パーキンソン症候群(特に、多系統萎縮症‐パーキンソニズム型)
無動、筋強剛、動作緩慢を伴う歩行障害の他にピサ症候群を呈したパーキンソン病の症例のエピソードを、前回ご紹介しました。
しかし、こうしたパーキンソン病の主要徴候が見られる病気は、パーキンソン病の他にパーキンソン症候群があり、両者は区別されます。
パーキンソン病様の症状を呈する病態をパーキンソニズムと呼びます。パーキンソニズムを呈する中枢神経変性症には多系統萎縮症という病気があります。
多系統萎縮症は3型あり、本邦に多い錐体外路症状優位なタイプは多系統萎縮症‐パーキンソニズム型(MSA-P)に分類されます。
この病気は、パーキンソン病と同様に、左右非対称の発症やすくみ足がみられますが、睡眠呼吸障害を高頻度に合併します。
睡眠中に声帯外転障害(声帯開大不全)に伴う吸気性喘鳴を認め、突然死の原因にもなるので常に注意すべき徴候です。
また声帯以外にも咽頭部(舌根・軟口蓋)、喉頭部(声帯・披裂部・喉頭蓋)にも閉塞を認めます。
パーキンソニズムのある多系統萎縮症には、頭部MRIで病変組織での鉄沈着を反映する特徴的な所見(症状の対側の被殻での高度萎縮、被殻外則部の直線状T2高信号、被殻後部の低信号化)が認められ、また磁化率強調画像での低信号化所見は鉄沈着の評価を容易にします。
多系統萎縮症には特徴的な病理所見があります。脳神経細胞の一種である乏突起膠細胞(オリゴデンドログリア)の細胞内に、嗜銀性封入体(GCI)を認め、GCIの主要構成蛋白はα‐シヌクレインで、これが多系統萎縮症の病理診断的指標となっています。
代表的なシヌクレイン病としては、多系統萎縮症の他に、パーキンソン病やレヴィ―小体型認知症があります。
杉並国際クリニックのオリジナル心身医学療法には水氣道®の稽古の他に聖楽院での『臨床聖楽法』実施しています。
後者はヴォイス・トレーニングと実際の芸術声楽のブラッシュアップを行ないますが、多系統萎縮症‐パーキンソニズム型(MSA-P)の早期発見と、リハビリテーションに役立つことはご理解いただけるのではないかと思います。
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