3月10日(火) 新型コロナウイルス(COVID-19)感染症対策を検討するNo2

一般社団法人 日本感染症学会のHPの症例報告から、国立国際医療センターの症例報告を掲載します。

ただし、すでに1カ月以上を経過している情報であり、現在は異なる見解になっている可能性があることにご注意ください。


なお、最後に、杉並国際クリニックの見解を付記しました。

 

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症への対応について 医療従事者の方へ

 

 一般診療として患者を診られる方々へ(2020年2月3日現在)

 

一般診療として患者を診られる方々へ 新型コロナウイルス感染症に対する対策の在り方について (2020 年 2 月 3 日現在)

昨年の 12 月から中国武漢市を中心に広がっている新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症の流行を受けて、本邦の医療機関の先生方におかれましては多大なご尽力をいただき誠に有難うございます。

指定感染症としての認定、武漢市からの邦人の移送、経過観察のための滞在など、政府関係者のご尽力による水際対策、多くの関係者の多大なご協力により本邦においては感染者数も限定的であり、幸いなことにこれまでのところ重症例の発生はみられておりません。

この間、国立感染症研究所により、本邦患者から分離されたウイルスの全ゲノム解析が実施され、中国で初期に公表された遺伝子から大きな変異がみられていないことが確認されました。

また新たに、臨床症状を伴わない宿主からの本ウイルスの分離も報告されているところです。

このような事実は重要です。現在は武漢からの渡航者の入国は禁止となっております。

しかし、それ以前の数週間の間に多数の入国者があったことを考えると、すでに本邦にウイルスが入り込み市中において散発的な流行が起きていてもおかしくない状況と考えられます。

今後、症例の増加にともない重症例が報告されてくることを覚悟しておかなければなりません。

このような背景のもと、我々は新型コロナウイルス感染症に対する感染対策の在り方に関して以下のように考えております。

診療の現場において患者を診られる関係者の方々におかれましては、引き続き冷静な対応をお願い申し上げます。 

 


1. インフルエンザ対策に準じて、ただし地域・施設の状況に応じた対応が求められます。

本邦における感染者数は 2 月 3 日時点で 20 例となっております。

幸いなことに、これら感染患者の状態は落ち着いており、重症例はみられておりません。

本ウイルスの感染性に関しては、基本再生産数(1 人の患者から何人に感染が広がるか)は 1.5~2.5 と推定されており、通常のインフルエンザと同程度であることがわかってきました。

患者の家族、担当する看護師・医師における感染例は現在までのところ報告されていません。

これから感染患者数が増加するにつれて、基礎疾患を有する宿主や高齢者において重症例がみられてくることを想定していなければなりません。

しかし、これまでの本邦における感染事例の解析から、新型コロナウイルスの感染性および病原性はインフルエンザ相当、あるいはやや強い程度と考えてもよいと推察されます。

これまでのところ軽症~中等症ですが、高齢者や免疫不全患者においては肺炎合併・重症化には十分注意しなければいけません。

本感染症に対する対応には、地域・施設の特性も考慮することも重要となります。

他の入院患者等への伝播の可能性を可能な限り低減させる、医療従事者の安全を守るなどの観点から、飛沫等の発生が予測される診察時には N95 マスクを使用するなどの方策を否定するものではありません。

 


2. 新型コロナウイルスの遺伝子変異は起きていませんでした。

昨年末の武漢市の新型コロナウイルスの流行を受けて、中国の研究機関によるウイルスの分離および全ゲノム解析が行われ、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)や中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)との相同性が比較されました。

その結果、今回の新型コロナウイルスは、遺伝学的に SARS-CoV に近縁であることが報告されています。

細菌、ウイルスなどの病原体は、外来遺伝子の獲得や突然変異により常に高病原性化する可能性が考えられます。

日本に持ち込まれる過程でウイルスの遺伝子が変異し病原性が高まることが危惧されておりました。

しかし幸いなことに、本邦で分離されたウイルスは、中国での初期ウイルスと 99.9%の相同性が保持されており、遺伝子変異は起きていないことが確認されました。

もちろん、今後ウイルス遺伝子の変異が起きて来ないとは言えませんが、現時点では過度に心配する必要はありません。

 

 

杉並国際クリニックの見解

楽観的に過ぎる見解本来あるべき注意に色分けを施しましたが、楽観的に過ぎる見解の中には、すでに誤りであったことが判明している情報が複数含まれていることにご注意ください。

この見解を、一般市民ではなく、医療従事者向けで発表し、この記事を書いている2月18日現在に至っても書き改められていない、ということはとても残念です。