7月3日(金)
症例13(その5)
第5節:予期せぬ中傷
男性は陰性となり4月22日に退院。しかし不安は拭えない。長男をめぐって思わぬ非難が起こったためだ。
男性はこう説明した
息子が陽性だと判明してそれで11日かな。11日に大学が休みだったんで事務局も休みだろうということで部活の顧問に(息子が)電話したと。顧問にコロナに感染したと(連絡した)。
その内容は詳しくは聞いていないんですけど、そこでいろいろ聞かれたんだと思います。
「部活はしたのか?」って聞かれたと思うんですけど、息子は前日の保健所との話で発熱後の行動を調査されてたんですけど、息子はその頭しかなくて、顧問にも発熱後の行動だと思って「大学には行っていない。部活には行っていない」と報告したと。
そのあとのアルバイトも、医者から「解熱すればただのかぜだよ」(註1:医師とはいえ情をもつ人間ですので、不安を募らせている患者を前にして、ついこのような説明をしてしまいがちになります。しかし、それが、かえって患者やその家族を苦しめ、感染拡大を助けてしまうリスクがあることを重々認識しておくべきだという教訓です。また大きな誤解が広まっています。その1が「熱は直ちに下げなければいけない」という囚われ、その2は「熱が下がれば病気は治る」という根拠のない希望的観測、その3は「熱が無ければ他人に感染させない」という身勝手な解釈、です。)という話しをされていたので、本人はコロナの疑いもなくてアルバイトに行っていた。
その辺を(顧問に)報告しなかったのは、本人は、私が入院して1人でいる中で気が動転したとか、慌ててたとか、不安があったとか、いろんな絡みで言うのを忘れてしまったというのが本当だと思うんですけど。
翌日、大学はホームページで「東京から帰って以降、一貫して自宅待機していた」と公表した
12日に訂正の電話を入れようとしたところで、顧問の先生からもう一度電話来たらしいんですね。そこで初めて(東京から戻ってきた)3月27日の昼に部活に行ったと。(感染が確認される前の)4日には友人の家に行って30分くらいいたと。で、アルバイトもしたと、そこで初めて顧問に言ったんですが、そのときすでに遅しで。
大学は3日後、「調査が不十分だった」として内容を訂正。アルバイトや友人の家に行っていたことをホームページに掲載した。これをきっかけにSNS上で非難する投稿が相次いだ(註2:冷たいようですが、SNSとはそのようなものです)。
<明日へ続く>
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