4月28日(火)特集:シリーズ『新型コロナウイルス罹患者の体験から学ぼう』第1症例5-②

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ4症例の研究

症例検討会(カンファレンス)

 

症例1の20代の女性は、とても賢明な方であり、患者としては申し分ない対処行動をとったことがわかります。

この方の賢明さがこの方を救ったばかりではなく、いかに、新型コロナウイルスが手ごわいものであるのか、そして、今後は、どのような理解のもとに、戦略を組み立て、戦術を生み、そして実際の行動に移していくことが良いのかを決定するうえで、とても得難い情報源となっています。


この方の最後のご感想、人によって本当に症状が違うんだなにはすべてが凝縮しているといって差し支えないと思います。

 

はい。その通りなのです。とても貴重な御感想です。

 

この方の命がけの体験から発せられた言葉を私ども医療従事者はしっかりと肝に銘じておかなければならないと思います。現場の臨床とは、まさにそのようなものです。

 

私たちが直面している武漢ウイルスによるパンデミックは、第3次世界大戦といった形容を遥かに超え、得体のしれないエイリアンと地球防衛軍との戦いになぞらえることができます。

こうしたパンデミックにおいては、RCTなどのような高いエビデンスレベルに基づくガイドラインは入手不能です。

それに固執して、患者の救命活動より、PCRなどの不完全な検査のために手間と時間と財源と労力を浪費して、肝心な救命活動に支障を生じてしまっていることの現状を反省すべきではないかという思いを強くしました。

 

ですから、症例数が少ない段階では、臨機応変に対応し、心身医学な全人的アプローチを基礎に据え、経験則と論理則とブラックボックス理論と確率論等の理論ツールを総動員した戦略構想に基づき、具体的な戦術を素人にもわかりやすくガイドするのが臨床医の務めなのではないでしょうか。

 

新型コロナウイルス対策のエキスパートの面々の中には、残念なことに、東洋医学や心身医学の専門医も見当たりません。

ですから、感染予防だけでなく、発症予防、重症化予防を視野に入れるべき臨床の現場での経験が乏しい方々によって占められています。

 

見通しのつかない中で、自宅待機を余儀なくされ、「検査はあれども手当なし」という状況下に置かれた素人の患者さんたちが、どれほどの不安と恐怖と、場合によっては絶望に近い心理状態に陥っているか、という課題を深く認識できていません。

 

そして、そのことが、どれほど大きなストレッサーとなって、私たちすべての人命にとって等しく最も基本的であり、最終的な回復資源である免疫力を、どれほど甚だしく損なっているのかという重大な根本課題の解決に考えが及んでいないのはすこぶる残念なことです。

 

新規の創薬は間に合わず、可能性が見込めそうな既成の薬剤の治験(人体実験)を始めていますが、同時に副反応も心配です。

これに対して2000年以上の歴史の中で、幾度も世界レベルのパンデミックを経験してきた中で淘汰されずに生き残ってきた漢方薬の有効性を最大限に生かそうとする知恵が不足している、あるいは否定しようとしている一部の医学エキスパートが多数の人命救助を阻んでいるのだとしたら、実に嘆かわしいことではないでしょうか。