3月21日(土)新型コロナウイルス(COVID-19)感染症に効く漢方と鍼灸No3

<土曜日特集:統合医学(心身医学・漢方医学)カンファランス>

中国で新型コロナウイルス肺炎のガイドライン第6版(新型冠状病毒肺炎诊疗方案(试行第六版))が発表している文書は、先週ご紹介いたしました。

 

今回のガイドラインでは、治療薬として抗マラリア薬であるリン酸クロロキン(磷酸氯喹)が有効としています。日本では認可されないと思われます。また抗インフルエンザ薬のアルビドール(阿比多尔)の記載あります。日本の保健処方では「ラピアクタ®」です。ただし、新型コロナウイルスの治療目的では保険が効きません。


また中医(漢方)治療では漢方の注射薬も追加されたり、清熱への配慮に力が入れられたり、いろいろ変更がありました。

 

中医治療は「医学観察期」「軽症」「通常型」「重症」「重篤」「回復期」に分けて行ないます。

今回は、医学観察期の処方の一部についてその他の処方を紹介いたします。

 

1 医学観察期

 

臨床表現2:乏力伴発熱

推奨中成薬

金花清感顆粒 

金銀花、石膏、麻黄、杏仁、黄金、連翹、貝母、知母、牛蒡子、青蒿、薄荷、甘草


連花清瘟膠嚢(顆粒) 

連翹、金銀花、麻黄、杏仁、石膏、板藍根、貫衆、魚腥草、藿香、大黄、紅景天、薄荷、甘草

 

疎風解毒膠嚢(顆粒) 

虎杖、連翹、板藍根、柴胡、敗醤草、馬鞭草、芦根、甘草

 

<解説> 

臨床表現2:乏力伴発熱 

推奨中成薬とは、臨床症状として発熱を伴う倦怠感がある場合の推奨薬ということです。
 

上記3処方の中で、日本で何とか処方可能なものは金花清感顆粒のみでしょう。

これらも漢方の刻み調剤が可能な薬局では保険処方可能です。

エキス製剤での処方は、複数の処方を組み合わせても無理があります。

 

金花清感顆粒の構成生薬のうちで、以下は日本での表記と異なります。

金銀花=忍冬、黄金(黄金花)=黄芩、青蒿(セイコウ;クソニンジン)=茵陳蒿

 

連花清瘟膠嚢については、漢方の刻み調剤が可能な薬局でも保険調剤は困難です。

自費での処方であってもかなりの困難が伴うことでしょう。

連花清瘟膠嚢の構成生薬のうち、魚腥草(ぎょせいそう)とはドクダミのことで日本では十薬とも呼ばれ入手可能ですが、保険適

応外です。

 

板藍根(ばんらんこん)=細葉大青、貫衆(かんじゅう)きじのお、紅景天(こうけいてん)=ベンケイソウ、

これらの薬味を日本で適切に揃え調剤することも困難でしょう。

 

疎風解毒膠嚢(顆粒)についても、連花清瘟膠嚢と同様で、

虎杖=イタドリ、スカンポ(酸模)、板藍根(ばんらんこん)=細葉大青、敗醤草=女郎花、馬鞭草=熊葛、芦根=芦の根など保険調剤対象外の材料が多数を占めています。

 

 

杉並国際クリニックが推奨する漢方薬
中国政府の推奨資料をもとに、新型コロナウイルス感染症のPCR検査基準に達していないが、感染を否定できない段階で、初期症状の特徴に相応する漢方薬を挙げてみることにします。

 

胃腸の不調を伴う倦怠感がある場合 

第一候補:

「藿香正気散(かっこうしょうきさん)」(市販OTC薬)

 

第二候補:

朝食前「香蘇散」、昼食前「半夏厚朴湯」、夕食前「苓姜朮甘湯」
     

時間薬理学的発想による処方例、いずれも健康保険適応漢方エキス製剤

 

発熱を伴う倦怠感を伴なう場合

第一候補:

「銀翹散(ぎんぎょうさん)」(市販OTC薬)

 

第二候補:

朝食前「麻杏甘石湯」、昼食前「辛夷清肺湯」、夕食前「滋陰至宝湯」
     

時間薬理学的発想による処方例、いずれも健康保険適応漢方エキス製剤