資格で、衛生工学衛生管理者、第1種衛生管理者、第2種衛生管理者の3種類があります。その中で、最も幅広い業務を行えるのが衛生工学衛生管理者です。有害業務を行う工場などにおいて、作業環境をよりよい状態に整えたり、労働者の健康を維持するために安全管理や健康管理を行ったりします。

 

私の場合には、医師免許の他に労働衛生コンサルタントならびに衛生工学衛生管理者の国家資格を保持しています。

 

現場を持っていない限り、これらの資格を保持していただけでは何の役にも立たないかもしれません。ただし、臨床という現場をもつ医師としては、日々の診療の場が、すなわち現場であるといえます。以上のような資格を取得する過程で学んだことは、直接間接に臨床医学に役立っていることを実感しています。

 

新型コロナウイルスの蔓延に伴い、ライフワークとしての「聖楽院」の活動は引き続き休止中ですが、このような状況のときに日本の経済と医療を支えている産業界および働く人々の健康管理の一助となることは欠くべからざる私の使命であると考えました。

 

そこで、本年より、「聖楽院」の活動に充てていた時間を、産業医・労働衛生コンサルタント・衛生工学衛生管理者として都内および郷里の茨城県内の企業とその労働者のために役立てることにしました。