水気道はどのようして生まれたのか?
水気道の成立までの過程は、考案者である筆者自身の個人史と重なる部分が少なくありません。
私が水治療に強い関心を抱くに至った端緒は、平成元年(1989)に研究生として入室した東京大学衛生学教室(故、和田攻教授)で研究されていた微量必須栄養学や毒物学と環境医学を通して、自然療法と臨床栄養学との接点をもったことに始まります。
その後、平成4年(1992)に日本温泉気候物理医学会の会員となり、温泉療法医さらに温泉専門医になりました。温泉医学は現在の東京大学医学部アレルギー・リウマチ科の前身であった物療内科が発足当時の研究の拠点でした。
現在の水氣道の原型は、平成7年(1995)頃、私が独自にデザインした室内温水プールでの私的な健康法にはじまります。
水治療が身体のみならず精神にも好ましい効果を及ぼすことを学習し体験した筆者は、東洋医学や心身医学に急接近し、現在も私淑している末松弘行先生(東京大学心療内科名誉教授)の紹介により平成8年(1996)に東京大学心療内科(久保木富房教授、当時)に入門しました。
そこでストレス関連の不安・抑うつを伴う身体症状やパニック障害、摂食障害等について理解を深め、のちに心身医学専門医や心療内科専門医さらに心身医学・心療内科指導医になりました。
ちょうどこの年は、心療内科、アレルギー科、リウマチ科の標榜が可能となりました。さらに、平成9年(1997)には日本東洋医学会漢方専門医の資格を取得しました。
この年に、温泉医学や保養地医学への興味からドイツ南部バイエルン州の保養地バート・ヴェーリスホーヘンにて開催されていたクナイプ療法セミナーに参加しました。
クナイプ療法は心身医学的な自然療法であり、水療法を中心に運動療法、また食事療法と薬草療法、それが心身医学療法によってまとめられている体系をもっていました。
筆者はドイツ人医師らと共に研修を受け、これが大きな原動力となって帰国直後から、水中運動による自己鍛錬を定期的かつ継続的に実施するようになりました。
筆者は日々臨床に従事する開業医であることから、まもなく二名の参加者(糖尿病、うつ病各1名)が継続的に水中運動に参加することになり、自然発生的な最初のコミュニティが誕生しました。
このようにして、水氣道は最初期から自然発生的に団体運動としての責任を担うことになったため、集団的手法を考案していくことになりました。
それによって、このコミュニティは徐々に参加者が増え、任意団体のまま10人余りを擁する草創期の組織へと成長していきました。
しかし、参加者が増えはじめた頃から有形無形の妨害や被害を受けるようになりました。
その最たるものは、オウム真理教事件に起因するものでした。これは1980年代末期から1990年代中期にかけてオウム真理教が起こした一連の事件の総称です。
とりわけ平成7年(1995年)の地下鉄サリン事件の余波を受けて、筆者自身および水気道の組織がオウム関連の一味であるという風評被害に遭遇し、活動の展開が阻害されることがありました。
オウムの宗教施設で高円寺南にあったサティアン識華(のりか)とオウム真理教附属医院(中野区野方)を結ぶライン上に配置されるかのように私の診療所(高円寺南診療所、当時)と研究室(中野区大和町)があったためか、公安当局からの聞き込み調査を受けることがありました。
また、稽古の拠点であった杉十温水プールの当時の施設長や職員からも、たびたび理不尽な苦情の報告や勧告を受けることがありました。
このような経緯から、組織の運営や契約の在り方のルールについて自ら心得ておく必要が感じられました。
そこで開業医としての業務と水気道の活動を継続が可能な慶應義塾大学の通信課程で法律を学び平成12年(2000)に卒業しました。
同年12月には、これまでの水中運動を、全人的でマインドフルな集団的水中運動であることから「水気道」と称することにしました。
ただし、公共のプール施設で指導行為を実施するために、施設を管轄する地域自治体(杉並区教育委員会管轄)に団体登録をする必要がありました。
平成13年(2001)には関係者からの要請を受けて昭和学院短期大学ヘルスケア栄養科の非常勤講師(生命倫理学、臨床栄養学)に就任し、運動療法と栄養療法との接点についての理解が深まりました。
さらに、平成15年(2003)12月11日に団体名を「日本水気道協会」として地元自治体である杉並区関連の組織に団体としての登録をしました。
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