特集:シリーズ『新型コロナウイルス罹患者の体験から学ぼう』、症例9:ECMOの治療で回復の男性「重症になるまでが一瞬」①

6月12日(金)


新型コロナウイルスにかかったら、どんな事態に直面するのか。感染してから潜伏期間、初期症状、検査から入院、という推移は多くの人によって異なります。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。


特集:シリーズ『新型コロナウイルス罹患者の体験から学ぼう』

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ5症例の研究

 

症例が増え9症例目に入ります。

 

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。


以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は赤もしくは緑文字として区別しました。

症例9:ECMOの治療で回復の男性「重症になるまでが一瞬」

 

5月1日取材 福岡放送局 田伏裕美


福岡県に住む30代の男性は一時、重篤となり、福岡大学病院でECMO=人工心肺装置による治療を受けて回復しました。専用病棟のガラス越しに電話で話を聞きました。

 

第1節:家の階段がつらい

 

男性が体調に異変を感じたのは4月中旬。本当に突然のことだった

 

前の日までなんともなかったです。というか、なんだったらその日の朝もなんともなかったです。

昼に家に帰ったら、突然、階段をのぼるのがつらい。息切れが激しく(註:この段階ですでに肺炎を発症していた可能性が高いです)て。

 

だってほんとに、1日前まで全然なんともなかった階段で、次の日の昼になったらのぼるのがつらくなるって、まれじゃないですか。

おかしな話なんで。苦しいと言っても、苦しさの度合いは人にもよるかもしれないですけど、僕の場合はもともと運動してたんで、階段のぼったぐらいで息切れるってなかった(註:運動能力が高い人の方は、予備能が大きいため、体調の変化に気づきにくいことはあり得ます。皮肉な話ですが、それが発見を遅らせた可能性があります。ふだん水氣道のような訓練を続けていると運動能力だけでなく感覚能力も向上するので、一般人より早めに異常を感じ取ることができることでしょう。自分の身体とコミュニケーションするエクササイズは、今後ますます必要になってくるものと思われます。)んで。「あー、なんかおかしいなー」という感覚でした。


「これはやばい」と思って病院に行ったら、もうその場で入院って言われて、「え、なぜ?」というイメージでしたね。


そこから先は(症状は)何も変わらないんですよ。熱は37度あるかないかぐらいだったんですよね。苦しいだけで、味も変わらないし、熱も別に出てこないし、「まあ肺炎なのかな」ぐらいでいたら、コロナでしたね。

 

感染経路については

いやー、それが全く思い当たる節が1つもなくて。同じ行動した人間は1人も(新型コロナウイルス感染症に)なってないんですよ。

 

<明日へ続く>