労働衛生コンサルタント(産業医)として、職場ストレス関連の突然死予防を語る ③

7月29日(水)

 

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労働衛生コンサルタントとは?

労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタントは、厚生労働大臣が認めた労働安全・労働衛生のスペシャリストとして、労働者の安全衛生水準の向上のため、事業場の診断・指導を行う国家資格(士業)です。
 

厚生労働大臣が指定したコンサルタント試験機関である(公財)安全衛生技術試験協会が実施する労働安全コンサルタント試験・労働衛生コンサルタント試験に合格し、厚生労働大臣が指定した登録機関である同協会に登録することで、労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタントとして活動することができます。

 

労働衛生コンサルタントとは・・・

 

一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会の公式サイトより

 

• 昭和47年に労働安全衛生法に基づいて創設されました。

 

• 厚生労働大臣が行う高度の試験に合格し、厚生労働省の名簿の登録を受けて開業します。

 

コメント:

高度の試験と案内されていますが、高度という意味が私にはよくわかりかねます。難易度という意味ではなさそうです。なぜなら医師資格をもつ受験者(すなわち産業医)のうち30%以上合格できる程度なので、決して狭き門ではありません。

 

 

• 労働衛生コンサルタントの名称の下に、事業者の求めに応じ、報酬を得て安全衛生診断や指導を行います。

 

• もっとも得意な分野を示すものとして労働衛生コンサルタントには、保健衛生・労働衛生工学の区分があります。

 

• 労働安全衛生マネジメントシステムの内部監査に適当な人材がいなくてお困りの事業場は労働安全・衛生コンサルタントをご利用下さい。専門の研修を受けた労働安全・衛生コンサルタントがいつでもご援助いたします。

 

 

労働衛生コンサルタントは、何ができるのでしょうか?

 

【安全診断と指導】

• 労働衛生コンサルタントは、災害が発生した事業所などに対して再発を防止するための対策の立案をします。

 

• そして対策実施をするための指導や実施状況の診断をします。
• 労働衛生コンサルタントは、事業所の安全水準構造をするための支援業務をすることができます。

 

 

【労働安全衛生マネジメントシステムの監査・評価】

 

• 労働安全衛生法第28条2において、以下のように定められています。

 

• 「危険性・有害性などの調査と提言措置を講ずることに努める義務」

 

• それに伴い、リスクの特定と見積もりや評価、提言措置の実施が必要になります。

 

• 労働安全コンサルタントは、労働安全衛生マネジメントシステムの監査をすることが可能になります。

 

 

【各教育の講師】

• 労働衛生コンサルタントは、安全管理教育を始めとした各教育の講師業務をすることが可能になります。

 

• 安全管理者になるためには、9時間の研修をする必要があります。

 

 

【安全管理者業務】

• 安全管理者の設置が困難な中小企業の事業所や、複数の安全管理者が必要な大きな事業所の場合、外部の労働安全コンサルタントが必要になります。

 

• 労働衛生コンサルタントは、外部委託の安全管理者業務に携わることが可能になってきます。

 

• このように労働衛生コンサルタントは、事業所の安全対策をするために業務に励むことになります。

 

• 小さな事故はもちろん、大きな事故を防ぐためにも事業所にとって労働衛生コンサルタントの存在は大切になってきます。

 

コメント:

労働衛生コンサルタント資格を有する医師(産業医)は、一般の産業医より、仕事の依頼が少ない可能性があります。複数の資格を保持しているからといって、割増の謝礼を請求するつもりは毛頭ないのですが、零細企業の立場としては、産業医は経営上のお荷物に過ぎず、そのため余り積極的でない(=優秀でない)少しでも安上がりの産業医を御所望の傾向がある様です。また求めている人材をハッキリさせておかないと、適切で有能な産業医を選別できないし、またスムーズに決めることもできません。

 

 

<労働衛生コンサルタントと産業医の仕事内容の違いのまとめ>

【労働衛生コンサルタント】

労働安全衛生法に関わる労働衛生管理体制や作業管理体制、作業管理に健康管理、健康保持増進などの診断や改善、指導をします。内容としては事業所の衛生管理を主にすることになります。

 

【産業医】

職場巡回に労働者との面談、健康診断チェックや健康指導、保健指導やストレスチェック、衛生委員会への参加に衛生講和などになります。内容としては労働者の健康管理を主にすることになります。

 

【医師免許の有無】

労働衛生コンサルタントも産業医も事業所への指導や改善策の立案をし、労働者の健康管理や講師業務をする部分は共通しています。
労働衛生コンサルタントになるためには、必要な条件を満たしている必要があります。

医師免許がなくても、必要な条件を満たしていれば受験が可能です。
しかし、産業医になるためには、医師免許が必要不可欠になってきます。
したがって、労働衛生コンサルタントと産業医の違いは、医師免許を所有しているかどうか、という部分になってきます。しかも、産業医の資格を有していなければ、労働衛生コンサルタントは産業医としての業務をこなすことはできません。

ただし、医師免許所有者も労働衛生コンサルタントの受験資格がるため、労働衛生コンサルタントの資格を有する医師も存在し、そのような医師は自動的に産業医資格を保持することになります。