3月26日(木)脳卒中の慢性期治療についてNo4

再発予防策❸ 非心原性脳梗塞

 

この10年の間の脳卒中に関する医学の進歩は目覚ましいです。脳梗塞の臨床病型には、ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症、その他の原因で生じるその他の脳梗塞があります。

その他の原因とは、奇異性塞栓症、動脈解離、本態性血小板血症ならびに可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)など、脳梗塞の新たな原因として明らかにされてきました。

それでも、心原性脳塞栓症を除く、これら種々の臨床病型は非心原性脳梗塞として一括りに論じられています。また、最近、塞栓性と考えられるが塞栓源不明な脳塞栓症(ESUS)という新しい概念が提唱されています。

 

非心原性脳梗塞については、急性期以降の再発予防として、抗血小板薬(アスピリン、クロピトグレル、シロスタゾール、チクロピジン)が強く推奨されています。

とくに、シロスタゾール(プレタール®)を含めた2剤併用が再発リスクの高い患者に長期間にわたって有効であることが示されています。

 

シロスタゾールの使い方としては、❶ 慢性動脈閉塞症に基づく潰瘍、疼痛及び冷感などの虚血性諸症状の改善、❷ 非心原性脳梗塞発症後の再発抑制、の際に適応となります。

ただし、出血、うっ血性心不全、妊婦には禁忌とされます。また、脈拍数増加、狭心症発現があるので、胸痛などの狭心症症状の問診を行なうべきことが警告されています。

その他、高血圧持続患者へは慎重投与、冠動脈狭窄を合併する患者で過度の頻脈数増加が現れた場合には適切な処置を行う旨の注意がなされています。

 

 

杉並国際クリニックでの臨床応用

読者の皆様は、すでにお気づきかもしれませんが、この領域の医学は、有能でかつ勤勉な現場の医師が日々研鑽を積んでも追いつくことが難しくなりつつある領域の一つです。

 

模範解答を限られた時間と報酬で、複雑でめまぐるしく変化する情報をアップ・ツー・デートに収集し、分析し、回答を提出することには限界が来ています。

 

AIとの共存の中で、精密な将来軌跡を予見すること(iPOP)に基づかなければ精密な健康管理は実現できません。

いわゆる生涯にわたる個人ごとのビッグデータをモニタリングして、互いにそれをシェアリングによりはじめて実現することになります。

 

我が国は、世界一の長寿国となって約20年が経過しましました。これは水氣道®の歴史とほぼ軌を一にします。そして、2019年には、高齢化率が28.4%となり、75歳以上の高齢者の割合も指標となる14%を超え、超高齢社会になりました。

これから増加するのは、75歳以上の高齢者、特に85歳以上の高齢者の人口比率です。

そして、いずれ85歳以上の高齢者が人口の1割を占め、人生100年時代が到来すると予想されています。

 

高齢化率が28%を超え、超・超高齢社会に突入し、100年後、100歳を超える人が半数に達する未来が実現すると見込まれています。

ユヴァル・ノア・ハラリは、2018年の「ホモ・デウス テクノロジーとサイエンスの未来」という講演で、「前例のない水準の繁栄と健康と平和を確保した人類は、次に不死と神性を標的とする可能性が高い」としています。

 

しかし、地球の温暖化や自然環境の破壊、新たな病原体や薬剤耐性を獲得した既存の病原体の出現によって、絶えず人類は生命の危機に脅かされています。

そのような現実の中にあっても、なかなか死ねなくなった人類が、死ぬまで幸福でいる(「幸福寿命」の延長)のためには、どのような対策をたてたらよいでしょうか。

 

それは死ぬまで、社会に対して、何らかの形で「働きかける」ことができる心身の活力を保持する方略が必要です。

医学的に言えば、心身医学と老年医学の発展と普及が求められますが、心身医学と老年医学を統合するならば、≪老年心身医学≫という専門分野の確立が必要になるのではないでしょうか。

この老年心身医学を医療として有効に生かすためには、老年期に入る前からの早期からの準備が肝要であるということです。

皆様の水氣道®や聖楽療法へのご興味とご関心、そして実際にご参加いただくことによって、私どもの全人的健康開発法の発展と普及が望まれる次第です。