(杉並国際クリニック令和3年初版)その5(全5回)
男性の性腺機能低下症といえば、従来から泌尿器科の疾患で、性機能低下や勃起不全などの症状に対してテストステロン補充療法を行っているという程度の認識でしたが、近年、内科的あるいは心療内科的な症状に対する治療効果が明かになってきました。
男性性腺機能低下症は、一次性(高ゴナドトロピン性)と二次性(低または正ゴナドトロピン性)に分類されます。成人では骨粗鬆症、サルコペニア、貧血、耐糖能異常、動脈硬化、肥満、メタボリック症候群、うつ、などの症状を伴い、これらの症状もテストステロンで改善します。
中高年における低テストステロン血症は、加齢男性性腺機能低下(LOH)症候群と呼ばれ、性機能症状だけでなく認知能力の低下、睡眠障害、気分障害(抑うつ)、内臓脂肪の増加、骨粗鬆症、サルコペニアなどを呈し、テストステロン補充療法が推奨されています。
この男性性腺機能低下症に対するテストステロン補充療法に関しては、2つの論文が注目されています。
1) 高齢者の性腺機能低下症では、テストステロン補充療法は最大酸素摂取量を維持し、貧血の改善を認めた(Traustadóttier T et al:J Clin Endocrinol Metab 103:2861-2869,2018)
2) 2型糖尿病を合併した性腺機能低下症において、テストステロン補充療法は糖代謝を改善し、血管内皮機能を改善した(Khripun I et al: Aging Male 22:241-249、2019)
これらの報告は、とくに中高年男性に典型的な痩せ型(論文1)と肥満型(論文2)のいずれのタイプの性腺機能低下症に対してもテストステロン療法が大きなメリットをもたらす可能性を示すものではないかと、私は考えています。
そこで、外来において簡便にスクリーニングすることを決定しました。
以下がその問診票です。
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