4月2日(木)腎障害と痛風・高尿酸血症No2

腎障害の危険因子としての高尿酸血症

 

高尿酸血症は痛風発作だけでなく、腎障害などの危険因子として認識しておく必要があります。

高尿酸血症は血清尿酸値が7.0㎎/dL超をいいます。高尿酸血症が急性痛風関節炎、痛風結節、腎障害、尿路結石の原因になることは以前から知られていました。

2018年に日本痛風・核酸代謝学会より「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第3版)が刊行されました。

そこで、無症候性高尿酸血症でも腎障害を有する場合には、腎機能低下を抑制する目的で尿酸降下薬を用いることが条件付きながら初めて推奨されました。

 

また近年、痛風・高尿酸血症の治療薬である尿酸降下剤の腎機能保持作用に関する臨床試験が発表されました(FEATHER試験、CARES試験)。

 

ところで、高尿酸血症・痛風の治療薬は、特殊な場合を除いで、大別して2群に分けることができます。

それは、患者さんの病態のタイプに対応しています。

高尿酸血症の原因として多いのは、腎臓からの尿酸の排泄が低下しているタイプで、その場合は尿酸排泄促進薬を選択します。

そして、もう一方のタイプは、肝臓での尿酸合成が亢進しているタイプで、その場合は尿酸合成抑制薬を選択します。

 

ただし、腎障害時には、通常、尿酸生成抑制薬であるアロプリノール(ザイロリック®)を使用することが多いです。

しかし、それでも腎不全になるとオキシプリノールという代謝産物が増加し、副作用が重篤化することがあります。そこで、

最近では、同じく尿酸生成抑制薬で中等度の腎障害までは投与量の調節不要なフェブキソスタット(フェブリク®)が注目されています。

 

 

杉並国際クリニックの見解

腎障害が軽度であれば、尿酸合成促進型の患者さんに対する痛風・高尿酸血症の治療薬としては、従来薬であるアロプリノール(ザイロリック®)で十分であるといえます。

ただし、一般に高尿酸血症治療薬は長期にわたって服用する必要があります。

そのため、腎機能が加齢とともに低下していくことを見越して最初からフェブキソスタット(フェブリク®)を処方しておくことも合理的な選択肢の一つであると考えます。