7月6日(月)
感染はウイルスの増殖スピードと生体防御能の競争です。
重症化する前に本疾患の山場があると考えた方がよいでしょう。
ですから早め早めに適切な漢方治療が必要です。
その上で改善徴候が見られなければ入院のタイミングを逃さないようにすることが肝要です。
感染が拡大している地域では,軽症者は自宅またはホテルで療養する,という指針が出されていました。
ここで重症化を防いで回復させることが,医療崩壊を防ぐ最も効率的な方法であり,漢方薬の重要な役割と考えます。
また生薬がもつ様々な薬理作用の中にはインターフェロン誘起作用があります。
その薬効をもつ生薬のなかで黄耆、白朮は第一弾『玉弊風散』に、艾葉、桔梗、紅花、紫根は第二弾«生薬マスク»に含まれています。
特にインターフェロンαは、ウイルスの増殖を防ぐための重要なサイトカインです。
このインターフェロン産生経路は複雑で,産生までに非常に長い時間を要します。
体内でのウイルスの増殖速度とインターフェロンα産生速度によって,重症化するか治癒に向かうかが決定されるので,いかに生体防御機能が早く働くかが重要な鍵となるのです。
こうした生薬をあらかじめ用いることで,インターフェロンαを産生するために重要なIRF-7の発現が上昇し,感染が起こった場合にすぐにインターフェロンαが産生できる,という準備状態をつくることができます。
インターフェロンα産生の準備状態をつくるほか,ウイルス粒子に結合して複合体を形成し,細胞への侵入を抑制すること、細胞内ストレス応答の役割を持つオートファジーの誘導を促進して,インフルエンザ感染によるオートファジー機能不全を軽減すること,およびインフルエンザ感染により破綻した解糖系-ミトコンドリア間の細胞内エネルギー代謝の恒常性を改善する作用を有することなどを示す報告もあります。
感染前に投与することで,これらの機序により,感染の重症化を防いでいるのです。
これらはインフルエンザウイルスを使った研究であるが,他のウイルス感染でも漢方薬の補剤投与により,生体防御機能を上げておくことは重症化予防につながると推測できます。
ARCHIVE
- 2025年3月
- 2025年1月
- 2024年12月
- 2024年11月
- 2024年10月
- 2024年9月
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年9月
- 2023年7月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年9月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月