電解質異常からみた内分泌疾患、電解質欠乏症No3

6月24日(水)
   


低Ca血症と低P血症と内分泌異常(副甲状腺機能障害など)

 低カルシウム血症
低Ca血症は特異的な自覚症状に乏しいので見落とされやすい電解質異常です。しかし、血清Ca値は厳密に調節されているため、軽度の異常でもCa代謝調節機構の異常を考えなくてはなりません。鑑別診断が重要であり、Ca、P、Mg;Alb、Cr;25(OH)D、1,25(OH)₂D値;PTH等の測定を行います。とくにPTH値から原因が副甲状腺か否かを判断し、頻度の多い原因から鑑別していきます。低Ca血症の治療は活性型ビタミンD製剤による治療が主体です。

 低リン血症
低P血症は、血清Pi濃度が2.5㎎/dl未満になることです。日内変動があるため、早朝空腹時に採血することになります。また食事によりインスリン分泌が促進されると、血中のPiは細胞内に取り込まれるため、食後には一過性に血清Pi濃度は低下します。

慢性低P血症の原因疾患

1) ビタミンD作用不全
2) 腎尿細管障害(腎尿細管性アシドーシス等)
3) FGF23作用過剰
FGF23は、血中Pi濃度を低下させるとともにビタミンD活性化を抑制するホルモンです。

低P値症との関連が深い内分泌疾患は、線維芽細胞増殖因子23(FGF23)関連低P血症性くる病・骨軟化症と原発性副甲状腺機能亢進症です。血清FGF23の測定、抗FGF抗体のブロスマブ

ビタミンD作用の著しい不足がなければ、通常の食生活でP級数が不足することはありません。したがって、生体におけるP恒常性は、主に腎におけるP再吸収の調節を通じて維持され、腎尿細管でのP再吸収が障害されると血清Pi濃度は低下します。腎機能が正常な場合にはP代謝障害がもんだいとなうことは稀ですが、Pの細胞内への急速な移行によっても低P血症をきたすことがあります。

低P血症をもたらす内分泌疾患

1) 原発性副甲状腺機能亢進症
PTH作用の過剰をもたらすため
2) ビタミンD欠乏症・作用不全は、腸管からのP吸収が低下させ、また続発性副甲状腺機能亢進症によるPTH作用の過剰により、腎尿細管でのP再吸収を抑制するため
3) クッシング病・クッシング症候群
糖質コルチコイドの過剰は、腎尿細管でのP再吸収を抑制するため

低P血症がもたらす疾患

1) 低P血症性くる病・骨軟化症
2) 腫瘍性骨軟化症
3) 伴性優性低P血症性くる病・骨軟化症