特集:シリーズ『新型コロナウイルス罹患者の体験から学ぼう』:症例7:母の死 親戚にさえ言えず ⑤

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ5症例の研究

 

症例が増え7症例目に入ります。

 

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。

以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は赤もしくは緑文字として区別しました。

症例7:母の死 親戚にさえ言えず(その5)

 

第6節:職場に戻れるのか

女性の夫は母親の感染が分かってから1か月以上、仕事を休まざるを得なくなった。一時は仕事をやめることも考えたという

 

(妻の)母が入院した時に「会社をしばらく休ませてもらいます」っていう話をしたんですね。

コロナが陽性だって分かって会社に伝えたとたん、私ももう感染者扱いですね。時系列に細かいことを聞かれて、もう、どこまで説明すればいいのかって。

母親が亡くなった時もちょっと報告が遅れて、それで怒られたりもしたんですけども。その時に上司に、「お通夜がいつだ、葬儀はいつだ、どこでやるんだ」っていうのを言われて。

なんかもういらだちじゃないですけど、そんなことできないじゃない、できないし、
母親に対してもね、そういうことやってあげられないのがやっぱり苦しいですよね。そういうことまで全部詳しく説明して。一時期は、なんかもう会社に行けないんじゃないかっていう不安もあったし。

ようは1か月仕事していないなかで、やっぱり仕事もどんどん変わっていくし、私も部下を持ってるわけですけど、私がいない分、部下が私の分まで働いてるんで、部下に対しては申し訳ないなと。(会社に)行って何をするのか、今まで通りにできるのかっていうのは、もう不安なんです。

もう辞めてね、いちから違う仕事も、と考えはするんですけども、なんせその齢は齢なんで、それはできない。どうしても働かないと家族を養えないので、今まで通り働けていけるようになれたらいいなと思ってます。

 

コメント:

これだけ気兼ねをしてしまうのが、日本人に特有な気質の一つなのかもしれません。他者に気を配ることが出来るのは美風ともいえるし、外国のような罰則で強制されなくても、自主的に外出制限を守ることができる民族であることも誇るべきことではあります。しかし、同調圧力という言葉も、Covid-19の流行と共にすっかり馴染みの言葉になってきました。他者の人権を過剰に制限する行き過ぎた規制が個人レベルで行われていることはとても残念です。