緊急報告:PCR検査受け入れ困難の現実に直面!

新型コロナウイルス感染の有無を調べるPCR検査について、より多くの方がPCR検査を受けることを可能とするために、国は受診・相談の目安に挙げた「37.5度以上の熱が4日以上続く」という条件を解除しました。しかし、現場ではこの方針とは逆行しているところがあるのが現実です。


「医療従事者も陽性か陰性か分からない患者と接して地域医療を支えています。保健所は患者を選別せず、医師の声をしっかり聞いてほしい」と切望するのは私だけではありません。医療機関からのPCR検査依頼に確実に応じるよう要望しても受け入れられないケースが多いこという現実に直面して愕然とします。

 

しかし、安易に疑い患者を多数診療している医療機関があります。胸部レントゲン検査等に異常所見が見出せないからといってCovid-19肺炎の兆しの可能性を否定することはできません。

それを否定するためには、少なくとも胸部のCTスキャンで確認すべきでしょう。ましてや炎症反応を見るために末梢血白血球数とCRP値が著増しているにもかかわらず新型コロナウイルス感染症を否定して返すことなど論外です。

 

素人である患者さんは、高熱を諸悪の根源と決めつけ、解熱して楽になれば解決であると思い込みがちです。

抗生物質を解熱剤と混同したり、万能の特効薬であるという信念に凝り固まっている方を説得するためのやりとりは患者・医師の双方にとって実にストレスフルです。

私は、30年以上もの間、この種のやりとりを繰り返してきて気づいたことは、いざという時に説得力ある説明ができる自分の姿を想像することが容易にできないという事実です。実に嘆かわしいことですが、そうした患者さんにとっての常識に基づく強い要望に対して、解熱剤と抗生物質を安易に処方して重篤化させてしまう開業医が後を絶たないことです。

これは、能力の欠如した政治家が世にはびこっているのと軌を一にしているように思えてなりません。

 

とりわけ開業医らが保健所に検査を依頼しても断られるケースが全国で続出しているようです。杉並国際クリニックでもGW明け早々に、すでに2件発生しています。

 

1例目:

中野区在住の男性。発熱と呼吸苦と全身倦怠感があるため、最寄りの保健所に相談。すると担当者から「予め医師の診断書を取り付けてから、相談してほしい」という指示を受けたとのことでした。診断をするためにPCR検査を受けるのにもかかわらず、

事前にかかりつけ医からの『診断書』を相談者に求めるということは矛盾していないでしょうか。

そもそも、そのような決まりは中野区独自のものであって、予め区民には知らされていません。

そのため、患者さんは、『診断書』の交付を受けるために医療機関を受診せざるを得ません。

急変した場合にどのような対応がなされるのかが不明です。

直ちに医療機関を受診できるくらい心身の状態に余裕があるのでしたら、あえて保健所に相談することはないのではないでしょうか。

そこで、今後のために対応に当たった職員の氏名を確認しておくようにアドバイスしました。

 

2例目:

三鷹市在住の女性。三鷹市を管轄するのは多摩・府中保健所です。気管支喘息合併肺気腫をはじめ複数の基礎疾患があり、すでに2週間以上も呼吸器症状と体温の変動を繰り返しています。

担当者の回答は「主治医の電話連絡を受けてから、相談するように。重症化していなければPCRの検査は受けられません。」とのことだったそうです。

重症化してからでなければ検査を受けられないのであれば、不安な気持ちでひたすら検査の機会を待っているということは、わざわざ手遅れの患者を増やすようなものです。

この方には、担当者の氏名と保健所の連絡先電話番号を確認しておくように話しておきましたので、いざという時のための準備を整えることができました。

 

医療の最前線に立つ全国の医師からは「患者が医療難民にならないよう、依頼に確実に応じてほしい」との声が上がっています。

そして「このままでは患者との信頼関係が崩壊しかねない。患者も行き場を失い、彷徨いかねない」という危機感もさらに高まっています。

 

以上の身近なケースでも明らかなように、現在までのところPCR検査は患者さん個人の治療に役立てるために実施されているのではありません。

そろそろそうした建前のウソに気が付かなくてはなりません。本音の政策的意図(本音)としては感染率や感染ルートをはじめ医療政策の方針決定のためのデータ集めに過ぎないと考えて覚悟しておいた方が良さそうです。

 

結局、自分の健康は役所任せにせず、一人一人が日頃から自衛のための努力と工夫を継続する習慣と環境を主治医と共に整えておくことが肝要です。

その場合、すべての点において主治医と意見や方針が一致している必要はないし、また実際に不可能なこともあります。

しかし、ふだん主治医から熱心に勧められる基本的対策に納得がいかないことが多く、ましてや実行できていないことが多いのであれば、主治医を換えるという選択肢も大いにあり得ると思います。実際に主治医を変えることによって、早めに真実を知って戻ってこられる方も少なくありません。

 

いざというときに、医師が喜んで患者の責任を引き受けられるかどうかは、その前提条件が整っているかどうか、つまり、真の意味での信頼関係が構築されているかどうかにかかってくると思います。