3月11日(水) 新型コロナウイルス(COVID-19)感染症対策を検討するNo3

昨日に引き続き、一般社団法人 日本感染症学会のHPの症例報告から、国立国際医療センターの症例報告を掲載します。ただし、すでに1カ月以上を経過している情報であり、現在は異なる見解になっている可能性があることにご注意ください。楽観的に過ぎる見解、本来あるべき注意に色分けを施しました。

 

なお、最後に、杉並国際クリニックの見解を付記しました。

 

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症への対応について 医療従事者の方へ

 

• 一般診療として患者を診られる方々へ(2020年2月3日現在)

 

一般診療として患者を診られる方々へ 新型コロナウイルス感染症に対する対策の在り方について (2020 年 2 月 3 日現在)

 


3. 中国における死亡数の増加に関して引き続き検討が行われています。
武漢市を中心に中国のほとんどの地域から17,000人を超える感染例が報告されており、中国における死亡者数は 360 人以上と報告されています。

また世界的には、日本を含めて、タイ、香港、マカオ、米国、オーストラリア、シンガポールなど 26 カ国で感染例が報告されています。これら中国以外での感染報告例のほとんどは中国(多くが武漢市)からの旅行者であり、輸入国における二次感染例・重症例の報告はほとんどありません

なぜ中国、特に武漢市にこれだけの死亡者が集中しているのかに関しては明らかになっていません。

武漢市の医療機関に多くの方が集中しパニックに近い状況になっていることが繰り返し報道されています。

医療機関への受診の遅れ、高齢者や免疫不全宿主における感染例の増加、二次性細菌性肺炎の合併などの可能性が考えられます。

現時点での死亡率は約2%とされていますが、検査をされていない患者が多数存在することを考えると、その数字は今後さらに低下する可能性があります。


4. 免疫不全宿主、高齢者を守る対策が必要になります。
新型コロナウイルス感染症の特徴の1つとして、高齢者における感染例の集積があり、小児における重症例が少ないことが特徴です。

本邦においても、長期療養型施設における高齢者は、さまざまな基礎疾患を有しており、インフルエンザやノロウイルス、さらにはメタニューモウイルスに対する感受性が高いことが知られています。

新型コロナウイルス感染症がこのような高齢者施設で流行しないように、細心の注意を払って対応する必要があります。

インフルエンザにおいても高齢者や免疫不全患者において重症化がみられることは
良く知られた事実です。

新型コロナウイルス感染症患者では発熱がほぼ必発でみられており、それに加えて呼吸器症状が重要な徴候となります。

発熱に加えて呼吸器症状がみられた患者に対しては、速やかに隔離対応を行うことが必要となります。

また、高齢者においては二次性の細菌性肺炎の合併に注意する必要があります。

 

 

 

杉並国際クリニックの見解

楽観的に過ぎる見解本来あるべき注意に色分けを施しましたが、楽観的に過ぎる見解の中には、すでに誤りであったことが判明している情報が複数含まれていることにご注意ください。

微妙な個所は、新型コロナウイルス感染症患者では発熱がほぼ必発という記述ですが、新型コロナウイルス感染症患者の中には発熱はおろか無症状のまま、感染に気付かずに他者に感染させてしまうケースが多発しています。

繰り返しになりますが、この見解を、一般市民ではなく、医療従事者向けで発表し、この記事を書いている2月18日現在に至っても書き改められていないのは残念なことです。