糖尿病高齢者の血糖コントロール(その2)
「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標について」
2016年5月に、日本糖尿病学会及び日本老年医学会より、「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標について」が発表されました。
基本的な考え方として、
① 血糖コントロール目標は患者の年齢、認知機能、身体機能、併発疾患、重症低血糖のリスク、余命などを考慮して個別に設定する。
② 重症低血糖が危惧される場合は目標下限値を設定し、より安全な治療を行う。
③ 目標値や目標下限値を参考にしながらも、患者中心の個別性重視の治療を行う観点から、
目標値を上回る設定や下回る設定を柔軟に行う。
ここで①の認知機能と身体機能については、より具体的な評価基準が考案されています。
まず認知機能は、先日も触れましたが、その障害の有無を評価します。
つぎに身体機能については日常生活活動度(Activities of daily living;ADL)で評価しまします。ADLとは、人が生活を送るために行う活動の能力のことです。
・ADL の評価法は糖尿病と手段的ADLや基本的ADLの障害
基本的ADLとは移動、階段昇降、入浴、トイレの使用、食事、着衣、排泄などの基本的な日常 生活活動度を示す。糖尿病患者は手段的ADLが1.65倍、基本的ADLが1.82倍低下しやすいです。
手段的ADLとは高次のADLで買い物、食事の準備、服薬管理、金銭管理、交通機関を使っての外出などのより複雑で多くの労作が求められる活動を意味します。
そこで、患者の特徴と用いる薬剤から血糖コントロール目標(HbA1c)とその下限が設定されました。患者の特徴は、認知機能とADLにより3つのカテゴリーに分類します。
カテゴリ―Ⅰ:
① 認知機能正常かつ
② 基本的ADL自立、手段的ADL低下
カテゴリ―Ⅱ:
① 軽度認知障害~軽度認知症または
② 基本的ADL自立、手段的ADL低下
カテゴリ―Ⅲ:
① 中程度以上の認知症または
② 基本的ADL低下または
③ 多くの併存疾患や機能障害
上記のカテゴリ―分類は、糖尿病の血糖コントロールの目標決定の上で大切な目安を与えてくれます。
<明日に続く>
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