号外2: WHOの『パンデミック宣言』 トランプ大統領:欧州からの入国停止へ

安倍首相:国際協力・決断と実行の成果は如何

WHOのテドロス事務局長は今月11日に至って、新型コロナウイルス感染症について「パンデミック(世界的大流行)と表現できるとの判断に至った」とわざわざ表明しました。

 

この用語は、WHOの規定上はインフルエンザに対してのみ使用され、新型コロナウイルスでは本来適用されない用語とのことです。

 

コロナウイルスによる大規模感染症は、これまでにも重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)などが発生しましたが、WHOがこうした大規模なエピデミックの事態をパンデミックと称したのは今回が初めてであるということを確認しました。

 

それならばWHOの事務局長が今頃になってなぜ異例の「パンデミック宣言」に踏み切ったのか、ますます謎だらけです。テドロス氏は「パンデミックの定義は明確なものではないが、それでもまだパンデミックと呼ぶまでには至っていない」という発言もあったことを考えると、今回の事象をパンデミックと形容することで事態の深刻さを訴える緊急の必要性が生じたものと考えざるを得ません。

 

テドロス氏は、各国に呼び掛けてきたウイルス封じ込めは「依然主要な柱だ」と強調しましたが、今後は感染経路特定などの拡大防止策一辺倒ではなく、社会的・経済的な影響の緩和や、発症者の治療といった対症療法にも注力する必要があると訴えました。

 

テドロス氏はまた「感染者や死者、国の数は今後も増えるとみられる」と予測しました。

感染が世界に拡大し早期終息が見通せなくなってきた現状を受け、WHOの規定上存在しない表現をあえて用いることで、各国に一層の取り組み強化を促したものと受け止めるのが妥当ではないかと考えます。

 

流行が進むに従い「パンデミック期」に入ったと宣言することでワクチン増産を促す狙いがあるとの見方もできそうです。パンデミック(Pandemic)とは、ギリシャ語のパン(全ての)とデモス(人々)を語源とする英単語(名詞もしくは形容詞)です。これは一般用語としては、一国全体あるいは全世界の(あるいは大部分の)国々に蔓延している病気を意味します。

 

ただし、WHOのニュアンスでは、世界中の人に感染する可能性がある病気が、制御不能で大規模に流行している状態を示唆しているものと思われます。

 

noun:

a disease that spreads over a whole country or the whole world

名詞(一国の全土もしくは全世界におよび拡大する病気)

<Oxford 現代英英辞典>

 

adj:

(of a disease) prevalent over a whole country or large part of the world.

 

形容詞(一国の全土もしくは世界の大部分にわたって蔓延する<病気の>)

 

noun:

an outbreak of such a disease.

 

名詞(そうした病気の勃発)

 

<Concise Oxford 英英辞典>

 

 

 

新型コロナウイルス(COVID-19)による大規模感染は現在までに、中国やイタリア、韓国、日本、イラン、エジプトなどのクラスターから他国に拡大し、世界の感染者数は約12万人、死者は約4380人に上っています。

 

トランプ米大統領は同じ11日に、感染拡大防止措置として、英国を除く欧州から米国への入国を13日から30日間停止すると発表しました。

欧米諸国の交流が滞れば、世界経済の悪化懸念が強まりそうです。

 

安倍晋三首相は官邸で「国際社会と協力し対応を強める。必要な対策は躊躇なく決断して実行する」と述べました。