5月25日(月)当クリニックでの循環器診療No1

高血圧診療(認定内科医、日本高血圧学会会員として)

 

高血圧は生活習慣病の中で最も頻度が高い疾患です。外来血圧で140/90㎜Hg以上を高血圧とすると、わが国には約4,300万人が罹患していると推定されています。大雑把に言えば3人に1人が高血圧です。ですから、高血圧は国民病であるともいえます。

 

その罹患者数は国民の高齢化によりさらに増加していくことが予想されます。それから、当分の間、私たちの日常生活を脅かすことになる新型コロナウイルス感染症に感染し易く、しかも重症化し易いとされる基礎疾患の一つであるということも忘れてはならないと思います。したがって、高血圧の管理は、新型コロナをはじめ多くの余病発生の予防になることを銘記しておくことが大切だと思います。

 

高血圧治療の目標は、単に血圧を正常化することだけではありません。心肥大、腎障害などの循環器系臓器障害や、脳卒中、冠動脈疾患などの心血管疾患を抑制し長期予後を改善することを目指すものなのです。また、降圧治療を受けることによって、生活の質(QOL)が損なわれることなく、身体的、精神的、社会的に快適な生活を送ることができるようにすることができます。

 

数多い高血圧患者の診療レベルを向上させるためには、客観的な証拠による診療方針の決定、すなわちEBM(エビデンス・ベースト・メディシン)に基づいた質の高い診療ガイドラインを普及させることが効果的なアプローチであるということに対して明らかな異を唱える人は、先進国の医師においてはどこにもいません。米国では2013年の勧告に続き、2017年には米国心臓病学会などがすでにガイドラインを作成しました。

 

わが国では近年、高血圧学会を中心として臨床研究の成績が蓄積され、2019年に4回目の改訂が行われました「高血圧治療ガイドライン2019」(JSH2019)では、日本人におけるエビデンスに基づいて記載された部分が増加しており、わが国の高血圧患者の診療により適合した内容になっています。

 

一番大切なポイントは、家庭血圧の測定です。上腕カフ(マンシェット)による自動血圧計を家庭に確保してください。前腕や手首で測定するものは避けてください。朝と晩の1日2機会、1~2分の安静後に、座位にて測定してください。なるべく多くの皆様に測定していただけるよう、杉並国際クリニックでは「血圧手帳」や当クリニックのオリジナル「生活・行動記録シート」をお配りしていますので、ご活用ください。

血圧手帳

行動記録

 

 

 

杉並国際クリニックでは、「高血圧治療ガイドライン2019」(JSH2019)を最大限に生かすべく、「高血圧治療管理基準」と「高血圧の治療基準」(杉並国際クリニック2020初版)を作製し、日常診療の実践に導入しています。

高血圧治療指針

高血圧

 

 

それから、私が中心になって著した「わかりやすい臨床栄養学(第6版)」(三共出版)2020.4発刊を教科書として、当クリニック専属の健康管理士・林亮博が総合生活指導コーチングを担当しています。

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