4月1日(水)腎障害と痛風・高尿酸血症No1

『認定痛風医』の役割

 本日4月1日付で、私は日本痛風・尿酸核酸学会の「認定痛風医」の資格を取得しました。

 

医師の専門資格というものは、目に見える形の「認定書」という「壁飾り」によって、内容を知らない素人である患者にインパクトを与え心理操作をするためのものではありません。

 

患者の診療により良く貢献するためには、医師みずからの日常診療の努力と工夫もさることながら、一般の皆様の目に触れない、耳にすることの少ない学会参加等の研鑽が必要であることを広く知っていただくことが必要だと考えております。

 

むしろ今後とも皆様の御協力をいただくことも不可欠となって参ります。

 

それにもかかわらず、資格の目的と意義、資格取得までの過程については一般に知られていないのが現状です。そこで、以下に私のケースを例に具体的にご紹介させていただくことにしました。

 

 

日本痛風・尿酸核酸学会認定痛風医資格制度規約(抄)

第1章 総則

第1条 この制度は痛風・高尿酸血症に関する臨床の知識の発展普及を促し、疾病の予防および診療に必要な総合的な知識と技量を有する優れた医師を育成し、これらの患者の診療に貢献することを目的とする。

⇒ 「痛風・高尿酸血症」に関する臨床とありますが、この制度趣旨自体がすでに古くなっています。最近では、腎性低尿酸血症といって合併症として重篤な運動後急性腎不全や尿路結石が問題となる難病についても「認定痛風医」に託された臨床課題とされるようになり、実際に、私が受験した資格試験問題にも複数出題されました。

また、「痛風・高尿酸血症の予防および診療に必要な総合的知識と技量」とは、肥満・メタボリックシンドローム(代謝症候群)、高血圧、脂質異常症、糖尿病をはじめ、腎臓病、肝臓病、動脈硬化症、狭心症・心筋梗塞などの心臓血管病、脳梗塞など、内科の臨床全般や整形外科領域におよぶものであり、日常診療全般にかかわってきます。また癌の化学療法により腫瘍細胞が崩壊する際にも顕著な高尿酸血症を来すことがあります。

 

 

第4条 (認定痛風医像)本学会認定痛風医は、痛風・高尿酸血症の病態を幅広く理解し、その診療において適正な医療を実践できるとともに、患者の病態に合わせた適切な生活指導ができる能力を備える医師であることを要する。

 

⇒ 痛風の直接の原因となる高尿酸血症は、多くの場合、生活習慣との関連が密接にかかわるとされます。つまり、現代人のライフスタイルで問題なのですが、これまで見落とされてきたのは心理社会的ストレッサーとの関わりです。

そもそも「痛風は贅沢病である」という決めつけは不適切であり、むしろ理不尽な社会の中で日々のストレスと闘い続ける正義感が強くて勤勉な努力家が罹患しやすい病気でもあることを知っていただきたいと思います。
     

しかし、現在の「認定痛風医」をはじめとするエキスパートの中には、心身医学の専門医は皆無であるため、この領域の臨床実践と研究を開拓していくのは、今後の私の使命の一つであると考えております。

 

 

第3章 認定痛風医の資格

第8条 本学会認定痛風医の資格

1. 申請時において継続 3 年以上または通算 5 年以上本学会会員であること。      

⇒ 私はすでに30年以上の臨床経験があり、会員歴も15年以上に及んでいます。

 

2. 申請時において、日本専門医認定機構が定める「基幹領域の学会」の認定医または専門医として認められている者。                           

⇒ 私が所属する「基幹領域の学会」は日本内科学会であり、日本内科学会の認定医(認定内科医)として認められています。

 

3. 会員として本学会が主催する学術集会に 3 回以上の出席があること。        

⇒ 学術集会は年に一度開催されるので最短で3年を要します。私の場合、かつての出席証明書を保管していなかったため、認定痛風医試験に合格してから認定医として承認を得るために、改めて3年を要することになりました。

 

4. 次のいずれかの要件を満たすこと。

(1)最近の 10 年間に痛風・高尿酸血症に関する学会発表、又は論文発表が 3編以上あり、少なくとも 1 編は筆頭者であること。                

⇒ 認定医は本来であれば、単に知識を得るだけでなく、臨床経験を通して学術的 にまとめ上げ、研究活動にも従事して医学の発展に貢献することが望ましいと私は考えています。開業医であっても立派な研究業績を残していらっしゃる模範的な先生方もあり、心から敬意を表しつつ見習っていきたいと思います。

 

(2)認定痛風医試験に合格した者。

⇒ 私の場合は、筆記試験を受験する(2)の要件をクリアしました。

 

5. 最近の 5 年間に痛風・高尿酸血症の 30 症例以上の診療経験を有する者。      

⇒ 私の場合は1カ月で30症例以上の診療経験ができています。今後は、症例の数よりもこれまで以上に質の向上に心がけていきたいと考えております。

 

1. 別に定める細則による資格を満たすこと。 第 4 章 認定痛風医の申請

⇒ 一般の方にとっては、どうでもよいことかもしれません。しかし、「認定痛風医」についてご理解いただくためには、認定を受ける資格申請のためには以下のような諸条件のすべてをクリアしなければならないということをご紹介しておくことは無意味ではないかと存じます。

 

 

第4章 認定痛風医の申請

第9条 認定痛風医の認定を希望する者は、次の各項に定める書類に手数料を添えて本学会認定痛風医資格制度委員会に提出する。

1. 認定痛風医資格認定申請書

2. 履歴書

3. 医師免許証(写し)

4. 基幹領域学会の認定証(写し)

5. 本学会参加証(写し)

6. 症例一覧表(30 症例以上)

7. 病歴と臨床経過要約(10 症例以上)

8. 業績目録(過去 5 年間における本学会の講演、座長の学会抄録の写し。痛風・高尿酸血症に関する論文、他学会における講演などの写し)あるいは認定痛風医試験合格証(写し)

9. 本学会評議員もしくは本学会認定痛風医資格をもつ医師の推薦書

10. 継続 3 年または通算 5 年以上本学会の会員であることの証明書