3月12日(木)新型コロナウイルス(COVID-19)感染症対策を検討するNo4

昨日に引き続き、一般社団法人 日本感染症学会のHPの症例報告から、国立国際医療センターの症例報告を掲載します。

 

ただし、すでに1カ月以上を経過している情報であり、現在は異なる見解になっている可能性があることにご注意ください。

 

楽観的に過ぎる見解本来あるべき注意に色分けを施しました。
なお、最後に、杉並国際クリニックの見解を付記しました。

 

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症への対応について 医療従事者の方へ

 

• 一般診療として患者を診られる方々へ(2020年2月3日現在)
一般診療として患者を診られる方々へ 新型コロナウイルス感染症に対する対策の在り方について (2020 年 2 月 3 日現在)

 

 

5. 感染対策の基本は標準予防策+飛沫・接触感染予防策です。

コロナウイルスは、新型コロナウイルスを含めて主に飛沫感染により伝播します。

現時点では空気感染の可能性はきわめて低いと考えられます。

したがって、外来での対応は通常のインフルエンザ疑い患者への対応に準じて標準予防策、飛沫予防策・接触予防策の徹底が基本となります。

ウイルスで汚染した手指を介して目・口の粘膜から感染が伝播される可能性にも注意しなければなりません。

手指衛生の徹底は感染対策の基本です。患者および医療スタッフが飛沫を直接浴びないように、サージカルマスクやガウンを着用して診療にあたることになります。

正しいマスクの着脱、適切な手洗いが重要であることは言うまでもありません。

気管吸引、挿管などのエアロゾル発生のリスクが高い処置を行う場合には、一時的に空気感染のリスクが生じると考えられているため、N95 マスクを含めた対応も考慮します。

 

6. 特別な治療法はありません。二次性の細菌性肺炎の合併に注意しなければなりません。

新型コロナウイルスによる感染症に対する特別な治療法はありません。

脱水に対する補液、解熱剤の使用などの対症療法が中心となります。

一部、抗 HIV 薬(ロピナビル・リトナビル)や抗インフルエンザ薬(ファビピラビル)が有効ではないかという意見もありますが、まだ医学的には証明されていません。

新型コロナウイルス感染症による死亡の原因に関しての情報は限定的ですが、高齢者における死亡例が多いことからも二次性の細菌性肺炎の合併には十分注意する必要があります

ステロイド等の使用に関する知見も不十分です。

本邦において新型コロナウイルスの分離・培養が成功したことから、将来的なイムノクロマト法による迅速診断法の確立、また SARS や MERSを含めた新型コロナウイルス感染症に対する特異的な治療薬の開発が期待されるところです。

2019-nCoV アウトブレイク事例は、将来的な新たな新型病原体の出現を示唆するものであり、人類への脅威として備えていく必要があると思われます。

 


7. 新型コロナウイルス感染症および対策に関する重要な情報

(1)厚生労働省: 新型コロナウイルスに関する Q&A

(2)国立感染症研究所:

(3)CDC 情報:

 

(4)中村 啓二 他: 当院における新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症患者 3 例の報告.感染症学会ホームページ(2020.2.5)


2020 年 2 月 3 日

一般社団法人日本感染症学会

舘田 一博

 

一般社団法人日本環境感染学会

吉田 正樹

 

 

 

杉並国際クリニックの見解

現時点では空気感染の可能性はきわめて低いとする一方で、一時的に空気感染のリスクが生じると考えられているという注意を喚起された一般医療従事者は、すこぶる困惑するはずです。

一般市民に対して、このまま責任をもって説明できる内容にはなっていません。

2019-nCoV アウトブレイク事例は、将来的な新たな新型病原体の出現を示唆するものであり、人類への脅威として備えていく必要がある、というのが唯一了解可能な見解です。

 

一般医療従事者に向けては、全文を文字通りではなく、「行間を読め、国や専門学会の立場を忖度せよ、医療従事者なら裏事情を察しなさい」と説教されているような気分です。