4月1日(水)水氣道の本質と稽古の構造および機能について(全5回)

これから、5回に分けて水氣道の本質と稽古の構造および機能について解説します。

第1回 「起」の巻【問題提起】
そもそも水氣道とは何か? 

 

第2回 「承」の巻【水気道の組織学】
水気道はどのようにして生まれたのか? 

 

第3回 「転」の巻【水氣道の稽古の流れと機能】
水氣道ではなぜ水氣道とも表記するようになったのか?

 

第4回 「結」の巻【水氣道を導いている不思議な存在】 水氣道による人格の完成に向けてのメカニズム


第5回 「縁」の巻【日本水氣道協会の使命】
水氣道というアクアビクスにおけるマインドフルネスとは?
という順序で述べます。

 

 

第1回 『起』の巻【問題提起】

そもそも水氣道とは何か?
 

そもそも水氣道®(Suikido®: Mindfulness Group Aquabics®)とは、水環境下で独自の定式の形(かた)に基づき団体で行う全人的エクササイズです。組織としては水氣道®という表記をもって代表しますが水気道®と表記することも認めています。
 
 

これは心身の鍛錬と精神の修養とを通し、自他に有為な器(うつわ)となることを目的とするものです。そして、水氣道のアクアビクスは、単に身体的な健康の維持・増進を求めるのではなく、心理的・社会的にも望ましい状態、つまり真の全人的な健康を目指す生涯エクサイズです。

 

水氣道は集団でのエクササイズですが、質の担保の上での利点は、一人一人の全人的健康の維持・増進を目的としている点にあります。

それは毎回の稽古の前後で計測し記録している各人の健康データをはじめ、季節ごとのフィットネス(身体の構造や機能の年齢)評価や医学的検査データなど科学的調査と分析により稽古内容や技法の弛まぬ改良を加えてきた成果が物語っています。

また全人的健康等とは身体的健康のみならず精神的健康や生活環境や社会活動における行動上の健康にも及びます。

 

しかし、科学をはじめ他の武道や藝術のように、人類史におけるあらゆる偉大で独創的な業績の契機は、科学的で実証的な論理に導かれたものばかりではなく、直観的な霊感(インスピレーション)に基づく「気づき」の働きによるものが圧倒的に多いのではないでしょうか。私はそこに人間が本質的にもっている宗教性を感じ取っています。

 

そのような意味で考えるならば水氣道も宗教性とは無関係ではないということになります。つまり、水氣道も宗教性を帯びているということです。それでは、水氣道の宗教性とはどのようなものでしょうか。それは一過性で不安定な新興宗教(カルト)というよりは、むしろ安定した機構と機能をもつ伝統宗教との親和性が高いと考えます。

 

そこで唐突な話ですが、このあたりで申し上げておきたいことがあります。そもそもカルトとは少数の人々の熱狂的な支持によってなる狂信的な崇拝であり、そのような支持者の集団をカルト集団と呼びます。しかし、現時点での水氣道が熱狂的・狂信的とまでは及ばぬまでも熱心な会員ばかりによって構成されているかといえば、これは違います。

 

しかし、継続的な稽古参加者が100名にも達していない現状では、少数集団であることは否めません。少数集団であることは、懇切丁寧な対応により、質的な向上を達成させることも容易ですので必ずしも悪いことばかりではありません。

ただし、一定水準の質を確保した上で更なる向上を目指すためには、質ばかりでなく量(会員数)の確保・拡充が望まれます。

 

しかしながら、水氣道の実践がカルトの集まりによる神がかり的な武道のようなものであっては断じてならず、また水氣道の組織運営がカルト集団のように疑われてはならないということです。

水氣道は、そのような理不尽な評価を受けることがないように配慮してきたということです。

このメッセージを理解していただくためにも、水氣道の歴史と本質について、これから少しずつ理解を深めていただくことは意味のあることであると考えます。