5月28日(木)<シリーズ> 新型コロナ解説:私が推薦する わかりやすいガイダンスNo10

東京歯科大学市川総合病院循環器科の大木先生は、新型コロナウイルスに関して、とてもわかりやすい解説を掲載されています。御経歴からすると私より大分若手であるようですが、見習いたいと思いました。

 

私は、同市内にある昭和学院短期大学の客員教授として10年ほど勤務していたことがあり、この病院の前は数えきれないくらい通過していたのを懐かしく思い出します。

『知っておきたい新型コロナウイルス感染症COVID-19』

 

【新型コロナウイルス感染症の今後】

あるウイルス感染症にかかって、2週間でウイルスが免疫の力で完全に死滅して治癒すると仮定するならば、もしその2週間の間に全く誰にも接触せず、会いもせず、触ったものが他の人に渡ることもないような完全ロックダウン状況が作れれば、いかに大きなパンデミックがやってきていたとしても、2週間後には世の中からウイルスは消失しているため、理論的にはたったの2週間で流行は完全に終息します。

新型コロナウイルス感染症においても、そのような完全ロックダウンによる対処方法はかなり有効であると考えられます。

歴史的にもパンデミックがやってきたとき、人はそうして伝染病に対抗してきました。

 

しかし前述したように、持続感染の可能性があることや、完全なロックダウンがなし得ないため、2週間で完全終息させることは不可能です。ロックダウンに可能な限り近い状態を作ることによって、少しでも早い終息が図られています。

ロックダウンに近い状態が作れない場合には感染は延々と収束せず、第二波、第三波を形成してしまいます。

現在の医療態勢でも対応できるくらいに患者数を減らさなければなりません。既に多くの感染者が見つかっており、このままで推定される感染者は医療資源を大きく超える数です。

 

コメント:

東京や大阪など8都道府県を除き、ようやく新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言が解除されることになりました。

一方で、第2波への備えの必要性が叫ばれています。第1波では残念ながら科学的根拠に基づく対応がとれなかったが、この間の失敗を無駄にせず、第2波については、科学的根拠に基づいた対策を取りたいものです。

 

台湾で、新型コロナウイルス感染の確定診断がついた100人に濃厚接触した2761人について、患者のうち9人は無症状、濃厚接触者の内訳は、家族が219人、病院関係者が697人、その他が1755人でした。早期からの防疫体制が整っていた台湾であったとしても、これはわが国の今後を予測するうえで無視できない数字です。

 

改めて、新型コロナウイルスの陽性者および濃厚接触者は、いつまで隔離すべきなのでしょうか? 現在の基準では、隔離を解くには、依然として陽性者はPCR検査で2回続けて陰性が確認されることが必要です。自宅やホテルでの療養者も、検査で2回陰性が確認されるか、2週間の隔離が求められます。濃厚接触者も原則、患者に接触した時点から2週間の自宅待機を求められています。

 

残念ながらわが国からは、新型コロナウイルスの診療に有用な情報は、ほとんど発信されてきませんでした。今回のコロナパンデミックにあっては、中国からは怒濤の勢いで重要な研究結果が報告されています。とくにWHOのパンデミック宣言後の報告や考察は比較的有用なものが増えてきているように思われます。

 

もっとも台湾からの報告は台湾疾病コントロールセンター(CDC)が主導した研究であり、武漢での新型コロナウイルス感染の流行を早期に感知し、直ちに研究計画が立てられたものです。台湾で最初の新型コロナ感染の患者が確認されたのは1月21日ですが、感染力のある機関についての研究は1月15日から始まっていました。

今回のコロナパンデミックに対する台湾CDCの対応が世界で高く評価されているのは、単に医療と政治が一体となって国民を防衛する戦略の優秀性と高い倫理性にあるように思われます。

 

<明日へ続く>