「BCGはCOVID-19を予防する」は本当か?No3.

理屈抜きにメリットがあればよいのでは!?

 

Q5.

BCGワクチンは結核以外の感染症に対する予防効果は期待できますか?

 

A5.

はい、期待できる場合があります。たとえば、小児期の呼吸器感染症や敗血症を40~50%減らすこと(de Castro MJ, et al. Clin Infect Dis. 2015;60:1611-9.)や低出生体重児の死亡率を減らすこと(Biering-Sorensen S, et al. Clin Infect Dis. 2017;65:1183-90.)が示されています。が、結核以外の疾患に対する予防効果も示されています。

 

 

Q6.

BCGがなぜ結核以外の感染症に対してなぜ予防効果があるのですか?

 

A6.

理由は十分に解明されてはいません。しかしBCGが白血球の成分の一つである単球に働きかけて自然免疫を強化するゲノム変化を起こすこと(Arts RJW, et al. Cell Rep. 2016;17:2562-71.)、炎症促進性サイトカイン、特にIL-1Bの分泌を増加させること(Netea MG, et al. Science. 2016 Apr 22;352:aaf1098.)などによるものではないかと推測されています。

 

 

Q7.

結局BCGはCOVID-19を予防することは可能でしょうか?

 

A7.

私にはよくわかりません。しかし、現時点でCOVID-19を予防する目的でBCGを接種することは推奨されません。その理由はCOVID-19は新しい感染症であって検証にはまだまだ時間がかかるからです。

日本ワクチン学会はこうした議論を踏まえて、以下の見解を発表しています。
日本ワクチン学会「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する BCG ワクチンの効果に関する見解【2020.4.3 Ver.2】」

 

◯「新型コロナウイルスによる感染症に対してBCGワクチンが有効ではないか」という仮説は、いまだその真偽が科学的に確認されたものではなく、現時点では否定も肯定も、もちろん推奨もされない。

 

◯ BCGワクチン接種の効能・効果は「結核予防」であり、新型コロナウイルス感染症の発症および重症化の予防を目的とはしていない。また、主たる対象は乳幼児であり、高齢者への接種に関わる知見は十分とは言えない。

 

◯ 本来の適応と対象に合致しない接種が増大する結果、定期接種としての乳児へのBCGワクチンの安定供給が影響を受ける事態は避けなければならない。
基本的に私もこの見解の延長線上にあります。