5月26日(火)<シリーズ> 新型コロナ解説:私が推薦する わかりやすいガイダンスNo8

東京歯科大学市川総合病院循環器科の大木先生は、新型コロナウイルスに関して、とてもわかりやすい解説を掲載されています。御経歴からすると私より大分若手であるようですが、見習いたいと思いました。

 

私は、同市内にある昭和学院短期大学の客員教授として10年ほど勤務していたことがあり、この病院の前は数えきれないくらい通過していたのを懐かしく思い出します。


『知っておきたい新型コロナウイルス感染症COVID-19』

 

【新型コロナウイルス感染症の今後】

感染の伝播状態、予想にはいろいろな推計方法がとられていますが、正確に予想することは非常に困難です。横浜のクルーズ船から推定してみます。

 

クルーズ船には3700あまりの人乗っていましたが、3000件あまりの検査により600件ほど、つまり約20%の陽性者が確認されました。

クルーズ船が一つの社会で、一定の感染対策がなされた世界であり、現在の日本社会の一つのサンプルとしてとらえたならば、人口のおよそ2割が陽性となると想像されます。

50万人の市川市においては10万人が陽性となる換算です。更にその20%が重症化するならば、2万人が重症化します。死亡率が2%とすると2000人が死亡します。東京都では200万人が陽性となり、4万人が死亡するかも知れません。

 

クルーズ船をサンプルにする根拠もありませんので、あくまで可能性を示した数字ですが、いずれにしても非常に多くの方が重症化したり死亡したりする可能性があるということです。

陽性者を隔離することは、陽性者があまりに多く不可能です。市川市で10万人を収容できる場所はありません。

 

また過去のペストやスペイン風邪などの疫病の動向を見ると、大きなパンデミックを生じた感染症は必ず第二波、第三波があります。

封鎖や自粛により第一波が沈静化しても、根絶できない限り数年にわたって流行は続きます。それだけに社会の経済的影響が甚大であり、政治的混乱も生じることになるでしょう。

 

コメント:

ドイツでも8日目以降はウイルスなし
新型コロナウイルスについて、診断時から時間を追うごとに分離培養を行ったドイツからの報告があります。


この情報によると、診断直後は高い確率でウイルスを分離することができたが、日を経るごとに減少し、発症から8日目以降では、検査した全員において分離することができなかったことが示されています。
 

新型コロナウイルスの分離培養は、もっとも危険な病原体を扱える限られた研究所しか実施できません。ウイルスの定量や分離培養の結果も、台湾から報告された研究と符合しています。

 

これらの研究結果を総合すると、新型コロナウイルスは、症状が出てから1週間経てば、すでに感染力を失っていると考えられます。台湾からの報告と合わせると、新型コロナウイルスが他人に感染するには一定のウイルス量が必要で、発症から1週間経てば、この値を下回るものと推定できます。

 

わが国では、事実上、発熱が4日以上続いてから検査を受け入れるという状況でしたが、私が直接経験した範囲でも、中野区や三鷹市をはじめとする都下においては、発症後1週間以上たってもPCR検査が受けられませんでした。

これは何を意味するのかというと、仮に発病していてもPCR検査を受けるまでにはウイルスを分離することができず陰性としての結果となることがほとんどである可能性が高いということになります。

この頃には感染力が失われているという意味では悪い話ではなさそうですが、実際の感染者数より遥かに少ない数字になることは明らかです。したがって、残念ながら、わが国で実施されてきた新型コロナウイルスに関するPCR検査による感染率のデータはほとんど信用できないということになります。

 

そこでドイツのこの研究結果は、今後の新型コロナウイルスの感染対策に極めて重要な意味を持つことになります。今回の知見をもとに、これまでのわが国における新型コロナ感染対策を顧みるとともに、今後の対策にこの結果をどう活用していくべきか、早急に検討し、速やかに実践しくことが望まれます。

 

<明日へ続く>