特集:シリーズ『新型コロナウイルス罹患者の体験から学ぼう』症例8:感染した20代女性「検査を拡げてほしい」 ②

 

その1はこちら

 

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ5症例の研究

 

症例が増え8症例目に入ります。

 

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。

 

以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は赤もしくは緑文字として区別しました。


症例8:感染した20代女性「検査を拡げてほしい」(その2)

 

5月9日、13日取材 社会部 山屋智香子

 

若者にも新型コロナウイルスの感染者が広がる中、「なかなか検査を受けられない」という声が相次いでいます。4月に感染が確認された20代の女性も、もっと検査の対象を広げてほしいと話しています。

 

症例8(その2)

第2節:検査がなかなか受けられない

新型コロナウイルスへの感染を疑った女性は、出勤せずにすぐに自宅に戻った。

 


帰国者接触者相談センターのほうに最初電話をしたんですが、渡航歴も濃厚接触者でもなかったので、そこでは特に取り扱ってもらえず(註1)、保健所のほうに電話しました。保健所に相談したんですけど、発熱もおさまってて嗅覚と味覚の異常だけなので、「検査できません、経過観察で(註2)」ってなってしまって。

註1)

帰国者接触者相談センターの対応については、時期によって変化していますが、国民にとっては分かりにくいことこの上ないものでした。しかも、厚生労働大臣である加藤氏は後出しジャンケンのような「国民と保健所が誤解している」などというトンデモ発言をしても解任されないという理解不能な政権に対して、お手上げ状態です。ただし、ある意味において、末端の公務員も国民と同様に大きな負担を犠牲を強いられていたことは理解しておくべきかと思われます。

(註2)

公的機関との対応をするときには、必ず相手の官職名と氏名を確認しておくことが賢明です。公務員は、個人として名指しで責任を負わされることに対してすこぶる敏感です。匿名の一職員としての対応と、個人が特定される形での対応が全く異なるものである場合は少なくありません。この場合は、PCR検査を受ける必要性が高いケースであるにもかかわらず、どのような理由で「検査できません」なのかが不明です。また明らかにリスクが高い相談者に対して「経過観察」を行政が指示したとしたら大問題ですが、日本国民は従順でおとなしいことが災いしていると思われます。日本人は二重の不利益を受けています。まずは、日本国民として行政の不作為の犠牲になっているということ、そして日本政府が国際社会において、極めて卑屈で拙劣な対応しかできないために、国益(結局は国民の税金)が大いに損なわれたままでいるという現実があることです。


私このまま仕事に行っていいのかな、どうしたらいいんだろうっていう…。
ただ、保健所から教えてもらったこととしては、「近隣のかかりつけ医からPCR検査ができる病院を紹介してもらうしか、今のところ(検査を)受けられそうな方法はないと思います」っていうアドバイス的なものをいただいたので、かかりつけ医(註3)に電話して、「どうしたらいいですか」って相談したら「来てください」ってことで行ったんですよ。


そこの病院もちゃんと管理をされていたので、まず入り口でインターホンを押して一般の人とは違う入り口から病院の中に入って完全な隔離をする形で。


レントゲンとってコロナの症状はなかった(註4)んですけど、嗅覚と味覚の異常があるのでってことで、検査をできる病院に紹介状書いてもらって検査できるところに直接行ったって感じですね。「仕事もあるので検査してもらわないと大変です」って、かかりつけ医にけっこう言ったので、それで紹介してもらえました。


(註3)かかりつけ医
結局、厚生労働省-保健所等が独占的に実施してきたPCR検査は、相談者の診断や治療に役立てる臨床目的ではなく、行政的判断をするための指標を得るための公衆衛生行政目的であったわけです。全国の「かかりつけ医」は、本来果たすべき役割や機能を発揮するための手段が事実上、国家によって奪われてしまっていたということを改めて認識していただきたいところです。「医療崩壊」を防ぐどころか、「かかりつけ医」の経営基盤を壊滅的なまでに破壊する結果を招いてしまいました。コロナ・パンデミックを奇貨として、一挙に開業医潰しを謀ったものと分析している方もいるくらいです。また国民生活と直接の接点がある厚生労働省よりも、むしろ国民不在の財務省あたりが黒幕かもしれないという説得力のある見方もあります。

(註4)レントゲンとってコロナの症状…
症状とはあくまでも患者さんの心身に直接発生するものなので、レントゲン検査での異常は「異常所見」あるいは、この場合は「新型コロナ肺炎を疑うべき積極的な所見はない」ということになります。逆にレントゲン検査で新型コロナウイルス肺炎を疑う所見とは、両側もしくは片側の間質性肺炎を疑わせるような曇りガラス様陰影などが報告されています。しかし、こうした所見が現れるのはかなり肺炎が進行してからでないと明らかにならないことが多く、CTスキャンがより早期の段階での肺炎の発見に有効であるようです。


嗅覚と味覚の異常に気付いたのが7時ごろだったんですよ、朝の。そこから検査できたのが夕方4時ぐらいで。検査をしてから家に帰って、検査結果が出るまでは自宅でって形で、結果は3日後ぐらいに出ました。陽性でした。